• TEAM T
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  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • R
  • H
  • E
  • バイタルネット
  • 0
  • 2
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  • 0
  • 0
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  • 1
  • 3
  • 0
  • 0
  • セガサミー
  • 2
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  • 2x
  • 4
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BATTERY

大山、木村宜-佐藤、乗替

戦評COMMENT

打った本人は、苦笑いを浮かべるしかなかった。
試合は延長に突入し、一死満塁から始まるタイブレイク方式となった。1点を追う10回裏。チームが選択した打順から始まるタイブレイク方式で、勝負の行方を託されたのはそれまで3安打の3番宮崎敏郎だった。初球、高めのストレートがインコースに流れる。見逃せば、完全なボール球だ。だが、宮崎の体は反応した。いや、「してしまった」という言葉が的確か。もともと宮崎は早打ちだ。自らのヒッティングゾーンはやや広い。「打てる」。そう思えば、初球から積極的にバットを振るタイプだ。追い詰められた場面。「打ちたい」気持ちと本来の打撃スタイルが重なり合い、宮崎の体は感度100%の戦闘態勢になっていたに違いない。だが、想像以上にボールがインコースに食い込んできた。避けられない。打ち気にはやる体にブレーキをかけることもできなかった。打者としては勝負に負けた。
それでも、運が味方した。止めたバットに当たった飛球が右翼手の前にポトリと落ちた。三塁走者の赤堀大智に続き、川端裕也が二塁からホームを陥れると、三塁側ベンチに勝利の笑顔が広がった。
サヨナラのシーンが象徴するように、展開の読めない試合だった。先制したのはセガサミーだ。1回裏、4番十九浦拓哉の犠飛、6番照屋真人の左前適時打で2点を奪い、上々の滑り出しを見せた。だが、直後の2回表、先発の大山暁史が2本の適時打で同点とされる。1失点目は、先頭打者に対する遊撃手・神野達哉の失策がきっかけだった。「野手のミスをカバーできる力がないと・・・」。試合後の大山は悔やんだ。
初回の勢いからすれば、さらに得点シーンが増えると思われた打線も、2回以降はホームが遠のく。3回裏の無死満塁、5回裏の二死一、三塁の好機で、ともに凡退した5番谷澤恭平が振り返る。
「気持ちが入り過ぎて、逆にそれが裏目に出ました。チャンスで打てず、気持ちの整理がつかないままにプレーしていた感じです。最後まで打席では良いイメージが持てなかった」
8回裏、無死二塁で回ってきた第4打席には犠打を決められずに良い流れを止めた。谷澤の打席が物語るように、チャンスを築くも決定打に欠いたチームは9回裏まで追加点を奪えなかった。
苦しみながらも、最後は運も味方して初戦を突破したチーム。投打に課題は多く見られたが、とにかく勝った。今シーズンの対企業チーム初勝利は、チームの起爆剤となり得るだろうか。大山が語る。
「東京スポニチ大会や春季大会で連敗が続き、チームとして、富山大会から状態を上げていかなければいけないと思っていました。そういう中での大事な初戦、序盤の入りから積極的にいこうと思ったのですが、内容的にあまり良くなかった。ストレートはキレがなくて、しっかりと指にかかる感覚がありませんでした。でも、結果的に勝ったので、チームはこれから乗っていけると思います」
大会が開催されている富山市は、前日4月12日に桜の開花を発表した。富山アルペンスタジアムへ向かうタクシーで運転手が教えてくれた。
「4月もずっと寒くてね。今年は、例年より遅い開花でした」
待ちわびた春――。チームの桜も、やっと咲き始めた。