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BATTERY

谷田部、渡邊、成田、上津原 - 坂田

HOMERUN

照屋(1回2ラン、6回ソロ)、久保(1回ソロ)、佐藤(俊)(4回ソロ)

戦評COMMENT

掴みかけた勝利が目の前をすり抜けていった。3点リードで迎えた9回裏。野手のミスと相手打線の強打により4点を失いサヨナラ負け。終盤はエース・上津原投手がマウンドを守っていただけに、まさかの敗戦となった。それでも、4本塁打と効果的なスクイズ、犠飛で7点を奪った戦いぶりは、チームの成長を印象づけるものだった。

 

夢なら覚めてほしい――。祈るベンチ。固唾を呑む三塁側スタンド。ことさら、最終回のマウンドに立ったエース・上津原詳は、そんな心中ではなかっただろうか。
まさに、悪夢だった。9回表、6番坂田精二郎の二塁打を足がかりに一死三塁と攻め立て、8番城下尚也の犠飛で加点したチームは、勝利に自信を深めて最終回を迎えた。6回途中からマウンドを守り続けていた上津原に、この日も不安要素は見当たらない。3点リードは、予選の防御率0.29、本大会初戦も完封劇を演じた右腕エースを考えれば、大きなアドバンテージだった。先頭打者に内野安打で出塁されるも、後続を討ち取り二死までこぎつける。ここでJEE東日本の2番大河原選手の打球が遊撃手・宮之原裕樹の左横に飛ぶ。センター前に抜けても不思議ではないヒット性の打球だったが、宮之原が素早く反応して好捕。その瞬間、勝利への自信は確信へと変わった。
だが、野球とは最後までわからないものである。守備には絶対的な自信を持つ宮之原が、よもやの一塁悪送球。相手のスコアボードに1点が加わった。点差を考えればまだ余裕はある。だが、1つのミスをきっかけに上津原が怒涛の連打を食らう。1点差、同点……。最後は二死二塁からJFE東日本の5番田浦選手に右越えへ運ばれ、サヨナラ負け――。
マウンド上で膝から崩れ落ちるように体を沈めた上津原は、打球の行方を呆然と見つめるしかなかった。試合後の佐々木誠監督の言葉である。
「選手は一生懸命にやってくれました。でも、勝っている試合で最後まで我慢できないというのは、やはりまだまだ若い力ということなんでしょう。9回の宮之原のエラーは責められない。今日のエラーを今後のバネにしてやってくれると思います」  敗れはしたが、試合運びは理想的だった。1回表には右前安打の2番大西主晃を塁に置き、3番照屋真人が右翼席中段に飛び込む2ラン本塁打、さらに5番久保穣にも左翼へのソロ本塁打が生まれて3点を先制する。その裏、1点差にまで詰め寄られるが2回表、この回先頭の7番佐藤俊和が右中間二塁打を放ち出塁。犠打で一死三塁とすると、9番宮之原が絶妙なスクイズを決めて1点を追加した。
「3点取ってもすぐに2点取られる嫌なムードだったので何とかしたかった」
そう振り返る佐藤俊は、4回表の第2打席で左中間スタンド中段に飛び込むソロ本塁打。6回表には、照屋にこの試合2本目となる本塁打が生まれてさらに加点。東京二次予選でともに苦しんだ照屋と佐藤俊の打撃は、チームに勢いと勇気を与えるものだった。投げては、先発の谷田部光司(東京ガスから補強)がベテランらしく要所を締めて5回を2失点。悪夢の最終回を迎えるまでは、投打ともに最高のパフォーマンスを見せてくれたと言える。
試合後、主将の照屋は言葉を詰まらせながらこう語った。
「予選からずっと投手に助けてもらってきました。今日は攻撃陣が振れていたので、やっと投手を助けられたと思ったのですが……」
予選も含め、チームの躍進を支えたのがエース・上津原だった。上津原から始まり、上津原で終わった今夏の都市対抗。最後は、悔しさが残る幕切れとなったが、手にした東京ドーム初勝利と大舞台での個々の自信は、きっと今後の大きな糧となるに違いない。

 

――勝利が見えかけた中での敗戦を振り返っていかがですか?

照屋 東京ドームの怖さというか…、若さっていうんでしょうか…。9回二死からの負けですからね。辛い最終回となってしまいました。

それでも、序盤から打線は得点を重ね、常に主導権を握る理想的な試合展開を見せてくれました。照屋選手自身も、1回表に2ラン、6回表にソロと2本のアーチをかけるなど。

照屋 でも、どれだけ打っても負けてしまったら意味がありません。まずはチームの勝利。僕らは常にそう思っていますから。

――今大会を振り返ると、東京ドーム初勝利などチームとして得たものは多分にあると思います。最後に主将として、今後の抱負をお願いします。

照屋 もちろん勝利から得た財産はありますが、あくまでも僕らはさらに上を目指してやっているので、今後はもっと心を鍛えて戦いに挑んでいきたいと思います。