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    逆境を乗り越え続ける
    遊技機事業

    遊技機事業は、これまで経営環境の変化に伴う様々な困難に直面してきました。そのたびに、自己変革を重ねながら苦境を乗り越え、トップメーカーとしての地位を確立してきました。

  • special_topic2

    世界で支持される
    セガのモノづくり

    「お客様が真に求めるもの」を見つめ、セガグループの強みである品質へのこだわりを追求していくことで世界中に「感動体験」をお届けし、持続的な利益成長に努めていきます。

    (株)セガゲームス 代表取締役社長COO
    松原 健二

  • 遊技機事業は、これまで経営環境の変化に伴う様々な困難に直面してきました。そのたびに、自己変革を重ねながら苦境を乗り越え、トップメーカーとしての地位を確立してきました。

  • 「お客様が真に求めるもの」を見つめ、セガグループの強みである品質へのこだわりを追求していくことで世界中に「感動体験」をお届けし、持続的な利益成長に努めていきます。

    (株)セガゲームス 代表取締役社長COO
    松原 健二

規制の影響を受ける業界

パチスロ遊技機の「5号機」ショック

2004年7月に施行された規則改正は、当時のパチスロ遊技機(4号機)の過度な射幸性の抑制に主眼が置かれていました。かつてない厳しい規則改正のもと、新規則に準拠する機種(5号機)への入替が進むにつれ、遊技性の変化によりパチスロユーザーの減少が進み、ホールに大きな打撃を与えることとなりました。その結果、3年の経過措置を経た2008年のパチスロ遊技機の市場全体の販売台数は、前年比48%減と急減しました。

規制の影響を受ける遊技機業界

遊技機メーカーは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」に基づく複数の許認可プロセスを経た後にはじめて新機種の販売を行うことができます。材質・性能・遊技性などが現行規則で定める規格に適合しているかどうかが審査されます。そのため、適合認定の取得数が販売計画や遊技性の変化に伴う遊技人口の減少等に影響を与える可能性があります。

遊技機の許認可プロセス

遊技機の許認可プロセス

継続的な環境変化と変革

2010年以降、パチンコ遊技機も長期縮小トレンド入り

長期縮小トレンドが続くパチスロ遊技機とは対照的に、パチンコ遊技機は、「5号機ショック」が直撃したパチスロ遊技機からの置換えが追い風となり、2009年までは拡大傾向を辿りました。しかし、遊技人口の減少に伴うパチンコホールの経営状況の悪化や、機械の高額化を背景とする入替需要の鈍化、業界団体の内規変更等によって、2010年以降、現在に続く縮小トレンドに転じていきました。ユーザーの裾野拡大を企図した低貸玉営業も、市場環境を好転させる決定打にはなりませんでした。

変革
変革
変革01

パチンコ遊技機の強化

パチスロ遊技機が低迷する中、パチンコ遊技機もパチスロ遊技機と同様に業界におけるプレゼンスの向上を図るべく、開発力強化を推し進めました。まずは開発体制を見直し、パチンコ遊技機の製品開発力強化を行いました。
パチスロ開発チームの一部をパチンコ開発へとシフトさせたほか、外部意見の取り入れや開発内での厳しい製品評価を通じて製品力の強化を図りました。また、リサーチ専門の部門が収集したマーケット情報をもとに、開発・営業・生産の3部門が開発から販売までのプロセスを共有し、複数のステージで厳しい製品評価を行う「ゲート管理」も導入しました。こうした徹底したマーケットインのモノづくりを磨き上げていった結果、当時パチスロでも人気を博していた「北斗の拳」を2008年9月「ぱちんこCR北斗の拳」として販売し、ユーザーから絶大な支持を獲得することができました。その結果、サミーのパチンコ遊技機の販売台数記録を大きく塗り替える26万台を販売し、その後も、パチンコ遊技機が継続的に上位に食い込み、バランスの取れた製品ポートフォリオの構築という確かな成果に繋げています。

3部門の密接な連携によるマーケットインの開発体制
変革02

パチスロ遊技機(5号機)の市場を牽引

サミーはこれまでも、数々の規則改正に順応し、業界をリードする斬新な遊技機を世に送り出してきました。2009年3月期におこった「5号機ショック」(P.44)の際にも、「パチスロスパイダーマン」や「パチスロリングにかけろ」など、新しいゲーム性を備えたタイトルを生み出し、ユーザーから支持されてきました。特に、5号機の枠組みの中で、新たな遊技性を実現した「パチスロ交響詩篇 エウレカセブン」は、サミーが他に先駆けて環境変化を乗り越える原動力となるとともに、他社からも同様の製品がリリースされるトレンドを生み出し、パチスロ市場の拡大を促すきっかけとなりました。
積極進取」を社是に掲げるサミーが今後も業界トップクラスの開発力を磨き続け、イノベーションを次々に生み出すことで、新たな規則改正に柔軟に対応し続けていきます。

