HOME 試合情報 試合結果 1回戦 試合日程・結果 2014.08.29 [Fri] 第40回社会人野球日本選手権関東代表決定戦1回戦 vs 東京ガス 大田スタジアム 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 0 0 0 2 0 2 0 0 0 4 0 0 東京ガス 東 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 BATTERY 横田-佐藤 HOMERUN 松延(4回2ラン)、川端(6回2ラン) 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 勝負所での2つの快打が、勝利の鐘をついた。 まずは4回表だ。先頭の3番・江藤佳樹が、右腕一本で運ぶ技ありの中前安打で出塁する。4番・川端裕也のサードゴロで一塁走者が入れ替わり、一死一塁。続く5番・松延卓弥は打席に入る前から決めていた。 「初球から振っていく」 狙い球は絞らない。ストライクゾーンに来た球を積極的に振ることだけを考えていた。気持ちは一つだった。迷いのないバットが初球、113キロの変化球をとらえたのは、その直後だった。高々と上空に舞った打球が、左翼スタンドのネットに突き刺さった。試合の空気を変える、同点の2ラン本塁打。松延が語る。 「川端さんの後(の打順)だったので、楽な気持ちで打つことができました。ちなみに、“2戦連発”です」 茶目っ気たっぷりにそう語る松延は、日本選手権予選の直前に行なった明治安田生命とのオープン戦でも一発を放っていた。「5番・DH」として出場した松延の左翼スタンドへのホームラン。それは、今思えば東京ガス戦での同点弾を予感させるものだったろうか。初芝清監督が胸の内を語る。 「都市対抗本大会を終えてから、打線がうまく機能していなかった。正直なところ、どうにもならない状況でした」 苦心する中、指名打者を日替わりで代えるなど、最良と思える攻撃の形を捜し求めた。正直言えば、日本選手権予選を迎えても確かな手応えがあったとは言い切れなかった。それでも、一つの可能性、攻撃の糸口となり得る希望を見出して、東京ガス戦を迎えていた。それが、「5番・DH」の存在だった。直前のオープン戦で松延がホームランを打ち、その良い流れに指揮官は期待し、勝負を賭けた節はある。結果は、吉と出た。初芝監督は言う。 「(松延は)よく結果を出してくれた」 豪快な一発が作り出した良い流れは、6回表にさらに勢いを増す。一死から3番・江藤がセカンドへの内野安打で出塁。一死一塁で、打席には4番・川端。4回表の松延と同様に、川端は初球を狙っていた。 「東京ガスの投手陣は、どれも良い投手ばかり。だからこそ、積極的にどんどん振っていこうと、試合前から考えていました。6回表も、ストライクゾーンに来たら初球から振っていこうと思っていました」 初球、インコースのストレートに反応した川端の打球が右翼ポール際に落ちた。勝ち越しとなる2ラン本塁打。完全に主導権を奪い返した。 中盤に中軸の2発で挙げた4点を最後まで守り切ったのは、先発の横田哲だ。 1回裏に、カウント2ボールから甘く入ったチェンジアップを左翼スタンドに運ばれて2点を先制されたが、2回以降は自らのピッチングを取り戻して東京ガスの打線を封じた。7回裏には、先頭打者のセンターへ抜けるかと思われた打球を遊撃手の坂本一将が半身になって好捕。試合の行方を左右するビッグプレーが飛び出す中、バックの堅い守備にも助けられて横田は粘り強く投げた。終わってみれば、被安打4の2失点完投。2回以降は得点圏に一人の走者も進めなかった。エースの快投。それもまた勝因の一つだった。横田が振り返る。 「全体的にボールが高くて、やっと制球が落ち着いたのは終盤になってから。それでも、試合の中で修正して最後まで投げられたことはよかった」 初芝監督は、完投した左腕に労いの言葉を贈った。 「初回に先制されましたが、2回以降はいつも通りに投げてくれた。都市対抗本大会以降で、これまで長いイニングを投げたのは初めて。そもそも横田が完投して勝つこと自体、これまでの今シーズンではほとんどないこと。最後までよく投げてくれたと思います」 投打に粘りと勝負強さを見せた東京ガス戦。次なる戦いは、今夏の都市対抗初戦で対戦した富士重工業との一戦だ。 この試合、2本のアーチの呼び水となる2安打を放った江藤は、都市対抗本大会を終えてから主将に任命された。新主将は、次戦に向けて力をこめる。 「やり返します」 苦汁をなめさせられた相手へのリベンジを誓った。 (文・写真:佐々木亨) 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
