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BATTERY

上津原-坂田

戦評COMMENT

第3代表決定戦に勝利し、3年連続での東京ドーム行きを決めた!1回裏に3番宮崎祐樹の左翼フェンス直撃のタイムリー安打で先制したチームは、中盤にも小刻みに加点。投げては先発・上津原詳が8安打無失点の完封勝利で胴上げ投手となった。

最後の打球が自らの頭上に舞い上がった瞬間、一塁手の佐藤俊和は不思議な感覚にとらわれた。
「夢を見ているようでした」
神宮球場にかすかに立ち込めていた靄が幻想的な世界をもたらしたわけではない。今予選の佐藤俊は、満身創痍の体にムチを打ちながら不慣れな一塁の守備で出場し続けた。それだけにウイニングボールを自らの手で掴み取る喜びも重なり、思わず感慨に耽ったのだ。
「社会人9年目ですが、こんな予選はもうないと思います」
試合後、選手たちの顔には笑顔が溢れていた。だが、川上哲矢マネージャーに抱きかかえられながら佐藤俊はただ一人、涙を流していた。
「しんどかった……」
この試合で先発した上津原詳もまた、苦しんだ今予選をそう振り返る。東京ガスとの初戦では5回途中に降板。チームを勝利に導くことができなかった。
「初戦は闘争心が足りないと思われても仕方がないピッチングでした。だからこそ、その後は気持ちを切り替えてマウンドに立ちました」
REVENGE99との敗者復活1回戦、東京ガスとの敗者復活3回戦でともに先発した上津原は忘れかけていたエースのピッチングを徐々に取り戻していった。迎えた第3代表決定戦では、初回からイニングを終えるごとに雄叫びを上げた。得点圏への進塁を許したのは3イニングスのみ。最後の打者をスライダーで一塁フライに討ち取ると、マウンド上で天高く両腕を突き上げた。 「今日は坂田(精二郎)さんと相談して、スライダーと落ちる球を効果的に使いました。リスクの少ない球種を選んで投げた中で、最後もそれまでストレートに合っていた打者だったのでスライダーで勝負しました。初回から気合いが入っていた?そうですね、僕には気合いのピッチングしかありませんから」
試合後の上津原の顔は、安堵と達成感に包まれていた。2年連続での最優秀選手選出に「みんなに『おいしいところを持っていくねえ!』と言われました」と語り、ちょっぴり照れくさそうに笑った。
大仕事を成し遂げた男たちの顔は、どれも輝いている。今予選を通じて貴重な中継ぎとして奮闘した木村宜志が、敗者復活2回戦でJR東日本の強力打線を封じた渡邉裕之が、そして、打率.444をマークして優秀選手に選ばれた大西主晃が、それぞれに最高の表情を浮かべていた。1回裏に攻撃の口火となる右前安打を放つなど、今予選では敗者復活1回戦から不動の1番として活躍した兼田一平が語る。
「今日の試合もそうですが、1番として初回から出塁すればチームが乗ると思ってプレイしました。今予選は、野球人生をかけるぐらいの気持ちでやりました。後悔だけは絶対にしないように、と。勝利に貢献できて、本当にうれしいです」
2点リードで迎えた6回裏、右前へのタイムリー安打を放ったベテランの坂田は、頼もしい若手の姿に目を細める。
「今日は打ちましたけど、予選を通じて考えれば裏方だった。でも、それでいいんです。僕が裏方にまわるぐらい若い選手が活躍してこそ、チームは強くなる。今予選は、それが証明されたと思います」
そして、佐々木誠監督は予選をこう総括する。
「選手は本当に頑張ってくれました。崖っぷちに立たされた試合を乗り越えた選手を褒めてやりたい。スタッフも含めてみんなに感謝です。上津原は、春先から調子が上がらない中で今予選では初戦敗退をきっかけに、彼の本能とも言うべき反骨精神でよく投げてくれました。また、その中で投手陣が互いに助け合って投げてくれたことも大きな収穫。木村や渡邉は、本当に頑張ってくれました。チームは確実に力をつけていると思います。でも、本音を言えば今年は不安だらけで胃に穴が開きそうでした(苦笑)。改めて、都市対抗の恐ろしさを痛感しました」
09年は、チームスローガンを『証明~実現に向けて~』と定めて船出した。3年連続本大会出場は、チームの確かな成長と実力を証明したと言える。そして、その先にある実現――。それはすなわち、都市対抗優勝という大きな目標の実現を意味する。
夢の続きは、東京ドームで――。