• TEAM T
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  • 8
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  • 東京ガス
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  • セガサミー
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BATTERY

浦野、木村宜-乗替

HOMERUN

赤堀(4回ソロ)

戦評COMMENT

先発は試合2日前に言い渡された。
「まさか僕だとは思っていなかったので、最初は『まさか』と思いました」
試合当日、浦野博司は緊張していた。
「でも、もともと緊張するタイプですから。初回は力んでピンチを迎えましたが、それ以降はその力みを逆に良い方に換えて投げられました」
1回表は先頭打者に左前安打を浴びた。一塁牽制が悪送球となって進塁を許すと、2番打者の犠打で一死三塁とピンチを迎えた。だが、後続を討ち取り無失点。そこから新人右腕が目覚める。2回表は圧巻の3者連続三振。東京ガスの6番坂井選手を空振り三振に仕留めたストレートは、この試合最速の147キロを記録した。3回以降も、ストレート、スライダー、フォークを丁寧に投げわけて凡打の山を築く。2回表からの5イニングスは無安打ピッチング。完封ペースの快投を演じた。7回表に適時打を浴びて1点を失うも、7回3安打1失点のピッチングは勝利を手繰り寄せた最大の原動力と言っていい。浦野がピッチングを振り返る。
「新人なので思い切りいきました。チームに流れを引き寄せられたのでよかった」
静岡県出身の浦野が好投すると、打っては同郷の5番赤堀大智が魅せた。4回裏、1ボールからのスライダーを豪快に振り抜く。打球を目で追いながら、赤堀は思った。
「行ってくれ!」
左翼席の芝に打球が落ちると、再び心の中で叫んだ。
「来たぁぁぁ!!」
後輩右腕を援護する、そしてチーム全体に勢いをもたらす先制弾だった。
一度は同点に追いつかれたが、この日のチームに沈む雰囲気はまったくなかった。同点とされた直後の7回裏、まずは先頭の6番照屋真人が右前安打で出塁する。その後、二死一、三塁と攻めると、前の打席まで2安打を放っていた1番川端裕也が打席に向かう。
「どんな球でも初球からいく」
強い気持ちで振り抜かれたバットは、やや外寄りのストレートをとらえた。「打った瞬間に抜けたと思った」打球は、三遊間を綺麗に抜けていく決勝打になった。川端が言う。
「ずっと周りから『試合は1番(打者)で決まる』と言われていました。その言葉を、良いプレッシャーに換えて試合に臨めました」
今シーズンの川端は、春先から右肩の故障でスタメンから外れることが多かった。だが、大一番の予選で決勝打を含む3安打。試合後は「ホッとしました」と胸を撫で下ろした。
川端の一打で奪った1点を、最後は8回表からマウンドに上がった木村宜志が守り抜いてゲームセット。都市対抗予選が作り出す独特の緊張感の中、まずは初戦、投打が噛み合って勝利を手にした。
西詰監督が試合を振り返る。
「今日は浦野のピッチングに尽きます。もともと崩れるタイプのピッチャーではありませんが、よく粘ってくれました。攻撃陣では川端と赤堀がよく打ってくれましたね。とにかく今日は、選手とコーチ、全員の『勝つ』という気持ちが伝わってきました。緊張感のある競った試合を勝てたのは大きい。あと2つ、一気にいきたい」
そして、今予選のチーム初打点を挙げた赤堀は言う。
「どんな形でもいい。次も絶対に勝ちます」
その言葉は、自信に満ちていた。