COOメッセージ

代表取締役社長COO 里見 治紀
写真:里見 治紀

一人ひとりの社員が存在意義「感動体験を創造し続ける」を
胸に刻みながら、一丸となって戦略を推進していきます。

ご挨拶

このたび、代表取締役社長COOを拝命いたしました里見治紀でございます。セガサミーグループの持続的な企業価値向上に邁進し、当グループを支えていただいている幅広いステークホルダーの皆様のご期待にお応えしてまいる所存でございます。

2017年3月期の業績報告

成長戦略を確実に実行

2017年3月期の売上高は前期比5%の増収、営業利益は同68%の増益となりました。営業利益率は前期比2.9ポイント増加の8%となり、ROAは同4.2ポイント増加し、5.2%となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、2016年3月期の53億円から276億円に増加しました。2017年3月期の1株当たり配当金につきましては、20円の中間配当に加え、期末配当として20円を実施し、年間では40円の配当を実施しました。

「パチスロ北斗の拳 修羅の国篇」等の主力タイトルをはじめ、主にパチスロ遊技機において実績のあるシリーズ機を販売した遊技機事業が、前期比5%の増収、26%の増益となりました。エンタテインメントコンテンツ事業も8%の増収となり、営業利益は前期の42億円から111億円へと大幅な増益を達成しました。既存主力タイトルが堅調に推移したデジタルゲーム分野に加え、パッケージゲーム分野やアミューズメント機器分野も新作タイトルが大ヒットするなど、各分野が好調に推移しました。

2017年3月期は、構造改革の「実行期」と位置付け、各種施策を確実に実行しました。フランスに拠点を持つゲーム開発会社Amplitude Studios SASの全株式を取得し、欧米地域における開発力のさらなる強化、及びIP・タイトルポートフォリオの強化を図りました。遊技機事業では、(株)ユニバーサルエンターテインメントとの合弁会社(株)ジーグを設立し、製品力向上とコストパフォーマンスの両立に向けた大きな一歩を踏み出しました。こうした「攻め」を打ち出す一方で、「守り」も着実に遂行しました。リゾート事業では、(株)セガ・ライブクリエイションの85.1%の株式を譲渡し、屋内型テーマパーク「ジョイポリス」事業を直営からライセンスビジネスモデルへ転換したほか、韓国釡山広域市における複合施設開発を中止しました。また、アミューズメント施設分野でも固定資産の売却を実施しました。いずれも財務体質の改善、資本回転率の向上並びに「成長投資事業」への経営資源の集中を目的としています。

着々と足場を固めている当グループは、2018年3月期よりいよいよ「成長期」に移行していきます。

成長軌道への回帰に向けた意識改革

一人ひとりに全社戦略を落とし込む

私は、当グループには解決すべき重要な課題があると認識しています。

セガサミーホールディングス(株)は、2004年10月の経営統合からこれまで、厳しい事業環境を乗り越え、各事業会社もそれぞれの事業領域で一定の存在感を発揮してきました。一方、サミー(株)、セガグループ及びその他の事業会社の社員は、それぞれの事業会社に対する思い入れは強いものの、残念ながら「セガサミーグループ」全体では、価値観を十分に共有できていませんでした。成長軌道への回帰を確かなものにしていくためには、全グループ社員の心を一つに束ねなければなりません。こうした強い課題認識のもと、私は「Road to 2020」(2018年3月期~2020年3月期)を、不変の価値観でありDNAであるValue(価値観・DNA)、Mission(存在意義)、Vision(ありたい姿)、Goal(具体的目標)等で構成される「ミッションピラミッド」に落とし込み、戦略と並行して意識改革も推し進めることとしました。

ミッションピラミッド図:Mission=感動体験を創造し続ける。Vision=Be a Game Changer。Goal=営業利益率15%以上、ROA5%以上。

Mission(存在意義)には、私の特別な想いを込めています。我々が世の中に提供するのは、「製品」ではないと考えています。エンタテインメントの本質は、お客様の期待を良い意味で裏切ることであり、その期待値と結果の差である「感動体験」を創造し続けることが我々の存在意義であるという信念が私にはあります。当グループが、「感動体験」を通じて社会に提供する価値を分かりやすく表現したのが、サブタイトル「~社会をもっと元気に、カラフルに~。」です。そこには、広範な事業領域で頑張っている社員の多様な考え方、さらに失敗ですら受容しつつ、一人ひとりの社員がそれぞれの領域で勇気を持って「感動体験」を創造してほしいという願いも込めています。Vision(ありたい姿)の「Be a Game Changer~革新者たれ~」は、当グループがリードして業界及び社会を良りよいものに変えていくという決意です。

