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  • 新日鐵住金かずさマジック
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BATTERY

浦野、大山‐乗替

戦評COMMENT

その言葉には、エースとしての自覚が凝縮されていた。
「あの2点は全部、僕の責任。0点に抑えれば、試合は勝てるわけですから」
すべての責任を背負った浦野博司は、口元を引き締めて、ただ一点を見つめるだけだった。
一方、攻撃陣は口々にこう語る。
「情けない。浦野に申し訳ないことをした・・・」
そして、西詰嘉明監督は悔しさだけを滲ませる。
「選手たちは一生懸命に頑張ってくれました。でも、盗塁や代打の場面など、采配がすべて裏目に出てしまいました。選手に申し訳ない」
試合を終えた三塁側のベンチ裏。そこには、反省の弁しかなかった。
完敗だった。力負けというより、何もできなかった。
攻撃陣は3回表までノーヒットに抑えられた。4回表、一死から2番宮之原裕樹がチーム初安打となるセンター前ヒットを放つも、3番川端裕也が空振り三振。4番照屋真人が打席に立つ中、一塁走者の宮之原が盗塁を試みるも失敗。チャンスは一瞬にして消えた。続く5回表は、二死から9番江藤圭樹が四球で出塁。だが、1番荒川正志(明治安田生命からの補強選手)の打席で、一塁走者の江藤が飛び出し、二塁ベース上でタッチアウト。またしてもチャンスは潰えた。さらに7回表と8回表は、ともに一死一塁と反撃のきっかけを掴んだが、後続が併殺に倒れて点を奪えなかった。
そして、9回表。先頭打者の代打・富田裕貴が四球を選び、暴投の間に二塁へ進塁。だが、この試合初めて得点圏に走者を進めるも、やはり後続が倒れて最後まで攻め切れなかった。
無得点――。
予選のチーム打率.182は、出場32チームの中でもっとも低い数字だった。一方、チーム防御率は0.77(全体の3番目)。つまり、少ない好機をものにし、投手陣が踏ん張る中で今夏は代表権を掴んだ。
攻撃のチャンスは決して多くない。
その展開は、本大会でもある程度は予測できた。チームとしても、その覚悟はできていたはずだ。それでも・・・。散発3安打で無得点に終わった試合は、あまりにも厳しい現実だった。主将の乗替寿朗は言う。
「一打席、一球で仕留める技術。そのレベルを上げていかないことには・・・」
攻撃陣が苦しむ中、先発の浦野博司は我慢のピッチングを続けた。3回裏までは、ピンチを迎えるが要所を締めて無失点に抑えた。だが、4回裏だ。先頭打者のライト前ヒットをきっかけに満塁のピンチを迎える。ここで9番打者に対し、フルカウントからスライダーが高めに浮いて痛恨の押し出し四球。先取点を奪われる。さらに1番打者にレフト前ヒットを浴びて追加点を献上。その後、浦野は立ち直り、7回途中からは大山暁史が無失点。それだけに、唯一の失点イニングとなった4回裏のマウンドが悔やまれる。
浦野がピッチングを語る。
「今日は序盤から変化球が多かった。もっと真っ直ぐで押してもよかったかもしれない。今は、悔しさしかありません」
捕手の乗替は、エースのピッチングをこう振り返る。
「4回裏の押し出しの場面、最後はスライダーが抜けて高めに浮いてしまいました。普段は、あんな抜け方はしないんですが・・・。力みがあったかもしれません。ただ、コントロールに波はあったにせよ、僕が浦野のいい所を引き出してあげられなかった。申し訳ない気持ちでいっぱいです」
創部以来初の第2代表で挑んだ本大会だった。
その初戦には、やはり「完敗」という二文字しか浮かばない。
(写真:政川慎治、文:佐々木亨)