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  • 冨士重工業
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  • セガサミー
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BATTERY

横田、上津原、赤間、大久保匠-佐藤

戦評COMMENT

序盤を終えて1点差。スコアボードだけを見れば僅差の試合も、その内容は一方的だった。
新人左腕・横田哲は、「良いイメージ」を持った中で先発マウンドに上った。
「4月に(富士重工業と)オープン戦をやったんですが、その試合では先発をして7回無失点。自分のピッチングができました。そのイメージのまま試合に入ったんですが……」
立ち上がり、横田の感覚に多少のズレが生じた。先頭打者をセンターフライに討ち取った直後、内野安打2本を浴びた1回表から相手打線のスイングに3ヶ月前との「違い」を感じた。試合前に抱いていたイメージが完全に消えたのが2回表だ。先頭の5番打者に、持ち味であるチェンジアップをセンター前に運ばれて横田は確信した。
「あの打席で『チェンジアップを狙われている』と思いました。相手打線は対策をねり、しっかりとバットが振れていました」
1回表は17球中12球が、2回表は15球中10球が変化球。横田と捕手・佐藤貴穂のバッテリーは、チェンジアップなどの変化球を主体とした配球で勝負に出た。佐藤が言う。
「結果的にもっとストレートを要求してもよかったと思いますが、横田はチェンジアップがあって初めてストレートが生きるピッチャー。相手打線は序盤からチェンジアップを狙う中、どんどん振ってきた」
2回表に1点を失った横田は、結果的に無失点に抑えた3回表も1安打を浴び、序盤を終えて5安打1失点。ヒットを重ねられながら「1点で凌いだ」という見方もできるが、やはりその内容には失点以上の「苦しさ」があった。
一方の攻撃陣は、わずか4球で三者凡退に終わった1回裏に続き、2回裏は2つの三振を奪われる中で三者凡退。さらに3回裏も3人で攻撃を終えて、序盤を終えて一人の走者も出すことができなかった。
完全に主導権を握られたチームは5回表、一死からライト前安打とショート内野安打で一、二塁のピンチを迎える。続く5番打者はファーストゴロ。だが、その打球を一塁手の澤良木喬之がハンブル。失策でピンチが広がり、続く6番打者にはレフト前を浴びて1点を献上した。追加点を奪われ、無念の降板となった横田は試合後にこう語った。
「味方のエラーをカバーできなかった……。今日はピッチングに高低のバラつきがありました。『投げたい』という気持ちが強過ぎて、上体が突っ込んでいたと思います。それを最後まで修正できませんでした」
女房役が横田のピッチングを振り返る。
「チェンジアップなどの変化球を狙われる中、要所で投げたストレートがややシュート回転していました。その結果、配球が悪循環になってしまった。それでも横田は我慢強く投げてくれたんですが……」
試合後の佐藤は、5回途中2失点で降板した左腕を最後まで支えきれなかった無念さを滲ませた。
エースを失ったチームは、2番手の上津原詳も2失点する中、結局5回裏に大量4失点。その裏、5番佐藤の三遊間への内野安打を皮切りに8番宮之原裕樹のタイムリーヒットで1点を返したが、6回表にも1失点。追い上げムードを絶たれ、再び6回裏からノーヒットの攻撃を続けた。
5点差を追う9回裏。2番増野勇希選手(明治安田生命から補強)が、この試合2本目となるヒット。さらに代打の神野達哉と安井正也がヒットで続き、無死満塁と粘りを見せた。だが、途中出場の5番乗替寿朗が併殺打。その間に1点を返したが、最後は代打の大西主晃が空振り三振に倒れて、三塁側ベンチの選手たちは静かに敗戦を受け止めた。
東京ドーム初采配で初勝利を逃した初芝清監督は、試合をこう振り返った。
「先発の横田は何とか粘ってくれましたが、本来の姿からは程遠い内容でした。攻撃陣は積極的にバットを振っていたと思いますが、最後まで相手投手に手こずりました。野球はリズム。その大切さを、この試合で改めて感じました」
2年連続での初戦敗退。この現実をどう受け止め、どう打開していくのか。今夏もチームは大きな課題を突きつけられ、都市対抗を終えた。
(文:佐々木亨/写真:政川慎治)