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BATTERY

渡邉、木村、南-坂田

HOMERUN

照屋(7回ソロ)、久保(7回2ラン)

戦評COMMENT

魅せた!笑った!終盤の集中攻撃で強豪・JR東日本を粉砕だ!1点を追う7回表、代打・照屋真人のソロアーチで同点とすると、さらに久保穣に2ラン本塁打が飛び出して一気に逆転。8回表にも2点を追加したチームは、最後は南大介が締めて逆転勝利を収めた。

 

想いが詰まった、濃密な時間だった。
2安打無得点。6回まではJR東日本の先発・佐藤大投手の前に成す術がなかった。1点ビハインドで迎えた7回表も、先頭の2番大西主晃が中飛に倒れて一死。攻略の糸口が見つからない。続く打者は3番宮崎祐樹の代打、照屋真人。初戦の東京ガス戦で精彩を欠いた照屋は、敗者復活1回戦に続き、この試合でもスタメンから外れていた。集中力を高めて静かに足場をならす照屋の後姿を見て、ネクストバッターズサークルに立つ4番佐藤俊和は直感した。
「何となく『打つんじゃないかなあ』と思った。そうしたら、あれ?あれ!!という感じで打球が飛んでいって」
初球だった。本人曰く「外角のシンカー系の変化球」を捕らえた打球が青い空に高々と舞い上がる。一瞬、「外野フライか……と思った」が、想いが詰まった打球は失速することなく左翼のフェンスを越えた。佐々木誠監督は「悔しい想いをバットに乗せてくれた」と、主将の一撃を称えた。照屋が振り返る。
「気持ちが運んでくれたホームランです。打てたのは、撰田さんのおかげ。感謝のひと言です」
東京ガスとの初戦があった6月23日。試合を終えてしばらくすると、照屋の携帯電話に撰田篤副部長から連絡が入った。
「(打撃練習に)つき合うぞ。何本でも打て」
八王子のグラウンドに戻ると、照屋は撰田副部長の投げる球をひたすら打ち続けた。優に300球は超えた。
「僕が弱音を吐きそうになると『遠慮せずに打て。何本でもつき合うぞ』って言ってくれて……。本当にありがたかったですね」  不調に喘ぎ、悔しさを滲ませる照屋の想いはチームメイトの誰もが感じ取っていた。だからこそ、照屋が築いた流れは断ち切りたくない。同点弾の直後、4番佐藤俊和の二塁打、さらに5番久保穣の2ラン本塁打が飛び出した場面は、選手たちの想いを象徴するシーンだったと言える。初球を左翼席に叩き込んだ打席を久保が振り返る。
「真ん中高めのスライダーです。体が自然と反応した。とにかくガムシャラでした。試合前から今日はいつもと雰囲気が違いました。スタッフの言葉も『勝つぞ!』ではなく、『勝て!』でした。今日は、チームがひとつになって勝った」
都市対抗予選に限って言えば、JR東日本は何度となく苦汁をなめさせられてきた相手。2年前の07年、初戦に勝ったのが唯一の白星だった。二死から1番兼田一平の三塁前へのセーフティバント、2番大西の中前安打、そして照屋の右越え二塁打で2点をもぎ取った8回表の攻撃もそうであるように、この試合での勝利への執念は凄まじかった。また、終盤の集中攻撃を演出した守備力も忘れてはいけない。先発の渡邉裕之は、6回を投げて被安打6の1失点。粘りの投球が光った。さらに1回裏、JR東日本の先頭打者・重谷選手の一、二塁間を抜けるかと思った打球をダイビングキャッチした一塁手の佐藤俊和のビッグプレイ、そして3回裏、フェンス際の打球を体を張って好捕した左翼手の川端裕也のプレイは、チームに勢いと勇気を与えるものだった。佐々木監督は、価値ある勝利に納得の表情を浮かべ、そして次なる戦いを見据える。
「今日は、選手全員が気持ちをひとつにして勝った。選手を褒めてやりたいです。4年間一生懸命に野球に打ち込む姿を見てきた中で、そんな選手が出場して結果を出してくれたことはうれしいですね。でも、試合はまだ終わってはいません。もっと反骨精神を持って、選手たちには頑張ってもらいたい」
試合後、ベンチ裏で喜びを爆発させた照屋は貧血で倒れた。魂を込めた激闘を物語っていた。試合の余韻が残る静かな神宮球場。一塁側ベンチの前で、ひとり深々と一礼する照屋の姿があった。