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BATTERY

森脇、松永-喜多、須田

HOMERUN

澤良木(8回2ラン)

戦評COMMENT

球春にふさわしい“そうかい”な試合運びだった。
爽快なピッチングを見せたのは、先発の森脇亮介だ。序盤2イニングスは無安打ピッチング。3回表は二死から初安打(二塁打)を浴びるも、一番打者を142キロのストレートでレフトフライに討ち取り点を与えなかった。中盤以降もテンポの良さと安定感は変わらない。キレのあるストレートを軸に、森脇曰く「しっかりと制球できた」緩いカーブも効果的に使って相手打線につけ入る隙を与えなかった。8回表を終えて散発3安打の無失点。無四球のピッチングに不安要素は見当たらなかった。
森脇の好投に対して、打線が壮快な攻撃を見せたのは8回裏だ。相手の2失策で一死二、三塁とチャンスを築いた2回裏、9番富田裕貴のチーム初安打(センター前ヒット)を皮切りに三塁まで走者を進めた3回裏、または5番赤堀大智の三塁線を抜ける二塁打と代打・川端裕也のライト前ヒットで攻め立てた4回裏。いずれも決定打を欠いて無得点に終わったが、8回裏は一転して勝負強さが際立った。
2者連続三振を奪われ、そのイニングも得点のチャンスが遠退いたかに見えた。だが、2番砂川哲平がレフト前ヒット、3番本間諒がライト前ヒット。この試合初の連打でチャンスが広がると、一塁側ベンチの「スイッチ」が一気に点火した。まずは二死一、二塁で勝負強さを見せたのが新人にして4番に座った右打席の根岸晃太郎だ。2ボール2ストライクからの5球目。ストレートをうまく引きつけて逆方向へ放った一打(右翼線二塁打)は、待望の適時打となった。
「しっかりと振り抜くことだけを考えていた」
そう語る根岸の一打で、一塁からホームを陥れた本間の好走塁も見逃せない。一気に2得点。さらに走者二塁から5番赤堀がセンターの頭上を越える三塁打を放って得点を重ねる。極めつけは、6番澤良木喬之の豪快なひと振りだ。1ストライクからの2球目。外角高めのストレートをとらえた打球がレフトスタンドに飛び込んだ。豪快な2ラン本塁打で点差は5点に。二死からの得点は相手に大きなダメージを与えた。さらに長打2本を含む5連打での大量得点だ。昨シーズンまでとはひと味違った攻撃力がそこにはあった。
9回表は、それまで安定したピッチングを見せていた森脇が社会人初の完封を目前に制球を乱して2失点。
「(完封を)意識しないで投げたつもりでしたが、結果的に意識し過ぎてしまったということ。この悔しい経験を次に生かしたい」
試合後の森脇はそう反省したが、最後は右腕の松永大介が火消し役となって試合を締めた。
欲を言えば、相手を投打に圧倒する完封勝利が理想だった。それでも、その内容に限りなく近い会心のゲーム。東京都心の桜の開花が宣言されたこの日。チームは「勝利」という名の花をしっかりと咲かせて、2016年シーズンをスタートさせた。

文・写真:佐々木亨