HOME 試合情報 試合結果 第2戦 試合日程・結果 2016.04.16 [Sat] 第39回JABA日立市長杯選抜野球大会第2戦 vs 新日鐵住金鹿島 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 0 0 0 0 3 1 1 1 0 6 0 0 新日鐵住金鹿島 新 2 0 0 0 2 0 0 0 0 4 0 0 BATTERY 氏家、鈴木、河原、松永-喜多 HOMERUN 江藤(7回ソロ)、赤堀(8回ソロ) 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 先制されても怯まない。流れを引き戻す攻撃力がある。そんな今シーズンを象徴する、力強いゲーム運びだった。 「スライダーの制球が悪かった」 自身のピッチングをそう振り返る先発左腕の氏家優悟は、1回裏に3四死球と制球を乱した。押し出しの死球もありながら2失点。立ち上がりに要した球数は32球にも及んだ。2回裏からは走者を出しながら無失点に抑えたが、4回途中で降板。計73球の球数が、氏家の苦しいマウンドを物語っていた。 一方の攻撃陣は4回表まで快音なく、無安打無得点に抑えられた。だが、2点を追う5回表。それまでの静けさが嘘のようにバットが躍動する。 目覚めの一打を放ったのはイニングの先頭となった5番赤堀大智だ。1ボールからのファーストストライクを積極的に狙い、レフト前へクリーンヒットを放つ。6番政野寛明が四球を選び、7番宮川和人の犠打で一死二、三塁。そのチャンスで意地を見せたのが8番喜多亮太だった。新日鐵住金鹿島の右腕・真島健投手にストライク先行のピッチングを強いられながら、高めのストレートをとらえてレフト前ヒット。赤堀に続き、激走を見せた二塁走者の政野もホームへ迎え入れる同点打となった。 「変化球でカウントを整えられていたので、勝負球にも変化球を使ってくると思っていました。でも、ヒットの直前に相手ピッチャーが(キャッチャーの)サインに首を振ったので、ストレートに対する準備もしていた。絶対に打つ。その一心でバットを振りました」 今シーズンの公式戦は、チャンスで打席が巡ってきても結果が出ずに苦しみ続けていた。それだけに、喜びは一入。「今日の一打が良いきっかけとなり、打撃が上向きになっていけば」と語った喜多自身にとっても大きな一打となった。 勢いは止まらない。喜多を二塁に置き、9番富田裕貴も意地の一打を放つ。一、二塁間をしぶとく抜けるヒットは勝ち越し打となった。4回裏に再びリードを許したが、6回表には4番根岸晃太郎の右中間への二塁打を皮切りに、代打の6番松延卓弥の犠飛で同点。そして終盤には、大きな意味を持つ、まさに「ビック」なアーチが続いた。 まずは7回表だ。1番江藤圭樹が粘った7球目の高めのストレートを右翼スタンドに運んで再び勝ち越す。 「(2点を先制されて)試合の入りが悪く、5回裏も自滅した形で失点する中で、流れを引き戻して同点、そして再び勝ち越せたのは大きかった」 江藤がそう振り返るように、終盤の一発は試合の行方を左右するものであり、大きな勢いをもたらした。その姿こそが、今シーズンは際立つチームの粘り強さ。また、勝ち越し弾は、江藤にとって今シーズンの公式戦初安打。個人的にも今後につながる一打だった。 そして、8回表は5番赤堀のソロアーチだ。カウント2ボールからの3球目をとらえた打球が右中間スタンドに突き刺さって点差が広がった。まさに「ビック」な飛距離もさることながら、貴重な追加点をもたらした一発は試合展開において大きな意味を持っていた。終盤の1点差と2点差では大きな違いがある。 「初球の変化球がボール球になり、さらにボール球が続いて優位なカウントになった。配球と相手ピッチャーの状態を考えて、狙い球をストレートに絞っていた」 読み通りのフルスイングから生まれた豪快弾は、勝利をグッと手繰り寄せるものだった。 攻撃陣が築いたその流れを守り切ったのは、4番手として登板した松永大介だった。6回裏から4イニングスを投げて被安打1。長身右腕をリードした喜多が「今日の松永さんはツーシームがよかったですし、何よりもすべての球種でしっかりとストライクを取れた制球力がよかった」と振り返る快投だ。9回裏は味方の失策で先頭打者の出塁を許したが、そのピンチも巧みな牽制球で脱した。 「打者はフルカウント。相手ベンチが動く可能性もあったので勝負をかけた」 最後まで集中力を絶やさず、相手に点を与えることがなかった松永は勝利投手となった。 守備には2つの失策があったが、そのミスを帳消しにするビックプレーもあった。投手陣が四死球を連発してノーヒットで2点を失った5回裏には、捕手の喜多が自慢の強肩を見せた。逆転を許してなおも二死一、二塁。そのピンチで、二塁走者の離塁の大きさを見逃さず、素早くセカンドへ送球してアウトを奪う。さらに点差が広がっても不思議ではない不穏な空気が流れる中で飛び出したワンプレー。一度、試合を落ち着かせた喜多の守備力が、その後の再逆転劇をもたらしたと言っても過言ではない。7回裏は三塁手の砂川哲平だ。三遊間の強烈な打球を好捕。相手のチャンスメイクを阻んだ。8回裏は左翼手の富田がレフト前へのヒット性の打球を滑り込んで好捕。3回裏の自身の失策を帳消しにするプレーもまた、相手に攻撃のきっかけを与えない大きなものだった。 逆境を跳ね返し、最後は打ち勝ち、守り切った。決勝トーナメント進出に向けて、チームは「価値ある1勝」を手にして大きな弾みをつけた。 文・写真:佐々木亨 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
