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  • 明治安田生命
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BATTERY

南、天沼、井上、渡邉-谷澤、乗替

戦評COMMENT

今大会最終戦となった明治安田生命戦は、中盤以降、少ない好機に貴重な適時打が飛び出して勝利を手にした。投げては先発の南大介が5回を投げて1安打ピッチング。結局、4投手の継投で相手打線に点を与えなかった。この試合での勝利は勢いとなるか。4月上旬からは各地方大会に挑む。

執念の一打に、思わず体が敏感に反応した。
両軍無得点で迎えた5回裏。一死から2番宮之原裕樹が相手内野手の失策で出塁する。続く3番照屋真人が四球を選び一、二塁。4番DHの坂田精二郎の右飛で二塁走者の宮之原がタッチアップの体勢から果敢に三塁を狙い一、三塁とし、さらにチャンスは広がる。ここで打席に立つは、5番三塁手の安井正也。JR東日本戦に続きスタメン出場を果たした安井の内なる闘志は燃えていた。
「チームの課題でもありますが、積極的にファーストストライクから振ることを考えていました。それまで大事な局面での1本がなかなか出ていなかったので絶対に打ちたかった」  迷いはなかった。結果はファールとなったがファーストストライクから熱を帯びたスイングを繰り返した。カウント2-2。それまでの積極策が結実したのが5球目だった。外角高めのストレートをとらえた打球が一塁線を鋭く抜ける。先制打となる二塁打。5回まで1安打無失点の先発・南の好投に報いる一打でもあった。
その瞬間、安井の右手の拳は晴れ渡った空に向って一直線に伸びていた。それは、自然の流れ――。入社1年目の昨シーズンは出場機会に恵まれず、代打での出場が主だった。悔しかった。同時に自らの未熟さも痛感した。気持ち新たに挑む今シーズンは、外野の他にも「大学時代は一度もやったことがなかった」不慣れな三塁の守備にも挑戦しながら出番を待つ。今試合では4回表に失策を記録するも、7回表の一死一、二塁のピンチでは5-4-3と渡る併殺を難なく決めて見せた。
「課題は多いですが三塁の守備練習は本当に楽しい。出場機会を無駄にしないように、今後に繋げていけるように守備でも結果を出していきたいですね。今、僕にとってはチャンスですから」
一見、大げさにも映ったパフォーマンスだったが、そこにはチャンスに飢えた男の思いがギュッと凝縮されていた。一球一打に強い意志を宿す。そんな姿こそが、今のチームに求められるものだろうか。
安井の意地の一打で主導権を握ったチームは、8回裏にも7番佐藤琢真のこの試合3本目となる安打を足がかりに、代打・川端裕也の中前安打で1点を追加。投げては先発の南からマウンドを譲り受けた天沼秀樹、井上敦之、渡邉裕之の完璧なリレーが決まり、大敗を喫したJR東日本戦の重い空気は払拭された。
試合後のベンチ裏。後片付けを急ぐ安井の掌を見せてもらった。左の掌には、日々の鍛練の証と言える、いくつもの皮が重なり合った大きなマメができていた。