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BATTERY

上津原、木村宜、南-乗替

HOMERUN

赤堀(5回ソロ)

戦評COMMENT

高揚する想いがバットに乗り移った。
先制の場面は、試合開始直後の1回表だ。二死から3番宮崎敏郎が左前安打で出塁する。4番十九浦拓哉の打球が一塁線を抜けると、一塁走者の宮崎が激走を見せて1点を先制した。さらに二死二塁から5番照屋真人が右翼フェンス直撃の二塁打を放って2点目。頼れる中軸の3連打で初戦の重圧を一気に吹き飛ばした。
5回表には、1番赤堀大智の度肝を抜く一発が飛び出した。2ボールからの3球目。128キロの変化球を「完璧に捕えた」(赤堀)打球が、左翼場外へ消えていった。今シーズンの赤堀は春先から不調に喘いでいた。本来の打球が戻ってきたのは、予選直前のことだ。6月16日の読売ジャイアンツとのオープン戦。試合1週間前に打撃フォームを微調整し、「バットがスムーズに出てくるようになった」という赤堀は、その試合で2本のアーチをかけた。わずか数週間前の復調は、本人はもちろんだが、チームにとっても大きな力になった。この試合で放った試合中盤での中押し弾は、まさにそれを証明するものだった。
さらに7回表には、二死から代打・佐藤貴穂が左前安打を放って一、二塁とチャンスが広がる。ここで7番久保穣が2点適時打となる右中間への三塁打。8番神野達哉もこの試合3安打目となる中前安打で続き、点差は6点に。下位打線が築いた得点シーンは、勝利をグッと手繰り寄せるものだった。
打線が理想的な攻撃を見せる中で、先発の上津原詳もマウンドで躍動した。7イニングスを投げて4安打無失点。無死一塁の5回裏、一死一、二塁の6回裏も、後続を併殺に討ち取り点を与えなかった。三振はゼロ。打たせて取るピッチングが冴えた。
『ピッチャー・上津原』が自らの投球を語る。
「気持ちを込めて投げました。プレッシャーがかかる試合で、平常心で投げられたのがよかった。真っ直ぐ、スライダーともに走っていたし、テンポよく投げられました」
また、『主将・上津原』はチームをこう語る。
「ベンチも含めてチームの雰囲気はいい。8回裏の赤堀のプレーも大きかったし、みんなで打って、守った試合でした」
8回裏は、2番手の木村宜志が先頭から四死球を連発してピンチを迎えた。点差はある。それでも、わずかな綻びから試合展開が一変してしまうのが都市対抗予選だ。そんな中、無死一、二塁で左中間への地面すれすれの打球を好捕した赤堀のプレーは、相手に付け入る隙を与えない貴重なワンプレーとなった。
打って、抑えて、そして守る。すべてに強さが際立った試合を西詰嘉明監督はこう振り返る。
「1回表は、2アウトになる中で選手たちが求めていることをしっかりとやってくれました。打線は理想的な攻撃をしてくれたと思います。先発の上津原は、後半に少しだけ球が浮く場面もありましたが、上手いこと打者の打ち気を逸らして、かわしながらゴロを打たせて要所を締めてくれました。また、8回裏の赤堀のプレーも大きかった。ああいうプレーは、ベンチスタートとなった選手たちの刺激にもなるし、スタメンとベンチの間に信頼関係を生む。いずれにせよ、今日は全員で掴んだ勝利です」
試合前夜。野球部の寮では、副主将の宮之原裕樹が用意したDVDを見て、都市対抗予選に向けて選手らは気持ちを高めた。DVDには、過去のセガサミーの激闘や選手一人ひとりのプレー写真が収められていた。
高揚する想い――。
勝利の原動力をもたらした宮之原のような存在もまた、決して忘れてはいけない。