こうした全社に明示した方向性に従い、各事業も「ミッションピラミッド」を構築しています。そこでは戦略を推進するための組織を明確化し、戦術も具体化を進めています。さらにそれを各部単位、その下部組織、個人が実践すべきことへと落とし込んでいます。このように単にトップダウンで戦略を掲げるだけではなく、社員一人ひとりがそれぞれの持ち場で納得感を持って自律的に行動できるよう設計した仕組みのもと、個人の実践の積み重ねによって全社の成長戦略を推進していく考えです。

「Road to 2020」

2020年3月期に大きく飛躍

「Road to 2020」では、最終年度である2020年3月期に、連結営業利益率15%、ROA 5%の達成を目指すこととしています。

当グループの長期構想のもと、「基盤事業」で安定収益を生み出しながら、デジタルゲーム分野の強化を進め、同分野の全社売上高、営業利益に占める比率を高めていきます。遊技機事業は3年目に利益面で大きく飛躍するロードマップを描きます。一見、挑戦的な目標に映るかもしれませんが、収益構造の強化が進んでいる上に、ラインナップ編成をはじめ、長期的な視座ですでに様々な手を打っており、2020年3月期の「ジャンプ」を実現していきます。ポイントはデジタルゲーム分野において、いかにビッグヒットを生み出すかです。

売上高と営業利益/営業利益率のグラフ:2020年には連結売上高5,000億円、連結営業利益750億円、連結営業利益率15.0%を計画。

遊技機事業の重点課題

(株)ジーグを強力な切り札に

遊技機事業は、「営業利益率30%*1」を2020年3月期までの目標として掲げています。その達成に向け、3つの重点課題に取り組んでいく方針です。

第一の重点課題は、「リユースの推進」です。液晶に代表される部材のリユース品目数を現行の10~15品目から50品目以上に、原価に占めるリユース対象率を30%から50%以上に大きく高めていく計画です。その目標に整合するように、中期的な視座で製品設計やラインナップ編制を見直しています。大きな改善の余地がある部材の共通化もリユース規模の拡大に効果があり、廃棄リスク低減にも繋がります。製品設計段階から事業プロセスを見直すことで、共通部材比率をパチスロ遊技機は90%以上、パチンコ遊技機は50%に引き上げていく方針です。このほか原価管理もこれまで以上に強化していく考えです。

視野を筐体や部品ユニット、さらには業界全体にまで拡げて共通化を進め、「業界プラットフォームの構築」を目指すのが、二つ目の重点課題です。その切り札となるのが、(株)ユニバーサルエンターテインメントと合弁で設立した(株)ジーグです。(株)ジーグを通じて開発するハイクオリティな共通筐体に加え、汎用性が高い共通部品の活用により、製品力を高めるとともに、将来的に筐体のリユースや部材の購買も連携して行うことで、原価改善を推し進めていく方針です。他の企業も巻き込みながら業界プラットフォームへと発展させていき、業界全体の効率性向上に繋げていくことも見据えています。今後の競争軸は、ハードからアプリケーションに移っていくと見ています。これは当グループの望むところです。創意工夫で大いに差別化を図っていきます。

三つ目の重点課題は、「開発効率の改善」です。企画から型式申請を終えて販売するまでに1.5年から2.5年程度を要していた従来の開発期間は、遊技機の仕様を規定する規則の見直しが今後も起こり得る業界構造を考慮すると、経営上のリスクになります。タイトル数の絞り込み並びに1タイトル当たり開発人員の増加、その他様々な工程に見直しをかけ、開発期間を約20%から30%程度短縮していきます。こうした取り組みを通じて、市場ニーズの旬を逃さずに製品を投入していく一方、当グループの強みである製品クオリティのさらなる向上のため、品質評価プロセスの強化も進めます。

遊技人口の減少に歯止めをかけ、マーケットの活性化をすることに当グループが貢献していきたいという想いを強くしています。従来のお取引先であるパチンコホール様向けに加え、一般のユーザー様向けとした「B to C*2」へとマーケティングのリーチを拡げています。特に、リアルイベント等を通じてパチンコ、パチスロに触れていただく機会をつくり出すほか、スマートフォン向け情報サイト運営等を通じて、遊技人口拡大を目指します。

