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BATTERY

富田、渡邉、齊藤-谷澤

HOMERUN

十九浦(1回3ラン)

戦評COMMENT

序盤から主導権を握る危なげないゲーム展開だった。1回裏、4番十九浦拓哉の3ラン本塁打で先制すると、2回裏には1番川端裕也の中前安打で1点。3回表に先発の富田裕貴が2失点するも、すかさず4回裏に9番宮之原裕樹、1番川端の連続タイムリーで2点を奪う。その後も追加点をあげる中、最後は3番手の齊藤勝が締めて準決勝進出を決めた。

 

待ちわびた一発だった。
1回裏、2番大西主晃の左越え三塁打、3番宮﨑祐樹の四球で一、三塁。打席に4番十九浦拓哉が向かう。カウント0-1からの2球目、127キロのストレートだった。大きなフォロースルーによって高々と舞い上がった打球が右翼スタンドに吸い込まれる。先制となる3ラン本塁打は、十九浦にとっての公式戦初本塁打だった。
「都市対抗予選前から約1ヶ月、バッティングの状態はよくありませんでした。でも、都市対抗本大会から少しずつよくなってきて、今やっと課題を克服しつつあります。常にどんな形でも『1試合で一つは仕事をする』ことを心がけているなかで、初回に1本で試合の流れを変えられたのは素直にうれしい」
春先ら4番に座るなど期待を背負う入社1年目の十九浦は、長らく暗いトンネルを彷徨い続けた。結果が出ない。都市対抗予選前には右手首を負傷した。打撃におけるインパクトの瞬間に「思うように手首が返らず、バットのヘッドが利かなかった」。だが今は「やっと手首の痛みもなくなって体の回転ととともにヘッドが出てくるようになった」。この試合で放った一発は、オープン戦を含めても今シーズン4本目のアーチだ。実力者ゆえの複雑な心境とも言うべきか、十九浦は喜びと言うより安堵の表情を浮かべる。
主砲の本塁打で勢い付いたチームは、2回裏に8番谷澤恭平の中前安打を足がかりに1番川端裕也の中前へのタイムリー安打で1点を追加する。
3回表には先発の富田裕貴が突如として制球を乱し、5本の単打を集められて2失点。
「全体的に楽に投げることができたし、球自体も悪くなかったのですが、3回表だけはストレートを叩かれた2本目のヒット(中前安打)から気持ちを切り替えることができずに球が甘くなってしまいました」(富田)
それでも、4回裏。7番久保穣の四球と二盗などから生まれた好機で、9番宮之原裕樹、1番川端の中前への連続タイムリー安打が飛び出して再び点差を広げる。さらに8回裏には、8番谷澤のこの試合3安打目となる左前安打を起点に1番川端の犠飛、3番宮﨑の三塁強襲安打で2点をもぎ取る。結局、初回につかんだ主導権を最後まで譲ることなく、11安打8得点で勝利を手にした。
試合後、十九浦は第4打席で左足ふくらはぎに死球を食らいテーピング姿で現れたが、その顔には充実感が広がっていた。
「これまで一度も骨折をしたことがないんです。僕は、タフさも売りですからね」
さらに言葉を続ける。
「黒川(洋行)コーチからは『シーズン10本塁打』と言われ続けています。当然、主軸に対しては厳しい攻めがあると思いますが、これからも目標達成に向かって頑張ります」
目覚めた主砲のタフな言葉は、いつも以上に頼もしく感じた。