HOME 試合情報 試合結果 準決勝 試合日程・結果 2013.05.25 [Sat] 第84回都市対抗野球大会 東京都二次予選準決勝 vs JR東日本 大田スタジアム 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 JR東日本 J 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 BATTERY 浦野-乗替 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 109球に込めた熱い想いが、JR東日本打線を完全に呑み込んだ。 「気合だけは入っていました。点をやらないピッチングを心がけて、立ち上がりから飛ばしていきました」 そう振り返る先発の浦野博司は1回裏、先頭打者を3球勝負の空振り三振に仕留める。 「ボールに気持ちが乗っている」 ミット越しに浦野の勝利への想い、そして状態の良さを感じ取ったのは捕手の乗替寿朗だ。1回裏の打者3人に対して、ストレートはすべて145キロ以上。これまで課題とされてきた立ち上がりを伸びのあるストレートで乗り越えた。乗替は言う。 「初回のピッチングを見て、今日はストレートを中心に組み立てていこうと思いました」 2回裏、浦野のストレートはさらに威力を増す。5番打者への3球目には、入社以来の自己最速となる150キロをマーク。序盤から右腕は熱を帯びていた。 初安打を浴びた3回裏、一死から中前安打を食らった4回裏、そして二死から死球を与えた5回裏ですら、エースのピッチングは動じない。6回裏からの3イニングスは三者凡退。迎えた9回裏も中前安打を浴びて一死一塁とされるが、衰えることのなかったストレートで併殺打に討ち取り、勝利の瞬間、浦野は右手の拳にグッと力を込めた。 一度も得点圏に走者を進めない完璧なピッチング。散発3安打の完封を浦野は改めてこう語る。 「今日はストレートがよかったと思います。思いきり腕を振ることをずっと心がける中で、変化球もストレート同様にしっかりと投げられました。一人一人丁寧に投げ、低めをしっかりとつけたのが良かったと思います」 捕手の乗替は、エースのピッチングを「最高」と評し、こう続ける。 「ストレートを狙う打者も捉えきれない。それほど、今日の浦野のストレートはよかった。状況や打者を見ながら抜くところは抜くなど、力の入れ具合を変えながらのピッチングもできていました。期待通りのピッチング、いやそれを上回るピッチングでした。こんなに良いピッチャーの球を受けられて幸せです」 最高のピッチングを勝利に結びつけたのは、他ならぬ乗替だった。2回表、二死から7番谷澤恭平が死球、8番政野寛明が中前安打を放って一、三塁の好機を掴むと、9番乗替が「真ん中よりやや内寄りのストレート」を中前に弾き返し、早々に1点を奪う。3回以降は相手左腕のスライダーやチェンジアップ系の変化球を打ち崩すことができずに無得点。結局、序盤での1点が決勝点となった。試合前日、浦野は冗談交じりに乗替に話しかけていた。 「明日は、こっち(バッティング)も頼みます」 女房役は、その期待に応えてみせた。今シーズン、打撃では結果を残せていなかった乗替が、殊勲の一打を振り返る。 「無心で思いきり行くだけでした。いい所で打てたので、素直にうれしいですね」 西詰嘉明監督は、バッテリーの活躍で勝利を手にした試合をこう語る。 「浦野は最後までスピードが落ちなかった。その中で、相手の打者を見ながら自分で強弱をつけたピッチングができていました。今日は、浦野のピッチングにつきると思います。打つ方では乗替ですね。先に点を取れたこと、そして主将としていつもチームをまとめてくれている乗替が打ったことが、浦野やチームに勢いをもたらしたと思います」 次戦は、NTT東日本との頂上決戦。昨年は同一カードで敗れ、第一代表を逃した。 「昨年は負けているので、今年こそは第一代表を獲りたい」 試合後の大田スタジアムに、エースの力強い言葉が響いた。 (文・写真:佐々木亨) 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
109球に込めた熱い想いが、JR東日本打線を完全に呑み込んだ。
「気合だけは入っていました。点をやらないピッチングを心がけて、立ち上がりから飛ばしていきました」
そう振り返る先発の浦野博司は1回裏、先頭打者を3球勝負の空振り三振に仕留める。
「ボールに気持ちが乗っている」
ミット越しに浦野の勝利への想い、そして状態の良さを感じ取ったのは捕手の乗替寿朗だ。1回裏の打者3人に対して、ストレートはすべて145キロ以上。これまで課題とされてきた立ち上がりを伸びのあるストレートで乗り越えた。乗替は言う。
「初回のピッチングを見て、今日はストレートを中心に組み立てていこうと思いました」
2回裏、浦野のストレートはさらに威力を増す。5番打者への3球目には、入社以来の自己最速となる150キロをマーク。序盤から右腕は熱を帯びていた。
初安打を浴びた3回裏、一死から中前安打を食らった4回裏、そして二死から死球を与えた5回裏ですら、エースのピッチングは動じない。6回裏からの3イニングスは三者凡退。迎えた9回裏も中前安打を浴びて一死一塁とされるが、衰えることのなかったストレートで併殺打に討ち取り、勝利の瞬間、浦野は右手の拳にグッと力を込めた。
一度も得点圏に走者を進めない完璧なピッチング。散発3安打の完封を浦野は改めてこう語る。
「今日はストレートがよかったと思います。思いきり腕を振ることをずっと心がける中で、変化球もストレート同様にしっかりと投げられました。一人一人丁寧に投げ、低めをしっかりとつけたのが良かったと思います」
捕手の乗替は、エースのピッチングを「最高」と評し、こう続ける。
「ストレートを狙う打者も捉えきれない。それほど、今日の浦野のストレートはよかった。状況や打者を見ながら抜くところは抜くなど、力の入れ具合を変えながらのピッチングもできていました。期待通りのピッチング、いやそれを上回るピッチングでした。こんなに良いピッチャーの球を受けられて幸せです」
最高のピッチングを勝利に結びつけたのは、他ならぬ乗替だった。2回表、二死から7番谷澤恭平が死球、8番政野寛明が中前安打を放って一、三塁の好機を掴むと、9番乗替が「真ん中よりやや内寄りのストレート」を中前に弾き返し、早々に1点を奪う。3回以降は相手左腕のスライダーやチェンジアップ系の変化球を打ち崩すことができずに無得点。結局、序盤での1点が決勝点となった。試合前日、浦野は冗談交じりに乗替に話しかけていた。
「明日は、こっち(バッティング)も頼みます」
女房役は、その期待に応えてみせた。今シーズン、打撃では結果を残せていなかった乗替が、殊勲の一打を振り返る。
「無心で思いきり行くだけでした。いい所で打てたので、素直にうれしいですね」
西詰嘉明監督は、バッテリーの活躍で勝利を手にした試合をこう語る。
「浦野は最後までスピードが落ちなかった。その中で、相手の打者を見ながら自分で強弱をつけたピッチングができていました。今日は、浦野のピッチングにつきると思います。打つ方では乗替ですね。先に点を取れたこと、そして主将としていつもチームをまとめてくれている乗替が打ったことが、浦野やチームに勢いをもたらしたと思います」
次戦は、NTT東日本との頂上決戦。昨年は同一カードで敗れ、第一代表を逃した。
「昨年は負けているので、今年こそは第一代表を獲りたい」
試合後の大田スタジアムに、エースの力強い言葉が響いた。
(文・写真:佐々木亨)