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- Interview with the COO サミー株式会社 青木 茂
サミーは「人財の力が強い会社」だと再認識しました。重要な局面に際して、即座に結論を出し、一致団結して目的を完遂する「爆発力」がサミーの強みです。創業以来、貫いてきた「人は最大の財産である」という経営方針は確実に伝統として根付いています。セガサミーグループの成長の牽引役であるサミーの力を一層高めるために、こうした「爆発力」を引き出す基盤の整備に力を注ぎました。取り組みの1つが、重点施策として掲げた「社員一人ひとりの力量の向上」に向けた仕組みづくりです。各種人事制度改革に加え、「質の高い協調性」の実現に向けた土壌の醸成も進めました。一連の業務プロセス改革の成果は浸透が進みましたが、今後も絶えず社員に語りかけていく考えです。一方、業績面では、パチスロ遊技機の販売スケジュールの見直しや、パチンコ遊技機の販売計画未達など、いくつかの対処すべき課題が浮上した1年でした。
遊技機市場の環境は厳しい状況が続いています。特に、若年層がパチンコホールに足を運ぼうとしないことに起因する遊技人口の減少という構造的な課題は、息の長い取り組みで解決すべき問題です。遊技人口の継続的な減少は、オペレータの経営状態に確実に影響を与えています。オペレータの経営状態の悪化は、設備投資の抑制に繋がり、それが新台への入替抑制や、限られた資金の確実な回収を企図した、最も人気があるタイトルへの需要集中という現象をもたらしています。パチスロ遊技機とパチンコ遊技機の循環的な好不調も同じ理由によるものです。2013年3月期は、マーケット全体では、パチンコ遊技機の販売台数は前期比微減の約250万台の販売台数となりましたが、人気タイトルに対する著しく偏った需要の影響を受け、当社のパチンコ遊技機は、販売台数が3割強減少し、目標未達となりました。
一方のメーカーサイドは、ユーザーの裾野を拡げるために射幸性を抑え、ゲーム性を高める方向で開発を進めていますが、これが開発・生産コストの上昇を招いています。つまり、質を追求すればするほど、オペレータ側に負担をかけてしまうという皮肉な現象に陥っています。この課題の解決が、業界の発展には欠かせないと考えています。
人気があるタイトルを有しているメーカーとそうでないメーカーの二極化が一層鮮明化していくなかで、2014年3月期の当社は、複数の競争力ある製品を打ち出していくことで、勝ち組としての地位を確立していきたいと考えています。
2014年3月期は、グループ全体でパチスロ遊技機では、トップシェアの奪還を至上命題とし、2013年3月期の約2.4倍となる47.8万台を目指します。また、パチンコ遊技機は同約50%増の32.4万台という計画の達成により、プレゼンスの回復を目指しますが、その先にはトップシェアを見据えていきます。決して低い目標ではありませんが、自信を持ったタイトルの投入を複数予定しており、この計画を何としても達成し、V字回復を果たしていきたいと考えています。
一方、中期的には、ユーザーの裾野拡大に向けて、各世代のニーズに合ったより良い製品の開発を進めていきます。すでに世代ごとのきめ細かいマーケティングをもとに、製品開発に着手しています。また、パチスロ遊技機における販売スケジュールの見直しという課題については、不測の事態に備えて、コストを抑えた補完機種の開発も進めていきます。
研究開発費を2013年3月期に続き、2014年3月期も前期比20%強増額するのは、勝ち組企業であり続けるために、競争力ある製品を絶え間なく作り続けるという当社の意思の表れとご理解ください。いうまでもなく、やみくもにタイトル数を増やす考えはありません。ニーズを確実に捉えた製品に絞りながら開発効率を追求していく考えです。
マルチブランド戦略は、すでに商機拡大という一定の効果を発揮していますが、今後は、より明確な優位性を確立していきたいと考えています。なかでも2012年3月期に完全子会社化したタイヨーエレック(株)を底上げすることを重要な課題と捉えていきます。同社を再生し、サミーと同等の売上規模、利益規模にまで成長させることができれば、パチンコ遊技機でもトップシェアという目標はおのずと見えてくると考えています。開発陣を送り込む、あるいは共同で開発を行うなど連携の仕組みはすでに組み込みました。その効果が出るにはある程度の時間が必要ですが、取り組みを着実に進めていく考えです。
良いものを作る一方で、コストも抑制するという課題解決の方策のひとつがリユース率を高めるということです。その柱がマルチブランドを構成するグループ企業での共同購買と部品の共通化です。2012年9月に稼働を開始した最新鋭の新工場が、その中核拠点となります。部材の共同購買はすでにスタートしています。今後は、設計等の連携を絡めながら部材の共通化も進めていく方針です。これら2つが軌道に乗るとサミーを中心に、部品の一元管理が可能となり、リユースもより幅広く進めることができるようになります。見込まれる生産コスト改善や、廃棄ロスの低減で得た原資を活用すれば、十分な利益を確保しながら、柔軟な販売戦略ができることになります。こうして先に申し上げた課題の解決に繋げていきたいと考えています。圧倒的な勝ち組企業としての地位を確立していくために、さらに前進させていく考えです。