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BATTERY

浦野-乗替

戦評COMMENT

先発のマウンドには、前日の東京ガス戦に続いて浦野博司が登った。
「少し肘に張りがあった」という立ち上がり。一死から四球と二塁打で二、三塁とされる。だが、そのピンチを浦野は気持ちで切り抜けた。
「昨日(5回3失点の東京ガス戦)、不甲斐ないピッチングをしていたので、今日はきっちりと抑えたかった」
後続を遊ゴロ、空振り三振に仕留めて点を与えなかった。
2回表、3回表、ともに得点圏に走者を進められたが、そこでも要所を締めた。4回表にはわずか4球で三者凡退。本来の浦野の姿が、そこにはあった。
「イニングを重ねるごとに状態がよくなっていきました。序盤より終盤のほうが、肩が軽く感じた」
捕手の乗替寿朗が浦野を語る。
「昨日のピッチングから気持ちを切り替えて投げていた。落ち着いて投げていましたね。スライダーやフォークはいつも通りの精度。本当に良いピッチャーです」
6回を終わって4安打8奪三振無失点。浦野の好投に打線が応えたのは6回裏だった。
二死から1番江藤圭樹が中前安打で出塁。盗塁を決めて得点圏に進む。ここで2番坂本一将が1ボール2ストライクと追い込まれながらストレートを中前に弾き返して先取点を奪う。新人コンビの鮮やかな連打だった。
だが、7回表。思わぬ形で同点となる。一死からJR東日本の9番打者に中前安打を浴びる。その打球に中堅手の照屋真人が果敢に飛び込む。
「一瞬迷いましたが、いける(捕球できる)と思った」
無情にも、打球は照屋のグラブをすり抜けてセンターバックスクリーンに向かって転がる。打者走者が一気にホームを陥れて1点を失った。
それでも浦野の気持ちが途切れることはなかった。
「また点を獲ってくれるだろうと信じていました。ベンチの雰囲気もよかったので、気持ちが切れることはありませんでした」
8回以降も両チームの我慢比べが続く。延長に入って、やや流れはJR東日本にあった。それでも最後は浦野のピッチングが勝った。10回表は安打、失策、暴投などが重なり一死二、三塁。だが、5番打者をスライダーで三塁ゴロに討ち取り、併殺でピンチを切り抜けた。11回表は一死から二塁打と暴投で三塁へ走者を進めたが、後続を討ち取って点を与えなかった。
延長12回からは一死満塁から試合が始まるタイブレーク方式。ある程度の失点を覚悟しなければいけないそのマウンドでもスライダーが冴え、浦野は併殺で無失点に抑えた。
迎えた12回裏。代打・佐藤貴穂が三振に倒れて二死満塁となるが、5番谷澤恭平が執念の左前安打を放ってサヨナラ勝利を手にした。谷澤が最終打席を振り返る。
「二死だったので余計なことを考えずに振りました。打った球は低めの真っ直ぐ。去年から打撃を買われて試合に出させていただいていましたが、やっとその期待に応えた感じです」
試合後、谷澤の笑顔が弾けた。
決勝進出を決めたチームは、夏の都市対抗予選のシード権を獲得した。その価値に加え、ここ数年全国でも安定した力を発揮しているJR東日本を下した試合は、今後の大きな弾みとなるはずだ。主将の乗替は言う。
「互いにカバーをしあって戦おうという声が今、チーム内にはあります。全員で野球をやっている雰囲気がある」
その中心にいるのが、投手では浦野だ。
「まだまだ投げられました」
166球を投げ抜いてもなお、涼しい顔でそう語るエースが何とも頼もしかった。
(文・写真:佐々木亨)