*1 その他/消去等を除く
*2 Business to Consumer

エンタテインメントコンテンツ事業の重点課題

デバイス軸からIP*軸へ

エンタテインメントコンテンツ事業の目標である「売上高3,000億円以上」「営業利益300億円以上」「営業利益率10%以上」の達成に向けたカギは、「グローバルヒットタイトルの創出」です。

そのための重要施策として、厳選したタイトルへの集中投資を実施するとともに、グローバルマーケットでの販売を促進するための仕組みづくりとして、「事業の軸」もシフトしていきます。これまでは、デジタルゲーム分野のうち、スマートフォンに特化した部門を旧(株)セガから分社化して設立するなど、「デバイス軸」の組織を敷いてきました。成長市場であるデジタルゲーム分野において、スピード感ある戦略展開を実現することがその主な目的でした。デジタルゲーム分野が一定の規模に成長したこともあり、今後は事業の軸と投資判断を「IP軸」にシフトし、同一IPをモバイルやPC、コンソール等のマルチチャネルに展開していきます。アミューズメント機器やアニメーション、玩具など、当グループが強みとする多様な顧客接点へと視野を拡げていけば、さらに可能性は広がります。IPの地域的な展開も、まずローカルマーケットで確実な評価を得るクオリティが高いタイトルを創り上げ、それらを他の地域の市場特性に応じてローカライズし、グローバルに拡販する流れを作り上げていく方針です。当グループの(株)アトラスのパッケージゲームソフト「ペルソナ5」はその一つの成功事例です。同タイトルは、2016年9月に国内・アジアで、2017年4月に欧・米、そして直販体制に切り替えたアジアで発売し、出荷本数は全世界合わせて累計180万本を突破しました。また、IPに関しては既存IPに加え、休眠IP、さらには外部からの導入を含む新規IPなど、活用IPを拡大していく考えです。こうしてヒットタイトルを生み出しながら、IP価値を最大化していく方針です。デジタルマーケティングプラットフォーム「Noah Pass」を強力な武器とし、例えばアミューズメント機器とデジタルゲームなどの相互送客、グローバル展開の際のパブリッシング・ローカライズを進めていく考えです。

こうした戦略を推進するにあたり、組織等の事業構造も再編していきます。IPを軸に各地域のスタジオを編成し、それぞれのIPをマルチデバイスに展開し、パブリッシング機能等は地域ごとに統合し効率的なグローバル展開に繋げていきます。

* Intellectual Property

リゾート事業の重点課題

世界のメジャーオペレーターと同じ土俵で

当グループは様々な事業が、異なる事業環境と対峙しています。多くの事業が規制産業である点も特徴です。当グループの分散されたポートフォリオの強みは、仮にある事業が苦境に立たされても、他の事業で安定収益を創出しながら次のビジネスを生み出すための投資ができる点にあります。そうした強みを活かして育成を進めているのが、リゾート事業です。

国内IR(統合型リゾート)については、多くの企業が参入を表明しています。私は、2017年5月に開催された「Japan Gaming Congress」において、当グループが世界の名だたるオペレータと同じ立ち位置に立つ唯一の国内企業として、カジノのオペレーションも含めてIR(統合型リゾート)全体の運営への参入の強い意志を表明させていただきました。無論、国内企業の中では先行してそのための準備を着々と進めてきました。

リゾート事業は、「IR(統合型リゾート)事業の成功」と「ブランド認知の向上」を目標として設定し、IR(統合型リゾート)事業の成功に向けたノウハウの取得に全力で取り組んでいきます。2012年に完全子会社化したフェニックスリゾート(株)では、リゾート施設運営ノウハウの蓄積も進めています。施設の魅力を高めるための投資を実施し、カジノはないものの、日本有数の複合型リゾートとして日本最大規模のサミットホールを持つコンベンションや、ホテルの開発・運営ができる強みを持っています。カジノの運営ノウハウ蓄積の核となるのは、PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.です。2017年4月には、韓国初のIR(統合型リゾート)「PARADISE CITY」のオープンに漕ぎ着けています。派遣人員を現在の40名弱からさらに増員していきながら、ノウハウの蓄積をさらに加速させていくとともに、日本からの集客を強化するためのマーケティングにも力を入れていく考えです。

最後に

「感動体験」の創造に向けて

2018年秋には、働き方改革を目的としたグループオフィスの集約を実施する予定です。効率的なグループ経営、事業間の連携やシナジー効果の創出、人財交流の促進を目的としています。グループへの帰属意識を、これまで以上に高めることも重要な目的です。

「感動体験」の創造を追求する一人ひとりが結束し、「Road to 2020」の達成に向け、力強く前進していくセガサミーグループにご期待ください。