COOインタビュー 株式会社セガ 代表取締役社長COO 鶴見 尚也

「尖った」セガをふたたび

Q セガの何を変え、どのような会社にしていく考えですか。

A 「尖った」セガを取り戻したいと考えています。

コンシューマ事業の構造改革により強化した収益構造を基盤に、まずは2013年3月期に黒字回復を実現することが最初の命題です。その上で、セガを再び安定成長軌道に乗せていくことが、私の使命だと考えています。
 当社には「創造は命」という社是があります。常に時代を先取りした製品を世に送り出す「尖った」会社がセガでした。しかし近年、革新のDNAが影を潜め、「丸く」なっている印象があります。リスクを恐れていては商機を逸します。今一度原点に戻り、失敗を恐れずにチャレンジできる土壌を創り上げ、セガらしい創造力溢れるエンタテインメントを生み出す会社に変えていきたいと考えています。クリエイティビティが求められるのは、開発部門に留まりません。営業・コーポレート部門にも、創意工夫を行いながら、すべての業務で効率性を追求することを求めていきます。「Creative Excellence」という言葉でこの考えを全社に伝えました。
 意思決定のスピードが遅いこともセガの大きな課題でした。今後は権限委譲を進め、意思決定の迅速化に取り組んでいく方針です。ネットワークビジネスの主要機能を会社分割し、2012年7月に設立した(株)セガネットワークスへ移管したのもこの考えに基づきます。
 また、重要課題である海外市場への事業展開の強化については私の海外での経験を活かしながら取り組んでいきます。各事業分野で日本市場という枠組みにとらわれず、世界全体をマーケットと捉え、ビジネスチャンスの発掘を促進してまいります。

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Q 事業別の中長期的な方針を教えてください。

A 中期的な視点で商品ラインアップを描き、着実に布石を打っていきます。

アミューズメント機器事業は、国内ではレベニューシェアモデルの推進などにより、安定的な収益創出を目指す一方、蓄積してきた知見を活かし、開発と営業が連携しながら海外展開を強化していきます。将来性が期待される中国では、開発・製造・販売の現地化により現地で戦えるコスト競争力を構築するとともに、「ALL.Net」等のネットワーク技術を差別化要素とした先行布石を打っていく考えです。
 収益構造の改革が進展したアミューズメント施設事業は、従来型の施設では、今後も収益性に軸足を置いていきます。同時に「デジタルとリアルの融合」をテーマに2012年7月にリニューアルオープンした東京ジョイポリスや、2013年春開業予定のBBC Worldwide Limitedと協業で進める「自然とテクノロジーの融合」をテーマとした施設など、新コンセプトのテーマパーク型施設の展開も図ります。一方、例えばゴルフや飲食店など「ゲーム」という枠組みを越えた分野で、新しい空間を創造し、新たな需要開拓も進めます。(株)ダーツライブが運営するリアル店舗とネットワークを融合した「DARTS LIVE」は、代表的な成功例です。
 コンシューマ事業のパッケージゲーム分野では、高い確度でヒットが期待できるIPに絞り込むスタンスを国内外で堅持します。一方、絞り込んだIPでは、複数の据え置き型プラットフォームやPC、携帯型ゲーム、モバイルなどへの横串展開、ダウンロードコンテンツの追加販売などにより、収益最大化を目指します。また、今後パッケージゲーム分野からスマートフォンやPC、ダウンロード等のデジタルゲーム分野に事業の軸足を移していく方針です。
 この1年は、成長分野を見極めながら、2年から3年程度の中期的な視点で商品・サービスのラインアップを描き、それに基づく仕込みを行っていきます。

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Q デジタルゲーム分野における今後の方針を聞かせてください。

A セガの強みを活かすことができる領域で勝負していきます。

スマートフォン向けやソーシャルゲーム市場には、参入障壁が低いため様々なプレイヤーが参入しています。セガは、同じ土俵で戦うのではなく、グラフィックリッチやストーリー性があるゲームなど、セガの強みを活かすことができる領域に照準を合わせていきます。2012年5月に、全世界で300万ダウンロードを達成した「Kingdom Conquest(キングダムコンクエスト)」はその代表例です。アーケードゲームをスマートフォン向けにチューニングしたこのゲームには、セガのノウハウが凝縮されています。ここまで作り込んだゲームをフリー・トゥ・プレイで提供した例は、過去にはありませんでした。セガの「尖った」部分が世界のユーザーに支持された好例といえます。
 クオリティを追求するとはいえ、コアユーザーだけではなくマーケットの中心であるカジュアルユーザーも重要なターゲットと捉えていきます。より面白いもの、グラフィックが綺麗なものを求めるのは人間の心理と
して当然だと考えています。現在、射幸性が高いゲームを自粛する動きがありますが、これはセガにとって追い風になるかもしれません。
 今後、セガのデジタルゲームの中心を担う(株)セガネットワークスの開発者には、一から社風を創り上げる勢いで大いにチャレンジして欲しいと考えています。

ゲームコンテンツ事業の経営戦略

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