• TEAM T
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  • 鷺宮製作所
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  • セガサミー
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BATTERY

横田、鈴木、山崎-佐藤

HOMERUN

川端(3回2ラン)

戦評COMMENT

初回の失点に、1年前の記憶が蘇った。
1回表、先発の横田哲は一死から連打を浴びて一、三塁のピンチを迎えた。4番打者には131キロの変化球をセンター前に運ばれ、1失点。5番打者には初球の変化球をライト線に運ばれ、2失点目。さらに一死二、三塁から、6番打者に初球を軽々とライトに運ばれ、犠飛で3失点目。制球に苦しむ中で失点を重ねた。
昨年の東京都企業春季大会準決勝(初戦)でも、先発を担ったのは横田だった。相手は同じく鷺宮製作所。当時1年目だった左腕は、1回裏に内野陣の2つの失策とヒット2本で2点を失った。昨年と今年を比較すれば、内容と失点数は違えども、試合の「入り」としてはどこか似たような雰囲気があった。
だが、昨年と今年で決定的に違ったのは、その後の展開だ。厳密に言えば、横田のピッチングが違った。
「3回以降は自分のテンポでリズムよく投げられた」と語った昨年とは異なり、この試合での横田は立ち直るきっかけすらつかめない様子だった。結果的に2回表からの3イニングスは無失点に抑えたが、いずれもヒットで出塁を許した。本調子には程遠いピッチングを続ける中、連打と四球で満塁のピンチを迎えた5回表にはセンターへの犠飛で手痛い追加点を奪われた。そのイニングを最後に9安打4失点で降板した左腕エースは、試合後の言葉に悔しさを滲ませた。
「初回はカーブがうまく決まらずに、ストレートとチェンジアップだけの勝負になってしまいました。そこを相手に狙われてしまったと思います。その後も状態が上がってこなくて、最後までピッチングを修正できませんでした……」
一方の攻撃陣は、3回裏に4番川端裕也の右中間への特大2ラン本塁打で、一時は1点差に詰め寄った。
「カウント2ボールになり、一塁ベースも空いていたので簡単には勝負に来ないと思ったんですが、3球目がストライクゾーンに(結果はファール)。その一球で相手バッテリーは『勝負に来た』と思い、続く4球目を集中して待っていました。打った球は、低めのストレート。とらえた瞬間は手ごたえ十分でした」(川端)
だが、チームの追い上げムードはそこまでだった。5回表に2点差、6回表に3点差をつけられる中、攻撃陣は決定打を欠いた。6回裏は、先頭の6番佐藤貴穂がライト前ヒットで出塁するも併殺などで無得点。2安打ずつ放った7回裏と8回裏も「あと1本」が出ずに点を奪えない。9回裏も二死から1番本間諒が、この試合自身4安打目となる左翼線二塁打で出塁するも、後続が倒れて無得点。鷺宮製作所と同じ12安打を放ちながら、得点は3回裏の2点だけにとどまった。
川端が試合を振り返る。
「1点差のあとの失点が痛かった。先に追加点を与えてしまった5回表が結果的に試合展開に大きく響いた。相手に得点される前に1点でも取っておけば、流れは違ったものになっていたと思います」
勝てば都市対抗二次予選のシード権を獲得できる一戦だった。選手の誰もが、その重要性を感じながら戦った。それだけに、敗戦後の選手たちは悔しさと厳しさが入り混じる表情を浮かべた。
だが、今は現実を受け止めるしかない。
「やるしかない」
選手全員の言葉を代弁するかのようにそう語ったのは、主将の江藤圭樹だ。
チームは気持ち新たに、3位決定戦に挑む。
(文・写真:佐々木亨)