HOME 試合情報 試合結果 第2戦 試合日程・結果 2013.04.12 [Fri] 第36回日立市長杯選抜野球大会第2戦 vs 日本製紙石巻 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 0 0 日本製紙石巻 日 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 BATTERY 陶久、木村-乗替 HOMERUN 富田(5回ソロ) 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 新旧の戦力が融合した。 マウンドで躍動したのは、公式戦初登板となった新人の陶久亮太だ。先発マウンドは「緊張した」というが、初回から安定したコントロールで日本製紙石巻の各打者を手玉に取った。2回裏まで死球で出塁を許した以外は完璧な投球を続けた。3回裏に二死から二塁打と四球で一、二塁のピンチを迎えるも、後続を内野ゴロに討ち取り点を与えなかった。唯一の「反省点」となった3回裏を乗り切ると、陶久の右腕は再び冴え渡った。5回裏は、二死で迎えた一番打者を難なく2球で追い込むと、最後は内角低めのストレートで見逃し三振。わずか3球で、3回裏に二塁打を放っていた打者を料理した。 5回を投げて2安打無失点。文句のない公式戦デビューとなった。試合後、マウンドを振り返る陶久の顔には笑顔が浮かんだ。 「後ろにいいピッチャーがいるので、自分のピッチングをするだけでした。5回までは試合を作ろうと思って投げた中で結果的に無失点に抑えられたのでよかった。今日は全体的によかったですね。中でもコントロールがよかったので、自分の持ち味は出せたと思います」 ストレートに驚く速さはない。だが、カーブ、スライダー、フォーク、カットボールをうまく組み合わせた絶妙な配球で打者を討ち取る。そのピッチングを支えているのは、自らが持ち味と語る抜群の制球力だ。西詰嘉明監督も、その能力を高く評価する。 「特に変化球のコントロールがいいですね。変化球できっちりとストライクを取れるのが陶久の強み。今日はそのコントロールがよく、しっかりと投げてくれました」 新人右腕が力投する一方、攻撃でも新しい力が勝利に貢献した。5回表、イニングの先頭打者となった6番富田裕貴は、初球のチェンジアップを積極的に振りにいった。結果は空振り。2球目のチェンジアップはボール球となり、平行カウントになった。そして、3球目。みたびチェンジアップがきた。「2球続けて同じ球だったので、3球目もチェンジアップは頭に入れていた」。とらえた打球が空に舞う。右翼スタンドに吸い込まれた打球を確認した富田は、「あっ!入っちゃった!」と心の中でつぶやいた。本人も驚きの一発は、チームに勢いをもたらす先制弾となった。富田が振り返る。 「今は結果にこだわってやっているので、しっかりと打つことができて本当によかったです。先制点だったので、なおさら嬉しかったです」 富田は昨年の夏まで投手だった。野手に転向したのは昨シーズンの後半。来る日も来る日もバットを振り続けて、今ではスタメンを張るまでになった。「高校以来」というホームランは、勝利への起爆剤となるとともに、「野手・富田」にとって大きな自信となった。 新戦力が活躍する中、長年チームを支え続ける野手陣も魅せた。6回裏には7年目の遊撃手、宮之原裕樹がチームの窮地を救う。1点差に詰め寄られ、なおも一死二塁の場面で打球が三遊間を襲う。抜ければピンチ拡大、場合によっては二塁走者がホームを陥れて同点となる可能性もあった。ここで宮之原が逆シングルで打球を処理し、すかさず一塁へ送球して二死とする。試合の流れを大きく左右するビックプレーと言っても過言ではない。打っては、5回表に2点目の適時打を放った宮之原。その存在は、この試合で大きな光となった。 さらに1点差のまま迎えた9回裏。一死一塁で、6年目の右翼手、安井正也が大きな仕事をした。安打性の打球に対して果敢に突っ込んだ安井は、間一髪のところでその打球を滑り込みながら好捕した。ヒットになっていれば一、二塁。その後の展開が変わっていた可能性がある。 記録に残らない二人のプレーは、新戦力の活躍同様に大きな価値があったと言える。 それぞれが役割を全うしながら接戦を制した試合は、今後の戦いに向けて意味深いものとなった。決勝トーナメント進出を決めた中、西詰監督はこう言った。 「緊張感がある中で、抑えて打って、そしてしっかりと守って勝てたのは大きい」 大会初制覇のイメージが、ますます膨らむ。 (文・写真:佐々木亨) 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
