HOME 試合情報 試合結果 準決勝 試合日程・結果 2010.03.11 [Thu] 平成22年度東京都企業春季大会準決勝 vs 鷺宮製作所 大田スタジアム 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 R H E 鷺宮製作所 鷺 3 1 0 0 0 1 0 0 0 0 5 0 0 セガサミー セ 1 1 0 0 0 1 2 0 0 1x 6 0 0 BATTERY 南、木村、齊藤、上津原-谷澤、坂田 HOMERUN 佐藤(6回ソロ) 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 勝利への執念が実り、1回戦に続くサヨナラ勝利だ!7回裏に同点に追いつき迎えた延長10回裏、9番宮之原裕樹の試みたスクイズが相手投手の動揺を誘い、暴投で勝利が転がりこんだ。粘り強くゲームを作った投手陣。14安打と気を吐いた攻撃陣。勢いに乗って決勝進出を決めた。 左打席の9番宮之原裕樹が、スルリとバットを寝かす。三塁走者の代走・兼田一平が、ホームに向かって突進する。延長10回裏一死2、3塁、スクイズを試みた場面だ。 「カウント2-1と追い込まれてからの4球目に宮之原が強振してファールを打ちました。その姿を見て相手チームが(スクイズに対して)無警戒になったので(5球目に)サインを出しました」 両軍ベンチの息詰まる読み合いのなか、わずかな変化に反応した佐々木誠監督は勝負の一手をスクイズに賭けた。 決断は、功を奏した。スクイズの動きを瞬時に察知した鷺宮製作所のバッテリーがウエストしたボール球で応戦するも、相手投手の手元が狂って投球が捕手の頭上を高々と越えていく。暴投――。予期した結末ではなかった。それでも、動揺を誘った勝負の一手が勝ちを呼び込んだことは間違いない。 風は流れていた。この日、上空を強烈に舞っていた風ではない。勝利へ向かう風のことだ。1回表、佐々木監督が「慎重になり過ぎていた」と語る先発の南大介が4連打を浴びて3点を失う。だが、その裏に3番宮﨑祐樹、4番十九浦拓哉の連打で1点。続く2回表にもソロアーチで突き放されるが、直後の2回裏、6番佐藤俊和、7番神野達哉の連打で再び1点を返した。取られたら、取り返す。「野手がよくカバーしてくれた」と黒川洋行コーチが振り返ったように、逆境のなかにも攻撃陣の頼もしさを感じた。その後もボディーブローのように安打を積み重ねると、勝利の風が一気に一塁側ベンチに吹き込んだ。6回裏に6番佐藤の左翼席上段に突き刺さるソロ本塁打で3点目、7回裏には相手野手陣の失策に乗じながら2点を挙げて同点。そして迎えた延長10回裏、この試合4安打目となる6番佐藤の右翼線二塁打を起点にサヨナラ劇場が完結へと向かったのだ。佐藤が振り返る。 「今日は試合前のアップのときから気持ちが乗っていました。試合では、自分が今できることを精一杯やろう。その思いでバットを振りました」 今シーズン、2月のオープン戦ではスタメン出場がなかった。もっぱら、代打での出場だった。しかも、その打席では5打数1安打と結果が出ずに不振に喘いでいた。だからこそ、今一度「自分を見つめ直した」。初スタメンとなったこの日は、寮を出発する前の早朝に室内練習場で天野喜英と打撃練習をした。暗いトンネルから抜け出す。その強い思いがチームの勝利につながる4安打を生んだ。 「選手たちが我慢強くなりましたね。チームが一生懸命に勝ちにいっている。特に今日は、選手たちの気持ちが伝わってきた試合でした」 そう語るのは佐々木監督だ。 勝利の風――。それは、実力差のなかにも佐藤が示してくれた姿勢、そして自分に打ち勝つ、相手に勝つという強い気持ちがあってこそ呼び込むことができるものなのかもしれない。 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
勝利への執念が実り、1回戦に続くサヨナラ勝利だ!7回裏に同点に追いつき迎えた延長10回裏、9番宮之原裕樹の試みたスクイズが相手投手の動揺を誘い、暴投で勝利が転がりこんだ。粘り強くゲームを作った投手陣。14安打と気を吐いた攻撃陣。勢いに乗って決勝進出を決めた。
左打席の9番宮之原裕樹が、スルリとバットを寝かす。三塁走者の代走・兼田一平が、ホームに向かって突進する。延長10回裏一死2、3塁、スクイズを試みた場面だ。
「カウント2-1と追い込まれてからの4球目に宮之原が強振してファールを打ちました。その姿を見て相手チームが(スクイズに対して)無警戒になったので(5球目に)サインを出しました」 両軍ベンチの息詰まる読み合いのなか、わずかな変化に反応した佐々木誠監督は勝負の一手をスクイズに賭けた。
決断は、功を奏した。スクイズの動きを瞬時に察知した鷺宮製作所のバッテリーがウエストしたボール球で応戦するも、相手投手の手元が狂って投球が捕手の頭上を高々と越えていく。暴投――。予期した結末ではなかった。それでも、動揺を誘った勝負の一手が勝ちを呼び込んだことは間違いない。
風は流れていた。この日、上空を強烈に舞っていた風ではない。勝利へ向かう風のことだ。1回表、佐々木監督が「慎重になり過ぎていた」と語る先発の南大介が4連打を浴びて3点を失う。だが、その裏に3番宮﨑祐樹、4番十九浦拓哉の連打で1点。続く2回表にもソロアーチで突き放されるが、直後の2回裏、6番佐藤俊和、7番神野達哉の連打で再び1点を返した。取られたら、取り返す。「野手がよくカバーしてくれた」と黒川洋行コーチが振り返ったように、逆境のなかにも攻撃陣の頼もしさを感じた。その後もボディーブローのように安打を積み重ねると、勝利の風が一気に一塁側ベンチに吹き込んだ。6回裏に6番佐藤の左翼席上段に突き刺さるソロ本塁打で3点目、7回裏には相手野手陣の失策に乗じながら2点を挙げて同点。そして迎えた延長10回裏、この試合4安打目となる6番佐藤の右翼線二塁打を起点にサヨナラ劇場が完結へと向かったのだ。佐藤が振り返る。
「今日は試合前のアップのときから気持ちが乗っていました。試合では、自分が今できることを精一杯やろう。その思いでバットを振りました」
今シーズン、2月のオープン戦ではスタメン出場がなかった。もっぱら、代打での出場だった。しかも、その打席では5打数1安打と結果が出ずに不振に喘いでいた。だからこそ、今一度「自分を見つめ直した」。初スタメンとなったこの日は、寮を出発する前の早朝に室内練習場で天野喜英と打撃練習をした。暗いトンネルから抜け出す。その強い思いがチームの勝利につながる4安打を生んだ。
「選手たちが我慢強くなりましたね。チームが一生懸命に勝ちにいっている。特に今日は、選手たちの気持ちが伝わってきた試合でした」
そう語るのは佐々木監督だ。
勝利の風――。それは、実力差のなかにも佐藤が示してくれた姿勢、そして自分に打ち勝つ、相手に勝つという強い気持ちがあってこそ呼び込むことができるものなのかもしれない。