また、「龍が如く6 命の詩。」は、やはり東京や広島を舞台にした伝説の極道を主人公としていますが、海外版の販売本数は国内版と同水準を記録しています。これらのシリーズは、かつては売上のほとんどを日本市場が占めており、海外で支持される要素は持ちながらも、欧米市場を意識して開発してきたわけではありません。日本のファンに支持されるよう、モノづくりを地道に積み重ねていった結果、単純に日本の人気タイトルというだけではなく、洗練されたゲームセンスが一つの作品として認められ、海外のファンにも支持を受けることができたからこそ、世界でもヒットタイトルになったと考えています。セガグループへの評価の高まりは、海外における安定的なリピート販売にも見て取れます。以前は発売から2ヶ月間でいかに販売本数を積み上げるかが勝負で、それ以降は、廉価版を投入したり、在庫を処分するために値下げしたりせざるをえませんでした。しかし、特に欧州市場で大きな市場を築いているダウンロード販売サイト「STEAM」等の影響に加え、「ソニック」シリーズのようにシリーズ作の投入等の施策が奏功し、初回の発売から数年経過したタイトルでも需要が衰えずにリピート販売が継続する傾向が続いています。開発費の償却を終えた後でのリピート販売は、収益性に効いてくることは言うまでもありません。
継続的な環境変化と変革
2010年以降、パチンコ遊技機も長期縮小トレンド入り
長期縮小トレンドが続くパチスロ遊技機とは対照的に、パチンコ遊技機は、「5号機ショック」が直撃したパチスロ遊技機からの置換えが追い風となり、2009年までは拡大傾向を辿りました。しかし、遊技人口の減少に伴うパチンコホールの経営状況の悪化や、機械の高額化を背景とする入替需要の鈍化、業界団体の内規変更等によって、2010年以降、現在に続く縮小トレンドに転じていきました。ユーザーの裾野拡大を企図した低貸玉営業も、市場環境を好転させる決定打にはなりませんでした。

