• TEAM T
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
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  • R
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  • E
  • セガサミー
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  • 1
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  • 0
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  • ヤマハ
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BATTERY

木村、富田-乗替

HOMERUN

十九浦(1回2ラン)

戦評COMMENT

4番十九浦拓哉に先制2ラン本塁打が飛び出すなど、前半は完全に主導権を握っていた。だが6回以降、先発の木村宜志が思わぬ乱調でヤマハ打線に打ち込まれて失点を重ねる。打線も後半はわずか1安打……。最後は力尽き、静岡大会に続く優勝を逃した。

 

先発の木村宜志は、ベンチ裏に置かれたバナナを頬張っていた。5回裏を終えたグラウンド整備の合間のことだ。気温は優に25度を越えていた。マウンドの体感温度は、それ以上か。照りつける太陽が、登板直前には決まって食事を摂らない木村の体力を容赦なく奪った。
試合が暗転したのは、その直後だ。6回裏は、無死から9番打者に死球を与えると、ボークも絡んで連打で2失点。7回裏は、二死一、二塁から左中間を破る三塁打を浴びて同点、さらに右前安打で逆転を許す。8回裏には、ヤマハの4番佐藤二朗選手に手痛いソロアーチを左翼席に叩き込まれて6点目を献上。呆然となりながら、木村はイニング途中でマウンドを降りた。
「暑かった……。試合前のコンディションは悪くなかったんですが…・・・」
試合後は、頭の中でリフレインする6回以降のピッチングに悔しさを滲ませた。
別人だった。5回裏までは「外角のスライダーを中心によかった」(木村)。1回裏、いきなり先頭打者に左前安打で出塁されたが、その後はヤマハ打線を無安打に抑えた。打線の援護が木村を後押ししたのも事実だろう。1回表は、二死から3番宮﨑祐樹が中前安打で出塁。4番十九浦拓哉は7球粘った。振り返れば、決勝を控えた主砲はただ一人、ベンチ裏の鏡で黙々とフォームをチェックし、イメージを膨らませていた。準備を整えて向かった第一打席だった。フルカウントからの8球目。「やや真ん中寄りのインコースのストレート」(十九浦)をとらえた打球が、右翼ポール際にグングンと伸びる。本来の高々と舞って放物線を描く弾道とは違い、強烈なライナー。打球がポールを巻くと、スコアボードに2点が刻まれた。3回表には、2番照屋真人が右翼フェンス直撃の安打、3番宮﨑が左前安打で続き、4番十九浦の四球で無死満塁。5番久保穣は遊撃ゴロに討ち取られるも、併殺崩れの間に1点を追加した。さらに、5回表には1番川端裕也の四球を起点に2番照屋の犠飛で加点。前半の4得点は、木村の立ち上がりを考
えれば、大きなアドバンテージのように思えた。  それだけに――。後半の失点シーン、さらに6回以降はわずか1安打で無得点に終わった打線の姿に思わず目を疑った。
準優勝。静岡大会に続き、大会最終決戦まで辿り着いたチームに今シーズンの強さを感じた。だが、終盤の苦境から今一度試合を振り出しに戻す、そして最後には勝利に手にする戦いができたときこそ、真の『常勝軍団』と呼べる。試合直後には、三塁側のベンチ前でヤマハの選手たちが胴上げをしていた。その姿は、選手たちにどう映り、そして胸にどう刻まれただろうか。
球場をあとにする木村はこう語った。
「都市対抗予選はもっと暑くなると思うので、1試合投げられる体力をしっかりとつけたい」
タフさが求められる都市対抗二次予選まで約1ヶ月半。静岡大会、日立市長杯選抜野球大会、そして京都大会と、各地の熱戦で得た収穫と課題を糧にチームは夏の激戦に向けていよいよ歩み出す。