HOME 試合情報 試合結果 1回戦 試合日程・結果 2011.05.26 [Thu] 平成23年度東京都企業春季大会1回戦 vs 明治安田生命 大田スタジアム 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E 明治安田生命 明 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セガサミー セ 0 0 0 0 0 3 1 1 x 5 0 0 BATTERY 天沼、木村宜、南-乗替 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 大記録達成を目の前に、一塁側ベンチはざわついていた。無失点。スコアボードのヒットを示す『H』の欄は、8回を終わってもゼロのままだった。 流れを築いたのは、先発の天沼秀樹だ。四死球と失策で何度とか走者を出すものの、7イニングスを投げて1本もヒットを許さなかった。5月19日の関東選抜リーグ戦(日通戦)に続く無失点。被安打1だった日通戦を、さらに上回る快投だった。捕手の乗替寿朗は、キャッチャーミットを通じて天沼の好調ぶりを実感する。 「今年の天(天沼)さんは、ブルペンからボールが打者の手元、ホームベース上でひと伸びしてくる感じがよく伝わってきます。今日はストレートがキレていましたね」 この試合では、そのストレートを主体とした配球になった。さらに「試合前からインコースをついていこうと話し合っていました」と乗替が言うように、左右ともに打者の懐を果敢についたインコース攻めも功を奏した。3回表にはインコースを詰まらせて2者連続で左打者のバットをへし折る場面があった。西詰嘉明監督も「今年はずっと状態がいいですね。球の角度がいい」とベテラン左腕の好投に納得の表情を浮かべる。 天沼のあとを受けて8回表からは木村宜志がマウンドに上がった。一死から2つの四球で一、二塁のピンチを迎えるも後続の打者を討ち取り無失点。無安打ピッチングは続いた。そして9回表。マウンドに抑えの南大介が上がる。先頭打者に対する3球目だった。140キロのストレートをとらえた打球が南の足元を抜けていく。中前安打――。大記録達成は、ここで潰えた。だがその後は南がしっかりと3人の打者を封じ込めてゲームセット。大魚は逃してしまったが、3投手による完封リレーが完結した。 一方の攻撃陣は、6回裏に4番十九浦拓哉の右前適時打などで3点を奪うと、7回、8回に1点ずつを加えて投手陣を援護した。そんな中、両チーム無得点で迎えた5回裏には、無死一塁でバント失敗。走者を得点圏に進めることができなかった。ややもすれば、相手チームに流れが傾いてもおかしくない場面だ。だが、ここで7番村上研斗が左前安打を放って「つなぎ」の一打を放つ。得点にこそならなかったが、傾きかけた流れを一瞬、引き戻した価値あるヒットだったと言える。さらに6回裏には、十九浦の適時打で1点を先制するも、後続が2者連続で討ち取られて攻め切れなかった。だがここでも村上が二死二、三塁からしぶとく三遊間安打を放って、流れをグッと引き寄せる2点目が入る。試合の中では失敗もある。だが、それを周りの選手がカバーする力が、この試合では見られた。 欲を言えば、無失点に抑え続けた天沼を序盤の早い段階で攻撃陣が援護できれば、なお楽な試合展開になっていたはず。 緊張感ある試合のなかで、チーム全体の“カバー力”の重要性を改めて感じた試合でもあった。 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
大記録達成を目の前に、一塁側ベンチはざわついていた。無失点。スコアボードのヒットを示す『H』の欄は、8回を終わってもゼロのままだった。
流れを築いたのは、先発の天沼秀樹だ。四死球と失策で何度とか走者を出すものの、7イニングスを投げて1本もヒットを許さなかった。5月19日の関東選抜リーグ戦(日通戦)に続く無失点。被安打1だった日通戦を、さらに上回る快投だった。捕手の乗替寿朗は、キャッチャーミットを通じて天沼の好調ぶりを実感する。
「今年の天(天沼)さんは、ブルペンからボールが打者の手元、ホームベース上でひと伸びしてくる感じがよく伝わってきます。今日はストレートがキレていましたね」
この試合では、そのストレートを主体とした配球になった。さらに「試合前からインコースをついていこうと話し合っていました」と乗替が言うように、左右ともに打者の懐を果敢についたインコース攻めも功を奏した。3回表にはインコースを詰まらせて2者連続で左打者のバットをへし折る場面があった。西詰嘉明監督も「今年はずっと状態がいいですね。球の角度がいい」とベテラン左腕の好投に納得の表情を浮かべる。
天沼のあとを受けて8回表からは木村宜志がマウンドに上がった。一死から2つの四球で一、二塁のピンチを迎えるも後続の打者を討ち取り無失点。無安打ピッチングは続いた。そして9回表。マウンドに抑えの南大介が上がる。先頭打者に対する3球目だった。140キロのストレートをとらえた打球が南の足元を抜けていく。中前安打――。大記録達成は、ここで潰えた。だがその後は南がしっかりと3人の打者を封じ込めてゲームセット。大魚は逃してしまったが、3投手による完封リレーが完結した。
一方の攻撃陣は、6回裏に4番十九浦拓哉の右前適時打などで3点を奪うと、7回、8回に1点ずつを加えて投手陣を援護した。そんな中、両チーム無得点で迎えた5回裏には、無死一塁でバント失敗。走者を得点圏に進めることができなかった。ややもすれば、相手チームに流れが傾いてもおかしくない場面だ。だが、ここで7番村上研斗が左前安打を放って「つなぎ」の一打を放つ。得点にこそならなかったが、傾きかけた流れを一瞬、引き戻した価値あるヒットだったと言える。さらに6回裏には、十九浦の適時打で1点を先制するも、後続が2者連続で討ち取られて攻め切れなかった。だがここでも村上が二死二、三塁からしぶとく三遊間安打を放って、流れをグッと引き寄せる2点目が入る。試合の中では失敗もある。だが、それを周りの選手がカバーする力が、この試合では見られた。
欲を言えば、無失点に抑え続けた天沼を序盤の早い段階で攻撃陣が援護できれば、なお楽な試合展開になっていたはず。
緊張感ある試合のなかで、チーム全体の“カバー力”の重要性を改めて感じた試合でもあった。