旧式の端末・ブラウザでご利用になっています。
最新端末・ブラウザでのご利用を推奨いたします。

MESSAGE

CFOメッセージ

深澤 恒一 常務取締役グループCFO
深澤 恒一 常務取締役グループCFO

財務戦略を中長期的な視座で
ステップを踏みながら遂行し「Road to 2020」と、
その先の持続的企業価値拡大を支えていきます。

深澤 恒一
セガサミーホールディングス(株)常務取締役グループCFO

財務戦略の基本スタンス

財務戦略を通じて事業戦略を後押ししていきます。

当グループは、2020年3月期までの中期事業戦略「Road to 2020」のもと、経営目標として定める営業利益率15%、ROA 5%に向けた、事業戦略を推進しています。また事業戦略と、「コインの裏表」の関係性にある財務戦略では、事業戦略を支えるための財務戦略を中期的な視座で描き、計画的に取り組みを進めています。
2018年3月期においては、2年ほどかけて枠組みづくりを進めてきた国内におけるグループの資金調達・運用の一元管理が完了しました。将来キャッシュ・フロー予測の精緻化や資金効率の向上、事業の収益性向上に向けた本格運用を開始したことから、次のステップとして「グローバル」と「リスクエクスポージャー」を財務的なテーマに位置付けていきます。
当グループは、海外売上高比率が10%程度と現時点では高くはありません。しかし、国内市場で長期的に進む少子化による影響は不可避であるため、トップマネジメントは、デジタルゲーム分野やパッケージゲーム分野などを中心に、海外事業の拡大を重要な経営課題と捉えています。そうした経営ビジョンに先んじて、まずは、海外の商取引における為替のエクスポージャー管理からスタートしていきます。その後は、調達資金の金利感応度管理、そしてグループ全体のグローバルマーケットにおける財務リスク管理へと、スコープを拡げていきたいと考えています。将来的にはグローバルでの資金調達・運用の一元管理も視野に入れています。

「Road to 2020」に向けての財務・資本戦略と今期の戦略

成長分野への投資を支えます。

中期事業戦略に掲げる「Road to 2020」では、「グローバルヒットタイトルの創出」を目指すデジタルゲーム分野を中心とする成長分野への積極的な投資を方針として掲げており、財務戦略としては、必要となる資金の手当てを行う一方、財務規律も注視することで、そうした事業戦略を後押ししています。
デジタルゲーム分野における新作タイトル投入を加速させる2019年3月期は、研究開発費・コンテンツ制作費は当期比113億円増の733億円へと増加し、広告宣伝費は同67億円増の221億円を投じる計画です。2018年8月よりグループ会社の本社機能の移転・集約を段階的に進めていく計画であり、それに伴う一過性の移転費用として75億円を計上する見込みです。事業間の連携強化やシナジー創出のみならず、管理部門の機能の標準化と統合、あるいは共通のインフラの導入を積極的に進めていくなど、投資効果をさらに追求していきたいと考えています。

IR(統合型リゾート)参入を見据えて

強靭な財務基盤とネットキャッシュポジションの維持を優先しています。

長期的な事業戦略の柱と位置付ける国内IR(統合型リゾート)は、どのような事業構造、ファイナンス形態になるかは現時点では未定ですが、参入を表明している世界のメジャーオペレータと同じ立ち位置に立つ唯一の国内企業として、ビジネスの主導権を握っていくためには、仮にコーポレートファイナンスとなった場合にも対応できるリスクバッファとしての自己資本の厚みと、資金調達の機動性や柔軟性を確保していく必要があります。そのため当社では、ネットキャッシュポジションの維持を優先しています。
2018年3月期は規則改正を受け、キャッシュの源泉である遊技機事業が生み出すグロスキャッシュ・フローの減少が見込まれる中でも有利子負債の圧縮を進めました。その結果、有利子負債は前期末比159億円減の869億円となり、ネットキャッシュは896億円となりました。その一方で、コミットメントライン契約(約550億円)、当座貸越契約(約754億円)の確保等、機動的な資金調達の選択肢を継続的に拡げました。

2019年3月期計画
2019年3月期計画

事業ポートフォリオ管理

現状に満足することなく、資産効率を厳しくモニタリングしていきます。

今後は国内IR(統合型リゾート)への参入を控えているため、自己資本の厚みを確保するステージにあることに加え、セガサミーグループとして一体感を持って取り組むことができることから、現在はROEではなくROAを重要指標に定めています。
2017年3月期に実行した資産のリバランスを通じて、一定の「資産の質」の改善は進みました。しかし決して現状に満足することなく、常に資本コストを意識ながら厳しい目線で事業を評価し、ROA 5%に向けた事業ポートフォリオ管理の強化に取り組んでいます。
現状では先行投資のステージにあるとはいえ、リゾート事業のパフォーマンスは重要な課題と捉えています。とりわけフェニックスリゾートは、収益モデル強化の必要性を認識しています。投資に関するハードルレートを厳しく設定するとともに、追加投資に依存するのではなく、消費者のニーズを掴む工夫やブランドの育成が、重要だと考えています。リゾート事業は「第三の柱」と位置付けており、近い将来には、国内におけるIR(統合型リゾート)参入を目指していますので、より高い目線で投資効率を高めていかねばと気を引き締めているところです。
これまで当グループは、P/Lを中心とした画一的な指標で事業を評価してきました。今後は、キャッシュベースや資産効率性などの財務KPIに加え、労働生産性や企業活力などの非財務KPIといった評価指標の導入を通じ、事業の特性に合わせた多面的な評価を行い、計画の精度向上、投資効率管理の厳格化に繋げていきます。