先制されても怯まない。流れを引き戻す攻撃力がある。そんな今シーズンを象徴する、力強いゲーム運びだった。
「スライダーの制球が悪かった」
自身のピッチングをそう振り返る先発左腕の氏家優悟は、1回裏に3四死球と制球を乱した。押し出しの死球もありながら2失点。立ち上がりに要した球数は32球にも及んだ。2回裏からは走者を出しながら無失点に抑えたが、4回途中で降板。計73球の球数が、氏家の苦しいマウンドを物語っていた。
一方の攻撃陣は4回表まで快音なく、無安打無得点に抑えられた。だが、2点を追う5回表。それまでの静けさが嘘のようにバットが躍動する。
目覚めの一打を放ったのはイニングの先頭となった5番赤堀大智だ。1ボールからのファーストストライクを積極的に狙い、レフト前へクリーンヒットを放つ。6番政野寛明が四球を選び、7番宮川和人の犠打で一死二、三塁。そのチャンスで意地を見せたのが8番喜多亮太だった。新日鐵住金鹿島の右腕・真島健投手にストライク先行のピッチングを強いられながら、高めのストレートをとらえてレフト前ヒット。赤堀に続き、激走を見せた二塁走者の政野もホームへ迎え入れる同点打となった。
「変化球でカウントを整えられていたので、勝負球にも変化球を使ってくると思っていました。でも、ヒットの直前に相手ピッチャーが(キャッチャーの)サインに首を振ったので、ストレートに対する準備もしていた。絶対に打つ。その一心でバットを振りました」
今シーズンの公式戦は、チャンスで打席が巡ってきても結果が出ずに苦しみ続けていた。それだけに、喜びは一入。「今日の一打が良いきっかけとなり、打撃が上向きになっていけば」と語った喜多自身にとっても大きな一打となった。
勢いは止まらない。喜多を二塁に置き、9番富田裕貴も意地の一打を放つ。一、二塁間をしぶとく抜けるヒットは勝ち越し打となった。4回裏に再びリードを許したが、6回表には4番根岸晃太郎の右中間への二塁打を皮切りに、代打の6番松延卓弥の犠飛で同点。そして終盤には、大きな意味を持つ、まさに「ビック」なアーチが続いた。
まずは7回表だ。1番江藤圭樹が粘った7球目の高めのストレートを右翼スタンドに運んで再び勝ち越す。
「(2点を先制されて)試合の入りが悪く、5回裏も自滅した形で失点する中で、流れを引き戻して同点、そして再び勝ち越せたのは大きかった」
江藤がそう振り返るように、終盤の一発は試合の行方を左右するものであり、大きな勢いをもたらした。その姿こそが、今シーズンは際立つチームの粘り強さ。また、勝ち越し弾は、江藤にとって今シーズンの公式戦初安打。個人的にも今後につながる一打だった。
そして、8回表は5番赤堀のソロアーチだ。カウント2ボールからの3球目をとらえた打球が右中間スタンドに突き刺さって点差が広がった。まさに「ビック」な飛距離もさることながら、貴重な追加点をもたらした一発は試合展開において大きな意味を持っていた。終盤の1点差と2点差では大きな違いがある。
「初球の変化球がボール球になり、さらにボール球が続いて優位なカウントになった。配球と相手ピッチャーの状態を考えて、狙い球をストレートに絞っていた」
読み通りのフルスイングから生まれた豪快弾は、勝利をグッと手繰り寄せるものだった。
攻撃陣が築いたその流れを守り切ったのは、4番手として登板した松永大介だった。6回裏から4イニングスを投げて被安打1。長身右腕をリードした喜多が「今日の松永さんはツーシームがよかったですし、何よりもすべての球種でしっかりとストライクを取れた制球力がよかった」と振り返る快投だ。9回裏は味方の失策で先頭打者の出塁を許したが、そのピンチも巧みな牽制球で脱した。
「打者はフルカウント。相手ベンチが動く可能性もあったので勝負をかけた」
最後まで集中力を絶やさず、相手に点を与えることがなかった松永は勝利投手となった。
守備には2つの失策があったが、そのミスを帳消しにするビックプレーもあった。投手陣が四死球を連発してノーヒットで2点を失った5回裏には、捕手の喜多が自慢の強肩を見せた。逆転を許してなおも二死一、二塁。そのピンチで、二塁走者の離塁の大きさを見逃さず、素早くセカンドへ送球してアウトを奪う。さらに点差が広がっても不思議ではない不穏な空気が流れる中で飛び出したワンプレー。一度、試合を落ち着かせた喜多の守備力が、その後の再逆転劇をもたらしたと言っても過言ではない。7回裏は三塁手の砂川哲平だ。三遊間の強烈な打球を好捕。相手のチャンスメイクを阻んだ。8回裏は左翼手の富田がレフト前へのヒット性の打球を滑り込んで好捕。3回裏の自身の失策を帳消しにするプレーもまた、相手に攻撃のきっかけを与えない大きなものだった。
逆境を跳ね返し、最後は打ち勝ち、守り切った。決勝トーナメント進出に向けて、チームは「価値ある1勝」を手にして大きな弾みをつけた。
文・写真:佐々木亨