変革03

6号機によるマーケット環境の変化

2018年2月に施行された規則改正では射幸性が抑制された一方、出玉規制において出玉率の上限だけでなく、下限が設けられたことによって、よりカジュアルで遊びやすい遊技機を開発することが可能となりました。
パチスロ遊技機では自主規制の変更により、短時間で楽しんで頂ける遊技機の開発が可能になり、またパチンコ遊技機では、新たに「設定」を設けることができるようになったことで、より幅広い遊びをユーザーに提供できるようになります。
特にパチスロ遊技機においては、新基準機でユーザーの遊技時間が短縮することによる新たな需要の掘り起こしが期待されています。近年のパチスロ遊技機は、ユーザーがプレイするために必要な時間が長くなる傾向にあり、この「遊技の長時間化」がライトユーザーの遊技機離れや、新規ユーザーの参入を妨げる要因となっていました。今回の規則改正によって、短時間で気軽に遊べる遊技機をユーザーに提供することで、スリープユーザーの回帰や、新規ユーザーの参入を促すきっかけとなり、遊技人口の減少及び遊技機市場の縮小に歯止めがかかると考えられています。

新たな市場環境の変化をチャンスに変えるために

マーケット環境が縮小傾向にある中、「Road to 2020」の目標を掲げる上でリユースの推進が今後の業績や業界を大きく左右します。まず、リユースの中核部門として、リユース推進部を立ち上げ、リユース対象部品の拡大や部品共通化促進などの徹底的な直材費の抑制などに取り組んでいます。
また、サミーは、(株)ユニバーサルエンターテインメントと合弁会社(株)ジーグを2016年3月に設立しました。遊技機のユニット・部品の共通化を進めることに加え、業界全体でのプラットフォームを視野に入れた協業で業界を牽引していきます。

(株)ジーグの描く将来ビジョン

サミーは(株)ユニバーサルエンターテインメントが持つハードウェア分野のノウハウとこれまで培ってきた技術力を融合して製品力の向上を図り、原価改善による効率的な収益構造の構築を両立させ、大きなシナジー効果を創造するべく取り組みを進めています。さらに多くの遊技機メーカーを巻き込みながら、業界全体の効率性向上と活性化への貢献を目指しています。
また、(株)ジーグでは直近のハードウェアを中心としたリユース強化に関わる取り組みだけでなく、遊技機業界のさらなる先を見据えてソフトウェア開発キット(ZSDK)の開発もはじめています。
キーワードは「ZSDK」(ZEEG Amusement machine Software Development Kit.)です。遊技機開発のキモとなる開発のソフトウェア部分を共通化し、シンプルな構成の遊技機であれば統一ソフトで創りだせるような、「ハード+ソフト」の一体化販売も実現できるようになります。これにより参入障壁が下がることで、各社のコンテンツ開発を活かし、効率的に機械開発を進め、市場活性化に繋がることも期待できます。今後、業界プラットフォームの構築を実現し、業界全体を牽引していくための希望がZEEG(最後(ZEE)の卵(EGG))に込められているのです。

(株)ジーグのビジネスモデル—企業の垣根を越えたリユース効果の発現

例えば、サミーの筐体を回収後、(株)ユニバーサルエンターテインメントが活用することで、これまでの企業単体でのリユースからより大きなスケールのリユースが可能になります。これに伴い調達コストの大幅な削減が実現できます。プラットフォーム参加企業が増加すれば、他社への筐体販売推進によるさらなる利益改善(汎用筐体の活用)も期待できます。

「モノづくりへのこだわり」が
セガグループの強み

(株)セガゲームスには、セガグループの底流として一貫して存在する文化があります。それは、「モノづくりへのこだわり」です。これまでにセガが提供してきた革新的な製品・サービスに代表されるようなグラフィックやゲームシステム、世界観、音楽などあらゆる面での徹底した品質へのこだわりは、紛れもない強みです。こうした文化は、国内外にあるグループの事業会社やスタジオとも共有しており、セガグループ全体の強みともなっています。近年のパッケージゲーム分野では、グループ中期目標「Road to 2020」で強化を進める海外においてもこうした強みが発揮され、販売が好調に推移しています。そしてこの海外が牽引役となり、グローバル規模で業績が上向きつつあります。