新旧の戦力が融合した。
マウンドで躍動したのは、公式戦初登板となった新人の陶久亮太だ。先発マウンドは「緊張した」というが、初回から安定したコントロールで日本製紙石巻の各打者を手玉に取った。2回裏まで死球で出塁を許した以外は完璧な投球を続けた。3回裏に二死から二塁打と四球で一、二塁のピンチを迎えるも、後続を内野ゴロに討ち取り点を与えなかった。唯一の「反省点」となった3回裏を乗り切ると、陶久の右腕は再び冴え渡った。5回裏は、二死で迎えた一番打者を難なく2球で追い込むと、最後は内角低めのストレートで見逃し三振。わずか3球で、3回裏に二塁打を放っていた打者を料理した。
5回を投げて2安打無失点。文句のない公式戦デビューとなった。試合後、マウンドを振り返る陶久の顔には笑顔が浮かんだ。
「後ろにいいピッチャーがいるので、自分のピッチングをするだけでした。5回までは試合を作ろうと思って投げた中で結果的に無失点に抑えられたのでよかった。今日は全体的によかったですね。中でもコントロールがよかったので、自分の持ち味は出せたと思います」
ストレートに驚く速さはない。だが、カーブ、スライダー、フォーク、カットボールをうまく組み合わせた絶妙な配球で打者を討ち取る。そのピッチングを支えているのは、自らが持ち味と語る抜群の制球力だ。西詰嘉明監督も、その能力を高く評価する。
「特に変化球のコントロールがいいですね。変化球できっちりとストライクを取れるのが陶久の強み。今日はそのコントロールがよく、しっかりと投げてくれました」
新人右腕が力投する一方、攻撃でも新しい力が勝利に貢献した。5回表、イニングの先頭打者となった6番富田裕貴は、初球のチェンジアップを積極的に振りにいった。結果は空振り。2球目のチェンジアップはボール球となり、平行カウントになった。そして、3球目。みたびチェンジアップがきた。「2球続けて同じ球だったので、3球目もチェンジアップは頭に入れていた」。とらえた打球が空に舞う。右翼スタンドに吸い込まれた打球を確認した富田は、「あっ!入っちゃった!」と心の中でつぶやいた。本人も驚きの一発は、チームに勢いをもたらす先制弾となった。富田が振り返る。
「今は結果にこだわってやっているので、しっかりと打つことができて本当によかったです。先制点だったので、なおさら嬉しかったです」
富田は昨年の夏まで投手だった。野手に転向したのは昨シーズンの後半。来る日も来る日もバットを振り続けて、今ではスタメンを張るまでになった。「高校以来」というホームランは、勝利への起爆剤となるとともに、「野手・富田」にとって大きな自信となった。
新戦力が活躍する中、長年チームを支え続ける野手陣も魅せた。6回裏には7年目の遊撃手、宮之原裕樹がチームの窮地を救う。1点差に詰め寄られ、なおも一死二塁の場面で打球が三遊間を襲う。抜ければピンチ拡大、場合によっては二塁走者がホームを陥れて同点となる可能性もあった。ここで宮之原が逆シングルで打球を処理し、すかさず一塁へ送球して二死とする。試合の流れを大きく左右するビックプレーと言っても過言ではない。打っては、5回表に2点目の適時打を放った宮之原。その存在は、この試合で大きな光となった。
さらに1点差のまま迎えた9回裏。一死一塁で、6年目の右翼手、安井正也が大きな仕事をした。安打性の打球に対して果敢に突っ込んだ安井は、間一髪のところでその打球を滑り込みながら好捕した。ヒットになっていれば一、二塁。その後の展開が変わっていた可能性がある。
記録に残らない二人のプレーは、新戦力の活躍同様に大きな価値があったと言える。
それぞれが役割を全うしながら接戦を制した試合は、今後の戦いに向けて意味深いものとなった。決勝トーナメント進出を決めた中、西詰監督はこう言った。
「緊張感がある中で、抑えて打って、そしてしっかりと守って勝てたのは大きい」
大会初制覇のイメージが、ますます膨らむ。
(文・写真:佐々木亨)