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BATTERY

富田-佐藤、乗替

戦評COMMENT

忘れかけていた感覚を味わい、富田裕貴はちょっとだけ本音を漏らした。
「疲れました」
完投したのは日本文理大4年の秋以来。今年で入社4年目を迎えた富田にとって、9イニングスのマウンドは想像以上に疲れた。だが、富田にとってその疲労はわずかな体の消耗に過ぎなかった。投げ切った充実感。そして、勝利を手にした喜びのほうが、はるかに疲れを上回り、富田の心を満たしてくれた。
「どんどん投げていくうちに感じを掴み、5回以降は特によかったと思います。完投できたのは自信になります」
2回裏は、昨年までの課題が露呈した。二死からヒットの走者を背負うと、制球を乱して2者連続で四死球を与えた。だが、ここからが昨年とは違う。満塁のピンチで富田は思った。
「もう一度、冷静になろう」
冷静さと粘り強さで、9番打者をレフトフライに仕留めて点を与えなかった。そして4回裏に味方の失策で1点を献上した場面も、後続をストライク先行のピッチングでショートゴロに討ち取り追加点を許さなかった。2つのピンチを乗り切ったことも、富田にとっては大きな自信になった。
5回以降は一度も得点圏に走者を進めることなく三者凡退を繰り返した。6回表、さらに7回表とそれぞれ2点ずつを奪った攻撃陣の援護射撃は富田の心にゆとりをもたらした。終わってみれば被安打4の1失点完投。先発の役目を十二分に果たした。
今シーズン、富田は天沼秀樹コーチから言われていた。
「先発なら、もっとストレートを磨け」
天沼コーチの考えはこうだ。
「去年までの富田は中継ぎでの登板がほとんどでした。たとえば1イニングだけのピッチングなら、自分の持ち球を最大限に使って勝負ができていたと思います。でも、先発となれば、持ち球である変化球を生かすためにも、ストレートの制球や精度が求められる。ストレートがよくなることで、投球の幅はより広がりますから」
富田もその自覚はある。
「今日の課題は、失投したあとのストレートの修正でした。もっとストレートのレベルを上げていきたい」
収穫があったマウンドの中にも、しっかりと次戦に向けた課題を見つける。昨年までにはなかった言葉の数々に、今シーズンの富田に対する期待は高まるばかりだ。
眠れる左腕は今、長いブランクを経て社会人での先発のキャリアをスタートさせた。