the MANAGEMENT TEAM 経営陣の考えを把握する A Message from the Chairman of the Board, CEO, and COO

持続的な企業価値向上の実現に向けて、グループ一丸となって戦略を実行していきます。セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長兼CEO兼COO 里見 治

成長戦略の実行期へ

成長軌道への回帰に向けた戦略を実行開始

成長事業の成長戦略国内デジタルゲーム市場は、成長率が鈍化し上位30位以下は投資回収すら厳しい二極化市場に突入しています。国内では、「チェインクロニクル ~絆の新大陸~」や、「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-」等の大型アップデート等、既存主力タイトルへのリソースの重点配分による収益性の改善に力を注ぎます。その一方で、上位に食い込むようなタイトルの開発も継続していく方針です。また、総ユーザー数が1億3,000万人を超えたアプリ間相互送客システム「Noah Pass」をビジネス基盤とし、広告事業等へと収益源の多様化も図っていきます。また、将来を睨んだ種まきも進めていきます。6億人の域内人口を擁する東南アジアは、スマートフォンの浸透率が極めて高く、今後の所得水準の上昇局面では、スマートフォン向けアプリの市場が立ち上がる可能性が高いと予想しています。数年先を見据えながら、そうした新興市場の市場育成を進めていきます。「Noah Pass」サービスの一つであり、海外進出を図るゲーム企業様向けのゲームプラットフォーム「goPlay(ゴープレイ)」の立ち上げはその一環です。

先行投資段階にあるリゾート事業の当面の課題は、フェニックスリゾート(株)等の国内施設の黒字化を定着させることです。その次のステップは、2017年4月に韓国仁川でオープンする「パラダイスシティ」を成功に導くことです。こうした取り組みに加え、PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.が運営する「Paradise Casino Incheon」への人財の派遣を通じてIR(統合型リゾート)のノウハウを蓄積していきます。国内IRが実現した暁には、リゾート事業は、当グループの大きな収益の柱になっていくと考えています。もちろん国内IRについては法案成立前であり、現段階では不確定要素が多いのは確かです。しかし、慎重な投資姿勢を徹底しており、また蓄積したリソースを活用した新たな展開も構想しています。当グループの未来を担う事業として、ぜひチャレンジを続けていきたいと思います。

安定収益・維持事業の成長戦略遊技機事業では、営業利益率を2016年3月期の14.8%*から、2020年3月期には30%に高めていく計画を設定しました。マルチブランド戦略の見直しによる営業リソースの集約等、販売面での効率化と部材共通化等のリユース促進に向けた施策による原価改善を両輪とし、筋肉質な収益構造を構築し、目標達成を目指します。

遊技機市場は、長期的な遊技人口の減少や2014年に実施された型式試験の運用方法変更の影響を受けていますが、視点を変えると厳しい経営環境の中にも機会を見出すことができます。投資余力が低下したパチンコホールの需要が、回収確度が高いブランド力を持つIPや遊技機メーカーの機械に集中する傾向が強まり、メーカー間での優勝劣敗が一層、鮮明化しています。トップシェアを継続的に獲得しているパチスロ遊技機はもとより、パチンコ遊技機も着実にブランド力を向上しています。2016年3月に市場投入した「ぱちんこCR真・北斗無双」は、安定した稼働を実現し好調な販売を記録しています。環境変化がある中でも、創意工夫によって旧基準機に負けない遊技性を実現できる、サミー(株)の企画・開発力を証明した好例となりました。

マーケットでは現在、メーカーの責任が販売後のメンテナンスにまで拡大する動きがあります。それが意味することは、今後は「故障率の低さ」も差別化要素になっていくということです。業界でも低い故障率を誇る当グループにとっては追い風となり得ます。企画・開発力と製品の信頼性を両輪に、「勝ち組」としての地位を盤石にしていきたいと考えています。

エンタテインメントコンテンツ事業は、2020年3月期の目標として営業利益200億円の達成と定めました。牽引役となるのはデジタルゲーム分野ですが、「安定収益・維持事業」も、現在の2倍近くの利益を創出していく必要があります。分社化によって強化した経営推進体制を基盤に、既存領域での安定的な利益創出を目指すとともに、変革も継続していきます。アミューズメント機器分野では、「艦これアーケード」をはじめとする幅広いユーザー層をターゲットとする製品の投入に加え、他のメディアとの連携等を通じて新たなビジネスモデルの可能性も探っていきます。アミューズメント施設分野では、運営力の強化と自社大型タイトルの導入、プライズ機の増台などにより、引き続き収益性の改善に注力します。また、電子マネーの導入等、ユーザーの裾野拡大に資する施策も打ち出していきます。パッケージゲーム分野については、主力IPへの絞り込みによる収益性の改善に軸足を置くとともに、主に海外でPCゲーム分野の着実な成長を実現していきます。「Total War:WARHAMMER」は、2016年5月のリリースからわずか4日間で販売数が50万を超える驚異的な滑り出しを見せています。

* 遡及修正後

業界活性化に向けた協業遊技機市場は市場規模が縮小する一方、部材の価格上昇や、研究開発費の増加等がコスト面に影響を及ぼしてきました。当グループは、競合関係にあった企業と手を結び、こうした構造的な課題解決に着手しました。 2016年3月、当社は(株)ユニバーサルエンターテインメントと合弁会社(株)ジーグを設立し、部品やその関連機器の仕入、製造、開発、販売で協業を開始しました。ユニット・部品の共通化や技術連携によりエンタテインメント性の向上と収益力強化を同時に実現していきます。業界におけるユニット・部品のプラットフォーム化も視野に入れていきます。アミューズメント施設分野では、(株)コナミデジタルエンタテインメントと電子マネーインフラ整備における協業検討で合意しました。これまで消費税の引き上げに伴う収益性の低下や、ユーザー層の拡大という課題解決を企図し、各社が導入してきた異なる電子マネーの規格を統一することが協業の目的です。

長年、しのぎを削ってきたライバル企業とも危機感を共有し、手を組むことができる分野は積極的に協力し合い、企画等の付加価値を生み出す源泉となる領域では、これまで通りお互いに切磋琢磨していきながら市場を盛り上げていきたいと考えています。

2020年3月期の目標達成に向けて

旧(株)セガとサミー(株)との経営統合から10余年が経過したセガサミーグループは、残念ながら既存事業の構造変化が進む中で、未だ成長トレンドへの回帰を果たせずにいます。これまでの10余年を振り返ると忸怩たる思いが残ります。

経営統合直後の1,000億円規模の営業利益を再び達成したいという私の思いは捨ててはいません。しかしまずは、課題を真摯に認識し、利益率に軸足を置きながら2020年3月期の目標達成に向け、グループ一丸となって戦略を着実に実行していきたいと思います。

株主・投資家の皆様には引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。

2016年8月

里見 治 セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長兼CEO兼COO

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