勝負所での2つの快打が、勝利の鐘をついた。
まずは4回表だ。先頭の3番・江藤佳樹が、右腕一本で運ぶ技ありの中前安打で出塁する。4番・川端裕也のサードゴロで一塁走者が入れ替わり、一死一塁。続く5番・松延卓弥は打席に入る前から決めていた。
「初球から振っていく」
狙い球は絞らない。ストライクゾーンに来た球を積極的に振ることだけを考えていた。気持ちは一つだった。迷いのないバットが初球、113キロの変化球をとらえたのは、その直後だった。高々と上空に舞った打球が、左翼スタンドのネットに突き刺さった。試合の空気を変える、同点の2ラン本塁打。松延が語る。
「川端さんの後(の打順)だったので、楽な気持ちで打つことができました。ちなみに、“2戦連発”です」
茶目っ気たっぷりにそう語る松延は、日本選手権予選の直前に行なった明治安田生命とのオープン戦でも一発を放っていた。「5番・DH」として出場した松延の左翼スタンドへのホームラン。それは、今思えば東京ガス戦での同点弾を予感させるものだったろうか。初芝清監督が胸の内を語る。
「都市対抗本大会を終えてから、打線がうまく機能していなかった。正直なところ、どうにもならない状況でした」
苦心する中、指名打者を日替わりで代えるなど、最良と思える攻撃の形を捜し求めた。正直言えば、日本選手権予選を迎えても確かな手応えがあったとは言い切れなかった。それでも、一つの可能性、攻撃の糸口となり得る希望を見出して、東京ガス戦を迎えていた。それが、「5番・DH」の存在だった。直前のオープン戦で松延がホームランを打ち、その良い流れに指揮官は期待し、勝負を賭けた節はある。結果は、吉と出た。初芝監督は言う。
「(松延は)よく結果を出してくれた」
豪快な一発が作り出した良い流れは、6回表にさらに勢いを増す。一死から3番・江藤がセカンドへの内野安打で出塁。一死一塁で、打席には4番・川端。4回表の松延と同様に、川端は初球を狙っていた。
「東京ガスの投手陣は、どれも良い投手ばかり。だからこそ、積極的にどんどん振っていこうと、試合前から考えていました。6回表も、ストライクゾーンに来たら初球から振っていこうと思っていました」
初球、インコースのストレートに反応した川端の打球が右翼ポール際に落ちた。勝ち越しとなる2ラン本塁打。完全に主導権を奪い返した。
中盤に中軸の2発で挙げた4点を最後まで守り切ったのは、先発の横田哲だ。
1回裏に、カウント2ボールから甘く入ったチェンジアップを左翼スタンドに運ばれて2点を先制されたが、2回以降は自らのピッチングを取り戻して東京ガスの打線を封じた。7回裏には、先頭打者のセンターへ抜けるかと思われた打球を遊撃手の坂本一将が半身になって好捕。試合の行方を左右するビッグプレーが飛び出す中、バックの堅い守備にも助けられて横田は粘り強く投げた。終わってみれば、被安打4の2失点完投。2回以降は得点圏に一人の走者も進めなかった。エースの快投。それもまた勝因の一つだった。横田が振り返る。
「全体的にボールが高くて、やっと制球が落ち着いたのは終盤になってから。それでも、試合の中で修正して最後まで投げられたことはよかった」
初芝監督は、完投した左腕に労いの言葉を贈った。
「初回に先制されましたが、2回以降はいつも通りに投げてくれた。都市対抗本大会以降で、これまで長いイニングを投げたのは初めて。そもそも横田が完投して勝つこと自体、これまでの今シーズンではほとんどないこと。最後までよく投げてくれたと思います」
投打に粘りと勝負強さを見せた東京ガス戦。次なる戦いは、今夏の都市対抗初戦で対戦した富士重工業との一戦だ。
この試合、2本のアーチの呼び水となる2安打を放った江藤は、都市対抗本大会を終えてから主将に任命された。新主将は、次戦に向けて力をこめる。
「やり返します」
苦汁をなめさせられた相手へのリベンジを誓った。
(文・写真:佐々木亨)