CEOメッセージ

代表取締役会長CEO 里見 治
写真:里見 治

長期構想の実現と社会的責任の遂行により、
長期持続的な企業価値拡大を実現していきます。

新経営体制への移行

確かな足取りで成長軌道に回帰するために

2017年4月、里見治紀がセガサミーホールディングス(株)の代表取締役社長COO(最高執行責任者)に就任し、執行責任及び権限を集約する新たな経営体制をスタートさせました。若い感性を発揮しながら、セガサミーグループの成長への足取りをさらに確かなものにしてくれることを期待しています。

私は、引き続き代表取締役会長CEO(最高経営責任者)という立場のもと、グループ全体の長期戦略のグランドデザインを描くとともに、COOに各事業の経営執行権限を委譲しながら、経営の監視・監督、指導・助言に軸足を移していく考えです。

「構造改革期」を経て「戦略実行期」へ

構造改革の成果により大幅な増収増益を達成

当社は2014年5月、「グループ構造改革本部」を設置し、私がその本部長となり様々な構造改革を推進してきました。2015年3月期には、意識改革や固定費の削減を中心とするコスト構造改革を実施し、収益構造を鍛え上げました。2016年3月期には、売上規模から「利益率」へと明確に経営のスタンスをシフトし、事業構造改革を断行しました。全事業を「成長投資事業」と「基盤事業」等に分類し、事業ポートフォリオ戦略の明確化並びに、事業効率の向上に軸足を置いた施策を打ち出すとともに、ノンコア事業の整理も実施しました。こうして足場を固めた上で迎えた戦略の「実行期」と位置付けた2017年3月期は、事業構造改革期の施策の明確な成果を大幅な増益という形でお見せすることができました。

グラフ:構造改革の振り返り(2014年3月期?)。構造改革着手後、収益は回復トレンドになっている。

長期的な戦略構想

成長事業への重点投資と未来を担う事業の育成

セガサミーグループの収益の柱である遊技機事業は、グループの利益の大半を稼ぎ出す事業であることに変わりはありませんが、遊技人口の減少に伴う市場規模の縮小や、相次ぐ自主規制等により先行きが楽観視できない状況にあります。エンタテインメントコンテンツ事業のアミューズメント機器分野、アミューズメント施設分野等も同様に、市場規模の大きな伸びは期待できません。

これらの事業においては大きな売上成長を前提とはせず、事業構造の効率化を徹底し、利益率の改善および安定的な利益創出に軸足を置いていく考えです。遊技機事業は、メーカー間での優勝劣敗が一層、鮮明化していくと予想される中、生存競争を確実に勝ち抜いていく考えです。パッケージゲーム分野、アミューズメント機器分野、アミューズメント施設分野は、収益構造の強化が着実に進展しています。引き続き手綱を緩めることなく改革を継続し、安定的な収益の創出を目指します。

これら基盤事業で得たキャッシュの優先的な投下によって、「成長投資事業」と位置付ける事業を徹底的に伸ばしていく考えです。まずはデジタルゲーム分野を中期的なドライバーとして伸ばしていき、先行投資段階にあるリゾート事業を長期的なけん引役にしていく考えです。中でも大きな柱と位置付けているのが、国内IR(統合型リゾート)です。その実現に向けた準備として、「フェニックス・シーガイア・リゾート」のほか韓国PARADISE GROUPとの合弁を通じて、IR(統合型リゾート)の運営ノウハウの蓄積を進めています。

こうした当グループの長期構想を実現するための道筋を明らかにしたのが、2020年3月期までの「Road to 2020」です。その具体的な説明はCOOに委ねることとし、私は国内IRへの参入に向けた想いをお話したいと思います。

図:収益基盤の強化から新たな成長領域への参入をめざして。

国内IR(統合型リゾート)への想い

グループの未来を創造するために全力で取組む

2016年12月、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(IR 推進法)が成立し、国内IR(統合型リゾート)の実現に向けて一歩前進しました。今後、IR 実施法が成立すれば、区域や事業者の選定というステップを踏みながら実現が視野に入ってくることが期待されます。当グループもカジノのオペレーションを含めて、参入する意思を表明しています。当グループが参入を果たすための重要な位置付けとなるのが、2017年4月にオープンした「PARADISE CITY」です。

「PARADISE CITY」は、当社が45%を保有するPARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.が運営する韓国初のIR(統合型リゾート)です。同施設は330,000㎡の敷地にラグジュアリーホテル、デザイナーズホテル、カジノ、商業施設、コンベンションホールなどを備え、シンガポールやマカオのIR(統合型リゾート)に比肩するクオリティとなります。アジア最大のハブ空港となる仁川空港に隣接するという立地条件の強みも活かしながら、他のアジア地域に向かわれていたお客様の取り込みに注力していきます。特に、地理的な障壁が低い日本からのお客様の誘致に力を注いでいきます。そのために、今後は「最高の器」に、日本の「おもてなし」を付加していくとともに、営業力も強化していく考えです。来年には第1フェーズ第二次開発を終え、エンタテメインメント施設や商業施設も加わり、真のIR(統合型リゾート)としてのオープンを迎えます。何としても成功させ、その実績と蓄積したノウハウを活かして国内IRへの参入を実現させます。私自身の重要な使命の一つと定め、最大限の努力を進めていく覚悟です。

写真:パラダイスシティ全景
PARADISE CITY

持続的な成長に向けて

エンタテインメントを通じて人びとの豊かさに貢献

持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択され、COP21では「パリ協定」が採択されるなど、企業には事業を通じた持続可能な社会への一層の貢献が求められています。こうした社会的要請に応えることは、長期構想を実現していくためにも欠かせないことだと認識しています。グループ経営理念に刻まれている、人びとの豊かさに貢献することに留まらず、視野を世界に拡げて、当グループが優先して取り組むべき地球的課題の特定も進めていく考えです。
コーポレート・ガバナンス体制の強化も着実に進めています。少数株主の立場に立った監督が求められる株主構造であることに加え、厳格なコンプライアンスが求められる業態という背景から、2007年には、独立性が高い社外取締役を招聘し2008年には複数の社外取締役による体制を整備するなど、これまで積極的に経営の監督・監視機能の強化に取り組んできました。2016年にも社外取締役を一名増員するなど、継続的に体制の強化を進めています。
持続的な発展に向け、私が何より大切にしているのが「人財」です。優秀な人財の層の厚みがなければ、優れた知的財産も競争力ある製品も持続的に生み出していくことはできません。次世代の人財育成に加え、グループが目指す方向に向けた価値観の共有も私の重要な責務と捉え、全力で取り組んでいく考えです。

2004年10月の経営統合から13年、幾多の厳しい局面を乗り越えるために事業構造の変革を続けてきた当グループは、いよいよ「利益成長」を強く志向するステージに踏み出していきます。戦略の確実な遂行と、その先に見据える長期持続的な企業価値向上を実現し、すべてのステークホルダーの皆様のご期待にお応えしてまいります。引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。