世界で評価されたセガの品質

セガグループを代表するIPに「ソニック」が挙げられますが、2017年8月に発売した「ソニックマニア」は、全世界でダウンロード数100万件を超える大きなヒットとなりました。同タイトルは1991年に登場した初代「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」をはじめ、メガドライブ時代の「ソニック」タイトルのトリビュートタイトルです。オリジナル版の世界観を損なうことなく、新たな要素が盛り込まれた同タイトルは、2Dグラフィックのソニックから親しんでいただいている長年のソニックファンも含め海外を中心に多くのユーザーの支持をいただくことができました。近年、海外のパッケージゲーム市場では、評価サイトのレーティングが販売に大きな影響を与える傾向が顕著です。その一つに、「Metacritic」と呼ばれるゲーム、映画、音楽等の評価サイトで「ソニックマニア」は大変高い評価をいただきました。
また、グループ会社である(株)アトラスの「ペルソナ5」は、海外では2017年に発売されているのですが、2017年のPlayStation®4版のゲームランキングにおいて、世界のメガパブリッシャーのタイトルを含む膨大な数のタイトルの中で、総合評価No.1を獲得しています。
同タイトルは、全世界累計で220万本を超えるヒットを記録しているのですが、海外で国内の倍以上を販売しています。強調させていただきたいのは、日本の高校生を主人公とし、日本の世界観で満たされたRPGであるにもかかわらず、です。

また、「龍が如く6 命の詩。」は、やはり東京や広島を舞台にした伝説の極道を主人公としていますが、海外版の販売本数は国内版と同水準を記録しています。これらのシリーズは、かつては売上のほとんどを日本市場が占めており、海外で支持される要素は持ちながらも、欧米市場を意識して開発してきたわけではありません。日本のファンに支持されるよう、モノづくりを地道に積み重ねていった結果、単純に日本の人気タイトルというだけではなく、洗練されたゲームセンスが一つの作品として認められ、海外のファンにも支持を受けることができたからこそ、世界でもヒットタイトルになったと考えています。セガグループへの評価の高まりは、海外における安定的なリピート販売にも見て取れます。以前は発売から2ヶ月間でいかに販売本数を積み上げるかが勝負で、それ以降は、廉価版を投入したり、在庫を処分するために値下げしたりせざるをえませんでした。しかし、特に欧州市場で大きな市場を築いているダウンロード販売サイト「STEAM」等の影響に加え、「ソニック」シリーズのようにシリーズ作の投入等の施策が奏功し、初回の発売から数年経過したタイトルでも需要が衰えずにリピート販売が継続する傾向が続いています。開発費の償却を終えた後でのリピート販売は、収益性に効いてくることは言うまでもありません。

ペルソナ5

世界展開を支えるローカライズ力

海外が好調な背景には、もう一つ重要な要因があります。日本のタイトルを海外で発売する前には、それぞれの国や地域の言語に翻訳する「ローカライズ」を行います。例えば、「ペルソナ5」は3言語(英語版、繁體中文字版、ハングル版)に翻訳しています。いかに日本でヒットしたとしても、ローカライズが不十分なままでは、世界のファンの支持を得ることは困難です。セガグループには、海外での販売を行う上で大きな差別化要素となるローカライズ力を持ったスタジオがあります。2014年に事業譲渡を受けた(株)アトラスが米国カリフォルニア州に有するスタジオは、日本のゲームと米国のゲームの双方をよく理解し、日本のゲーム独自の世界観を現地ユーザーに的確に伝わる形でローカライズする力を持っています。独自の世界観が反映されたローカライズによってそのゲームが持つ面白さ、価値を最大限届けることができ、現地ユーザーからの極めて高い評価に繋がっています。また、製品開発の途中段階からローカライズチームと内容を共有し、ゲームの完成前から翻訳を開始することで、速やかな海外版のリリースを実現しています。「Road to 2020」で目指す「世界同時リリース」に向け、こうした連携を一層強化していきたいと考えています。

