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BATTERY

齊藤、渡邉、富田、井上、佐々木-乗替

戦評COMMENT

09年シーズン最後の大会である第21回千葉市長杯争奪社会人野球大会は、日産自動車の前に屈して初戦敗退となった。また、この試合は今年限りでユニフォームを脱ぐ3選手にとってのラストゲーム。様々な想いが詰まった試合では涙が溢れた。

 無情なほどに淡々と、愛おしい時間が過ぎていった。
時折、小雨が降り注ぐ。夏日となった前日とは打って変わり、千葉マリンスタジアムには冷たい秋の風が吹き込んでいた。第21回千葉市長杯争奪社会人野球大会。チームは、09年最後の公式戦となる日産自動車との初戦を迎えた。
2回裏、幸先よく先取点を奪う。4番十九浦拓哉が相手の失策で出塁すると、5番佐藤俊和が左前にしぶとく運んでチャンスを広げる。6番大西主晃の犠打で一死二、三塁とし、続く7番佐藤琢真の初球にスクイズを試みる。スクイズを察知した日産自動車バッテリーがウエストボールで外しにかかるが、投球は捕手の頭上をはるかに越えていき労せずして1点を挙げた。
先発・齊藤勝の立ち上がりは悪くなかった。序盤3イニングスは130キロ台中盤の直球を軸に1安打無失点に抑えた。だが、4回表。やや制球が甘くなったところを狙われ、4本の長短打で2失点。逆転を許す。6回以降は、渡邉裕之、富田裕貴、井上敦之、佐々木知広と小刻みに継投したが、四球、野手の失策も絡み毎回失点。打線も4回以降、得点圏に走者を進めたのは5回裏の一度だけと、最後まで攻撃の糸口を見出せないまま沈んだ。
18時06分。代打・天野喜英のバットが空を切り、09年の戦いは終わった。
試合後、佐々木誠監督が語る。
「今シーズンを振り返れば、チームとしてレベルアップはしたと思いますが、さらに一気に駆け上がる力を身につけてほしい。今日の試合に関して言えば、記録には残らない見えないミスが多過ぎました。選手たちの想いが空回りしてしまったのかもしれません。選手たちは1日でも長く試合をしたいと思っていただろうし、私自身も勝たせてやりたいという想いは強かった」  1日でも長く――。その言葉には、チームの戦いのほかに特別な想いが込められていた。今シーズン限りでユニフォームを脱ぐ佐藤琢真、藤川英将、井上敦之にとっては、この試合が最後となった。
『7番・左翼手』としてスタメン出場を果たした佐藤琢は、打撃では無安打に終わったが4回表、左中間への大飛球を好捕するなどチームの勝利を信じて白球を追った。『9番・指名打者』の藤川は5回裏、繋ぎの左前安打を放った。それは、昨年途中に野手に転向した藤川の公式戦初安打だった。そして、7回表一死満塁のピンチでマウンドに上がった井上。8回表まで投げて1失点するも気持ちのこもった29球を見せた。
現役生活を振り返る彼らは、万感の想いでこう語った。
「楽しかったですね。幸せでした。今日は打てませんでしたが、最後は思い切りバットを振れたので悔いはありません」(佐藤琢)
「いろいろなことを思い出します。活躍はできませんでしたが、野手に転向したあとも最高のチームメイトに恵まれて、多くの人に支えられて野球ができました。悔いはありません」(藤川)
「大学で野球を辞めていたら野球が嫌いになっていたかもしれません。でも、こうして社会人野球でプレーができて本当によかったと思います」(井上)
想いが凝縮された“ラストゲーム”には、涙が溢れた。それでも、最後は佐藤琢、藤川、井上を中心にチーム全員で記念撮影を行なった。そこには、過ぎゆく時間をかみ締めながら、柔らかな表情を浮かべる彼らの姿があった。