HOME 試合情報 試合結果 第2戦 試合日程・結果 2010.05.01 [Sat] 第62回JABA京都大会第2戦 vs 三菱重工神戸 わかさスタジアム京都 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E 三菱重工神戸 三 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 セガサミー セ 0 0 1 0 0 0 2 0 x 3 0 0 BATTERY 齊藤、上津原-谷澤、坂田 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 予選リーグ第2戦は、主砲のひと振りで勝利を手繰り寄せた。同点で迎えた7回裏、二死一、二塁から4番十九浦拓哉が左中間に2点タイムリー二塁打を放って勝ち越しに成功。投げては、齊藤勝、上津原詳のリレーで三菱重工神戸打線を1点に封じ、終盤までもつれた接戦を制した。 ちょっと控えめに、それでいて力強く突き上げる左手のモリッと盛り上がった前腕が眩しかった。チーム唯一の半袖アンダーシャツ姿だった大阪ガス戦に続き、この試合も4番十九浦拓哉の逞しい生腕は日差しを存分に浴びていた。その腕で勝利を手繰り寄せたのが、同点で迎えた7回裏だった。 まずは、1番川端裕也が二塁内野安打で出塁し、すかさず代打・佐藤俊和の初球に二盗を決めてチャンスメイクする。佐藤は凡退、3番宮﨑祐樹は四球を選んで二死一、二塁。ここで十九浦がフルカウントから左中間を深々と破る2点タイムリー二塁打を放った。これまでの試合ではそれほど喜怒哀楽を表に出してこなかった主砲が、その時ばかりは珍しく二塁ベース上で喜びを体で表現した。 「互いに次の1点が取れない状況が続いた紙一重の試合の中で、7回裏は勝負どころだと思いました。だからこそ、自分が打ったら勝つ。そう思った。真っ直ぐを意識する中でうまく対応できました。良い場面で打てたので、素直にうれしいですね」 今シーズンは不動の4番だ。それだけに、試合の行方を左右する一打は十九浦にとって担うべき役割であったと同時に、最高のものとなった。 もちろん、主砲に最高の舞台が廻ってくるまでの勝利への執念を見せた試合運びも見逃せない。2回表は、抜ければ先取点を献上していたかもしれない場面で、右翼手の兼田一平が右中間への打球をランニングキャッチするビッグプレーを見せた。逆に先取点を奪った3回裏の攻撃では、宮之原裕樹が得点につながる積極的な走塁で三盗を決めてチームの士気を高めた。さらに、3連打で1点を失った先発の齊藤勝が、後続を空振り三振、三塁邪飛に抑えて最小失点でピンチを凌いだ5回表、または二死二、三塁のピンチで登板した2番手の上津原詳が相手打線を力でねじ伏せた7回表など、投手陣の踏ん張りも勝利をもたらした要因であったことは言うまでもない。佐々木誠監督は、選手たちの作り上げた厳しくも、互いが鎬を削った極上の試合をこう振り返る。 「5回表は、流れが向こう(三菱重工神戸)に行きかかるところで、よく1失点で踏ん張った。7回裏の勝ち越しの場面も、十九浦が最後の最後に4番の仕事をしてくれた。気を抜けない試合でしたが、良い試合でしたね」 試合後、三塁側ベンチの裏には最高の笑顔を見せる十九浦の姿があった。その側に置かれたファーストミットに視線を落とすと、平裏部にはハートマークと野球の二文字が刺繍されていた。十九浦に訊ねた。 「この刺繍の意味は?」 すると、さらに満面の笑顔になってこう語った。 「野球を楽しくやりたいですからね」 十九浦の言葉を実践するかのように、この試合は、打って、走って、そして投げた。 野球の醍醐味――。 そのすべてが凝縮された一戦だった。 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
予選リーグ第2戦は、主砲のひと振りで勝利を手繰り寄せた。同点で迎えた7回裏、二死一、二塁から4番十九浦拓哉が左中間に2点タイムリー二塁打を放って勝ち越しに成功。投げては、齊藤勝、上津原詳のリレーで三菱重工神戸打線を1点に封じ、終盤までもつれた接戦を制した。
ちょっと控えめに、それでいて力強く突き上げる左手のモリッと盛り上がった前腕が眩しかった。チーム唯一の半袖アンダーシャツ姿だった大阪ガス戦に続き、この試合も4番十九浦拓哉の逞しい生腕は日差しを存分に浴びていた。その腕で勝利を手繰り寄せたのが、同点で迎えた7回裏だった。 まずは、1番川端裕也が二塁内野安打で出塁し、すかさず代打・佐藤俊和の初球に二盗を決めてチャンスメイクする。佐藤は凡退、3番宮﨑祐樹は四球を選んで二死一、二塁。ここで十九浦がフルカウントから左中間を深々と破る2点タイムリー二塁打を放った。これまでの試合ではそれほど喜怒哀楽を表に出してこなかった主砲が、その時ばかりは珍しく二塁ベース上で喜びを体で表現した。
「互いに次の1点が取れない状況が続いた紙一重の試合の中で、7回裏は勝負どころだと思いました。だからこそ、自分が打ったら勝つ。そう思った。真っ直ぐを意識する中でうまく対応できました。良い場面で打てたので、素直にうれしいですね」
今シーズンは不動の4番だ。それだけに、試合の行方を左右する一打は十九浦にとって担うべき役割であったと同時に、最高のものとなった。
もちろん、主砲に最高の舞台が廻ってくるまでの勝利への執念を見せた試合運びも見逃せない。2回表は、抜ければ先取点を献上していたかもしれない場面で、右翼手の兼田一平が右中間への打球をランニングキャッチするビッグプレーを見せた。逆に先取点を奪った3回裏の攻撃では、宮之原裕樹が得点につながる積極的な走塁で三盗を決めてチームの士気を高めた。さらに、3連打で1点を失った先発の齊藤勝が、後続を空振り三振、三塁邪飛に抑えて最小失点でピンチを凌いだ5回表、または二死二、三塁のピンチで登板した2番手の上津原詳が相手打線を力でねじ伏せた7回表など、投手陣の踏ん張りも勝利をもたらした要因であったことは言うまでもない。佐々木誠監督は、選手たちの作り上げた厳しくも、互いが鎬を削った極上の試合をこう振り返る。
「5回表は、流れが向こう(三菱重工神戸)に行きかかるところで、よく1失点で踏ん張った。7回裏の勝ち越しの場面も、十九浦が最後の最後に4番の仕事をしてくれた。気を抜けない試合でしたが、良い試合でしたね」
試合後、三塁側ベンチの裏には最高の笑顔を見せる十九浦の姿があった。その側に置かれたファーストミットに視線を落とすと、平裏部にはハートマークと野球の二文字が刺繍されていた。十九浦に訊ねた。
「この刺繍の意味は?」
すると、さらに満面の笑顔になってこう語った。
「野球を楽しくやりたいですからね」
十九浦の言葉を実践するかのように、この試合は、打って、走って、そして投げた。
野球の醍醐味――。
そのすべてが凝縮された一戦だった。