ローカライズ力

各プロジェクトが利益責任を担うシステム

いかに高い品質を追求しても、利益に繋がらなければ、「感動体験」を継続的に提供し続けることはできません。「本当にそれはお客様が求めているものなのか」を一段上のレベルで考えるよう意識を高めるとともに、各開発プロジェクトの「営業利益」に対する利益責任を明確にしました。一人ひとりが納得感を持ち、自律的に開発コストをコントロールしながら、マーケットの支持を得るモノづくりを促進することが狙いです。また、ヒットは狙って生み出せるものではありませんが、不採算タイトルを未然に防ぐことはある程度コントロール可能です。厳しく採算性を評価し、追加投資してまで継続すべきではないと判断した際は、止むなくプロジェクト中断を決断してきました。こうしたプロジェクトごとの採算性を高める仕組みの浸透も、近年のパッケージゲームの収益性改善に大きく寄与しています。
好調なパッケージゲーム分野とは対照的に、デジタルゲーム分野はここ数年、十分な投資の成果を出せず、伸び悩んでいます。「チェインクロニクル」や「ぷよぷよ!!クエスト」「オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-」などの主力タイトルも、サービス開始から時間が経過しており、現段階では突き抜けた存在にはなっていません。また、「D×2 真・女神転生 リベレーション」や「共闘ことばRPGコトダマン」といった新たなタイトルに手ごたえを感じてはいるものの、まだまだヒットタイトル数は足りていません。新たなヒットを創出するためには、「真にお客様が求めているものになっているのか」を見つめ直す必要がありますし、開発スケジュール・コスト管理、リリース後の運営力なども強化が求められます。この分野にもプロジェクトごとに営業利益目標を定め、責任を明確化するという、パッケージゲーム分野で成果を得たアプローチを適用しています。また、デジタルゲームは、パッケージゲームと比較して開発期間が短いため、開発フェーズごとの会議による審査のほかに、月次で確認機会を設け、きめ細かくチェックしていくことで、スケジュールやコストを含めた開発の精度の向上を図っています。

システム

豊富なIP資産の価値最大化に向けて

デジタルゲーム分野の市場が急成長している局面では、デバイス軸で分社化することで成長のスピードに対応し事業を拡大してきました。一方、市場の成長が鈍化傾向を辿る中では、デバイスの別なく展開をはかり、豊富なIP資産の価値を最大化する運営体制に合理性があります。そのため、2017年4月にデバイス別に分かれていたカンパニー制を廃止し、IP軸の組織に変更しています。そして「Road to 2020」で重点課題として掲げる「グローバルヒットタイトルの創出」に向け、既存IP、休眠IP、新規IP、外部IPなどのIP資産をフル活用し、同一IPのマルチチャネル、グローバルマーケットへの展開を推進しています。

リバイバルIPにおけるグローバル連携
龍が如く

IP軸で組織が再編されたことで、例えば「龍が如く ONLINE」のように、従来パッケージゲームを手掛けていた開発チームがデジタルゲームの開発も行うなど、これまでとは異なるプラットフォームへの挑戦が進んでいます。また、組織間連携も活発化しています。(株)アトラスが、(株)セガゲームスのメンバーと連携し、家庭用コンソール向けRPG「女神転生」のスマートフォン向けアプリ「D×2 真・女神転生 リベレーション」の配信を2018年1月より開始したのはその一例です。また、「Total War:WARHAMMER」などに代表される、外部IPとのコラボレーションを通じたタイトルでも着々と成果が出ています。
休眠IPについては、1999年に初登場した「シェンムー 一章 横須賀」、及び「シェンムーII」の復刻となる「シェンムー Ⅰ&Ⅱ」を2018年に発売しています。本タイトルでは、イギリスを拠点に置く開発スタジオであるSEGA Europe Ltd.がパブリッシングに直接関わっており、スタジオを超えた連携も進展しています。その他、リバイバル版だけでなく2018年4月にプロジェクト始動を発表した「新サクラ大戦(仮題)」のように完全新作を投入するという取り組みもあります。
セガグループには、世界中に4,000名を超える開発者がいますので、こうした形で国や地域、スタジオの垣根を越えて、「世界」で作り、「世界」のマーケットに届けていく仕組みを根付かせていきたいと思います。

セガグループの大きな潜在力

一定の収益改善には成功したと考えていますが、これはスタート地点に過ぎません。今後、既存IPの伸長・休眠IPのリバイバル・外部IP資産の有効活用と、新しいIPの創出の「両輪」が回っていけば、私たちは、「感動体験」をより多くの人びとに届けていくことができると思います。そしてこの「両輪」のそれぞれの「輪」を、大きく拡げていく潜在力が、セガグループにはあると確信しています。そして、その実現こそが株主の皆様にも喜んでいただくことに繋がると考えています。社員とともに、グループの大きなポテンシャルを引き出していきたいと考えています。