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BATTERY

浦野、木村、大山、陶久-乗替

戦評COMMENT

絡み合っていたはずの歯車が、徐々にその動きを失っていった。
先発・浦野博司の立ち上がりは、上々の出来だった。1回裏は、この試合最速となる146キロを叩き出す中で三者凡退に抑える。2回裏は打者3人を外野フライに。要した球数は、わずか4球だった。
エースの好投に打線が応えたのは3回表だ。先頭の8番富田裕貴が右前安打で出塁。9番乗替寿朗の犠打、1番坂本一将のサードゴロで、走者三塁のチャンスを掴む。ここで2番川端裕也が1ボールからの2球目、139キロのストレートをセンター前に弾き返して1点を先制した。
今シーズンの公式戦に限って言えば、これまで先制点を奪った試合は計16試合。そのすべてで勝利してきた。先制する試合展開は、勝率10割のまさに必勝パターンだ。浦野の立ち上がりも考えれば、日本選手権初勝利はグッと近いづいたかに見えた。
だが、期待はそこから不安に変わり、イニングを重ねるごとに失望へと変わっていく。
1点を先制した直後の3回裏。浦野の制球がわずかに乱れる。先頭の7番打者に142キロの初球を右前に弾き返されると、8番打者に1ボールからの2球目を右中間に運ばれて同点とされた。さらに二死三塁とピンチは続き、2番打者に144キロのストレートを右前に運ばれて勝ち越しを許した。
カタッ、カタッ。歯車がわずかにズレる。
不穏な空気は、4回表の攻撃でさらに悪化した。4番佐藤貴穂の右前安打を足がかりに、6番安井正也の中前安打で一死一、三塁。ここで7番神野達哉が初球をスクイズ。だが、打球が捕手の目の前で跳ね、三塁走者の照屋真人が三本間に挟まれて同点のチャンスを一瞬にして逸した。西詰嘉明監督が、スクイズの場面を振り返る。
「セーフティスクイズでした。照屋のスタートが少し遅れてしまった」
バントの構えからのセーフティスクイズは、普段の練習から繰り返してきた1点を奪いにいく攻撃の一つだった。だが、逆転された直後のイニング、打ってチャンスが広がった攻撃の流れからすれば、ここでの初球のセーフティスクイズは、あまりにも惜しい攻撃に思えた。「打つだけでは勝てない」。西詰監督の言葉もよくわかる。ただ、試合展開を考えれば……結果論ではあるが、点を奪えなかった4回表の拙攻が、その後の攻撃、さらに守備にも深く影響したと言える。
浦野は4回裏にも失点した。二死二塁から、7番打者に2ボールからの3球目、144キロのストレートを左翼フェンスまで運ばれて1点を失う。結局、このイニングを最後に降板。4回5安打3失点の試合後、浦野は悔しさを滲ませて唇を噛みしめた。
「ストレートで押す中で、(打たれた場面は)制球が甘くなってしまいました」
浦野からマウンドを譲り受けた投手陣も、失点の連鎖を食い止めることができなかった。5回裏は、2番手の木村佳吾が2失点。さらに、6回裏には大山暁史が1失点、8回裏には4番手の陶久亮太が3連打で1点を奪われた。
点差が広がる中、打線は再三チャンスを作るも流れを大きく変えるだけの一打は最後まで生まれなかった。4番佐藤の二塁打、5番照屋の中前安打で無死一、三塁とした6回表は、代打・大久保泰成の犠飛で1点。途中出場の7番谷澤恭平がショートの失策で出塁、8番富田が右前安打で続いて無死一、三塁とした9回表も、1番坂本の犠飛で1点を奪うのがやっとだった。
4点差の敗戦――。
今シーズン最後の大会で、先制して勝利を手繰り寄せる不敗神話は崩れた。
(写真:政川慎治/文:佐々木亨)