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セガの復活を期す 株式会社セガ代表取締役社長COO 鶴見 尚也

Q.社長就任からの1年間を総括してください。

自身の命題と定めた、セガを再び成長軌道に戻すための意識改革と組織改革を全力で推し進めた1年でした。なかでも意思決定の迅速化に力を注ぎました。取締役に権限を大幅に委譲したほか、2012年7月にネットワークビジネスの主要機能を会社分割し、(株)セガネットワークスを設立、同年10月にはアミューズメント施設事業を(株)セガエンタテインメントに分社化しました。一連の改革により各事業分野の取締役の戦略遂行は大きくスピードアップしました。特に、可能性が低いものは早めに見切りをつけ、開発資源を素早く有望なものにシフトしたり、成功の確率を高めるために、あえてリリースを延期するといった素早い意思決定が定着してきました。短期的な数字だけを追い求めることなく、中期的に確実なリターンを獲得するという意識は、以前のセガにはなかったことです。

Q.セガの中期的な成長イメージを聞かせてください。

セガは、2003年から設置を開始したキッズカードゲーム「甲虫王者ムシキング」の大ヒット以降、ヒット製品に恵まれず、5~6年間に亘りリストラ等による費用構造の見直しを実施してきました。現在、私は企業存続の臨界点に近づいているという危機感を抱いています。何としても再びセガを復活させ、中期的には、200億円の営業利益を目指すという強い思いがあります。決して平坦な道のりではありません。克服すべき課題を一つひとつ乗り越えていくとともに、中期的な見通しのもとで、ポートフォリオ上、伸ばすべき事業を徹底的に強化していく考えです。強化すべき事業が、デジタルコンテンツ事業であることは明らかです。

Q.デジタルコンテンツとパッケージゲームの今後の戦略を聞かせてください。

デジタルコンテンツ市場では現在、同質化が進み、差別化が難しくなっています。一方、デバイスの性能の進化も背景となり、マンネリを覚えたユーザーのニーズはリッチコンテンツに移っています。市場は次の発展段階に差し掛かっているといえましょう。

PCオンラインゲーム「ファンタシースターオンライン2」は、開発に足掛け5年の歳月を費やしたセガ渾身の一作です。これほどの期間と相応の開発費を投下したタイトルは、パッケージゲームとして発売するのが通常の判断ですが、あえてfree-to-play¹でリリースするという決断を下したことが、変革期のマーケットニーズとマッチして成功に繋がりました。こうしたセガならではのリッチグラフィックと奥深いストーリー性や、安心して遊んでいただけるような様々な工夫を施したコンテンツで攻勢を仕掛けていく考えです。また、クラウド上にあるデータの共用を通じて、多様なプラットフォームで楽しんでいただく、「クロスプラットフォーム」戦略も推進していきます。そのファーストステップとなった「ファンタシースターオンライン2」では、Windows PC向け、携帯型ゲーム機向けに加え、今年中にはスマートデバイス版の展開を予定しています。ゲーム内容をスマートフォン向けに最適化し、キャラクター育成が行えます。

この成功事例で得たノウハウを、他のIPにも展開していき、幾重にも収益を拡大していきたいと考えています。また日本で成功したコンテンツを海外へも展開していきます。特にアジア全域を1つのマーケットと捉えて市場の深耕を進めます。欧米パッケージゲームでは、柱と位置づけるIP群のオンラインへのシフトも加速し、付加価値をさらに高めていきます。PCオンラインゲームの分野では、2013年1月に北米の開発会社Relic Entertainment及び開発タイトルに関わる知的財産を取得しました。同社は欧米市場で人気が高いRTS²の世界的なタイトル「Company of Heroes」を有しています。同社の買収を通じ、当グループのThe Creative Assemblyと合わせてRTSマーケットの過半をセガが握ることになります。2社の相乗効果により安定収益基盤に育てていく考えです。

営業利益200億円達成のカギを握るのは、(株)セガネットワークスです。2014年3月期は、差別化を実現できる自信作を続々と投入予定です。2013年4月に配信を開始した「ぷよぷよ!!クエスト」が10日間で100万ダウンロードという、想定を上回る立ち上がりを示すなど片鱗を示してはいますが、本領を発揮するのはこれからです。

パッケージゲームについては、厳しい市場環境にあるのは事実ですが、意図的に縮小する考えはありません。但し、従来の売り切り型ビジネスモデルではなく、オンライン機能を有し、コンテンツのダウンロードが可能であり、ソーシャル性などの付加価値をつけていくことが時代の要請です。将来の成長の種を蒔くためのチャレンジを続けていきたいと考えています。

1 基本プレイ無料のゲーム。アイテムの販売等により課金を行うビジネスモデル
2 Real-time Strategy : リアルタイムの戦略シミュレーションゲーム

クロスプラットフォーム戦略

ゲームデータのデバイス間共用

Q.アミューズメント機器、アミューズメント施設事業の戦略を聞かせてください。

施設のマーケットが拡大しない限り、業務用アミューズメント機器の成長はなく、逆もまた然りです。オペレータが儲かる新しいビジネスモデルの構築に挑戦していきます。

「100円で数分遊んで終わり」という従来のビジネスモデルでは、ユーザーが離れていくのは必然です。セガが試験導入した「ぷよぷよ!!クエストアーケード」は、free-to-playで敷居を低くし、幅広く支持されるIPで裾野を拡げ、継続的な課金により収益の安定化を目指す新たなビジネスモデルです。スマートデバイスのアプリからゲームセンターへ、逆にゲームセンターからアプリへ集客を図るなど、連動性も高めながらユーザー層を拡大する仕掛けに繋げていきたいと考えています。

アミューズメント施設事業では、スクラップ&ビルドを継続しつつ、ゲームセンターの枠を超えて領域の拡大を図ります。テーマは、「親子三世代で楽しめるエンタテインメント」です。2013年8月にオープンしたBBC Worldwide Limitedとの共同プロジェクト「Orbi Yokohama(オービィ横浜)」は、その一環です。BBCの豊富なIPを活用した、親子三世代が楽しめるこの映像体験型ミュージアムが成功すれば、海外へもライセンスアウトにより展開していく考えです。ショッピングセンターへの出店や、飲食店を絡めるなど従来の業態を超えた店舗開発も同様に積極的に進めていきます。

様々なユーザー層に訴求するエンタテインメントへ

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