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BATTERY

森脇、森山、前原、横田-佐藤

戦評COMMENT

スターティングメンバーの欄に、エース左腕・横田哲の名前はなかった。大舞台の初戦、先発を任せられたのは1年目右腕の森脇亮介だった。
「先発と言われたのは前日(7月19日)です。投げるイメージはしていました」
そう振り返る森脇は、「ドーム練習で投げていましたし、投げやすかった」とも語った。
立ち上がり。東京ドーム初先発とは思えないほどに、森脇は落ち着いていた。初球、変化球が逸れてボール球になっても、その表情は柔らかかった。結局は先頭打者を144キロのストレートでショートゴロに討ち取る。続く2番打者に四球を与え、その後、盗塁を決められて得点圏に走者を置いたが、後続を難なく討ち取って1回表のスコアボードに「0」を刻んだ。
2回表は好フィールディングを見せた。先頭打者にレフト前ヒットを浴びて無死一塁。続く打者は手堅く犠打。だが、ピッチャー前に転がったその打球に素早く反応した森脇は、迷わず二塁へ送球した。二塁フォースアウト。さらに次打者に再び犠打を試みられて結果的には得点圏に走者を進められたが、一つ目の犠打処理の時点で勝負あり。森脇は再びスコアボードに「0」を並べた。
3回以降もヒットを許して得点圏に走者を置いたが、森脇は動じなかった。むしろイニングを追うごとに、その右腕は躍動する。4回表の3つのアウトはすべて三振。5番打者と7番打者は、いずれも最後は146キロのストレートで仕留めた。8番打者からは、1ボール2ストライクから外角への148キロのストレートで見逃し三振を奪った。
圧巻は5回表だ。先頭の9番打者に投じた4球目が、自己最速を1キロ上回る150キロを記録。森脇は言う。
「(150キロは)ボール球だったので何とも言えませんが、イニングを追うごとに力みも抜けて、いい緊張感のなかで投げられました」
ちょうど打者2巡目を投げ終えた5回途中で降板した森脇は、被安打3の無失点で大役を全うした。
その好投に応えたい打線は1回裏、森脇と同じ1年目の1番本間諒がセンター前ヒットで出塁。攻撃に勢いが生まれた。2番越前一樹選手(NTT東日本からの補強選手)の犠打で一死二塁。だが、左打者の3番江藤圭樹と4番川端裕也が連続三振に倒れて先制のチャンスを逃すと、2回以降は王子(春日井市)の右腕・近藤均投手に翻弄された。4回裏まで毎回の三振を喫するなかで無得点。3回裏に2番越前選手のレフト前ヒット、5回裏に9番坂本一将のレフト線二塁打が飛び出したが、いずれも二死からの出塁。攻撃の流れも悪かった。6回以降はさらに完璧に抑えられる。坂本以来のヒットが生まれたのは9回裏。代打・澤良木喬之がセンター前ヒットを放ったが、それもまた二死からのチャンスメイクだった。最後まで相手右腕を攻略できず、または流れを引き寄せられないままに打線はわずか4安打に抑えられて無得点に終わった。試合後の初芝清監督だ。
「攻略……する場面がなかった。相手投手の外角へのカットボールに左打者は対応できなかった。勝負所での『一本』も出なかったですし、まだまだ都市対抗では上まで勝ち上がる力がないということ」
無念の表情を浮かべた。一方、8回表に手痛い1点を失ったが、森脇、森山一茂投手(NTT東日本からの補強選手)、前原侑宜、そして横田哲とつないで最小失点に抑えた投手陣に関して、指揮官は一定の評価を与えた。
「ピッチャー陣はよく投げてくれました。1点は失いましたが責められない。先発の森脇は、ボールが高めに浮いていたので早めに交代しましたが、力感のあるピッチングを見せてくれました」
たかが1点、されど1点――。最後までホームは遠く、今年もまた初戦敗退となった。
試合後、先発の森脇が残した言葉が唯一の救いだっただろうか。
「大舞台での先発は、これまで一度もありませんでした。良い経験をさせていただきました。でも、やっぱり勝ちたかった……。結果的に無失点に抑えましたが、変化球がボール1、2個分はずれたり、一度も三者凡退に抑えることができずに攻撃のリズムを築けなかった課題も見つかった。また一から練習をして、秋は大阪ドームのマウンドに立てるように頑張りたいです」
(文:佐々木亨/写真:政川慎治)