• TEAM T
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • R
  • H
  • E
  • セガサミー
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 1
  • 0
  • 0
  • 2
  • 3
  • 0
  • 0
  • 東芝
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0

BATTERY

松永-佐藤、須田

戦評COMMENT

「社会人になってから一番のピッチングでした」
試合後の松永大介は、満面の笑みでマウンドを振り返った。
要した球数は、わずかに88球。その数が、先発・松永の状態の良さを物語っていた。
1回裏、3つのアウトを7球で奪った右腕は、2回裏からの3イニングスをいずれも9球ずつでまとめた。4回裏までの12個のアウトのうち、外野への飛球は2つだけ。低めへのコントロールが光った。
5回裏、6番打者に死球を与えて完全試合の夢は消えたが、松永の集中力が途切れることはなかった。初めて走者を出したそのイニングも無失点に抑えると、6回裏は再び三者凡退で片づけた。
無安打無失点のピッチングが続く。
7回裏は2番打者をライトフライ、3番打者をショートライナーに仕留めて2つのアウトを奪った。終盤に入っても、松永のピッチングに変化は感じない。
だが、迎えた4番打者との対決。それまでの2打席で空振り三振を奪っていた相手。7回裏の3打席目もカウント1ボール2ストライクと追い込んだが、4球目をライト前に弾き返され初安打を許してしまう。目の前に迫っていた大記録を逃した。それでも、松永は落ち着いていた。
「いつかは打たれるだろうと思って投げていたので、初安打も気にならなかった」
その言葉通り、後続の打者をショートゴロに討ち取り、7回裏も無失点に抑えた。
先頭打者にストレートの四球を与えた8回裏も、松永の力は衰えずに点を与えない。9回裏は一死からライト前ヒットを浴びたが、続く3番打者を併殺打に討ち取った。
ゲームセット。結局、2つの四死球と2本のヒットを許したのみで、松永は社会人初の完封勝利を手にした。
「オープン戦も含め、社会人では完投も初めてでした。今日はとにかく先頭打者への長打だけを警戒しながら、低めにボールを集めることを意識して投げました。球種的にはツーシームが一番よかった。最後もツーシーム。今日のピッチングは自信になりました」
先日行なわれた四国大会。九州三菱自動車戦に先発した松永は7回途中1失点と好投した。「そのマウンドで良い感覚を掴んで、その流れのままで今日は投げられた」とも松永は言う。
右腕の快投に応えたい打線は、6回表に先取点を奪った。イニングの先頭となった8番富田裕貴のセンター前ヒットを起点に走者二塁とチャンスを築くと、二死から2番宮川和人が2ボール1ストライクからの4球目をセンター前へ弾き返して1点をもぎ取った。ちなみに、新人・宮川はその適時打を含む3安打と気を吐いた。
「タイムリーの場面は、インコースの真っ直ぐを打ちました。でも、まだまだ。もっと試合に出られるように頑張りたい」
宮川と同じく新人で途中出場となった須田凌平のセンター前ヒットと6番澤良木喬之のライト線二塁打で一死二、三塁と攻めた9回表は、代打・川端裕也のセンターオーバーの二塁打で2点を追加。結局、得点は3点にとどまったが、11安打と攻め続けた姿勢、または要所できっちりと得点した試合運びは、今後につながる戦いだったと言える。それもまた、松永の快投が引き寄せたもの。右腕は最後にこう締めた。
「これからが大事。周りの人にもっと信頼してもらえるピッチャーになっていきたい」
(文・写真:佐々木亨)