• TEAM T
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BATTERY

氏家、松永、井上、森脇-喜多、須田

HOMERUN

澤良木(2回ソロ)

戦評COMMENT

野球には、『クオリティ・スタート(QS)』という言葉がある。それは先発投手の安定感を表す指標で、6イニングス以上を投げて自責点3以内に抑えた時に記録されるものだ。言わば、『QS』をマークすれば、先発投手は最低限の仕事をしたことになる。
先発の氏家優悟は、まさにそのピッチングを見せてくれた。
4回表までに与えたヒットは、わずかに1本。一度も得点圏に走者を進めることなく、無失点に抑えた。氏家は「コーナーにしっかりと投げ分けられた」と振り返る。だが、5回表に一、二塁のピンチを迎えると、代打の8番打者に三塁線を破る二塁打を浴びて2点を失った。
「打たれたのは初球のスライダーでした。少しインコースに入ってしまった。二死からの失点というのも反省点です」
簡単に二死を奪った後の連続四球が失点につながったことを氏家は悔やむ。それでも後続を討ち取り、そして6回表には再びスコアボードに「0」を刻んだ。7回表に二塁打と四球を与えたところで降板となったが、先発投手としては十分な働きを見せた。
氏家の粘り強いピッチングが、試合に緊張感をもたらした。打線も、2回裏に4番・澤良木喬之の右翼席に飛び込むソロアーチで先制。6回裏には3番・赤堀大智の左翼線二塁打を皮切りに5番・宮川和人の中前安打で1点、7回裏には6番・神野達哉の左前安打を起点に9番富田裕貴の適時内野安打で1点を挙げ、小刻みに得点を重ねて集中力を絶やさなかった。試合は両チームの意地が激しくぶつかり合い、3対3のまま延長戦へ。ただ、延長突入の時点では、その後の展開を予想できた者はいなかったはずだ。
スコアボードに「0」が刻まれる。それは球場の照明が点灯した延長13回を迎えても続いた。さらに両チームの無得点、無失点は続く。東京都のローカルルールでは、延長15回まではタイブレークが導入されない。結局、そのリミットぎりぎりまで同点劇は続いた。
そして、これまたローカルルールである「無死一、二塁からのタイブレーク」に突入した延長16回。ついに試合が決する瞬間が訪れた。16回表の守りを無失点に抑えたチームは、その裏、無死一、二塁から代打の2番・大月将平がきっちりと犠打を決めて二、三塁とする。3番・赤堀は敬遠の四球で、チャンスは満塁と拡大した。続く打者は4番・澤良木だ。そこでNTT東日本は左打席の澤良木に対し、マウンドに左投手を送る。勝負が決したのは、直後の初球だった。
「左投手がくることはイメージできていました。打席に入る前から、カウントが追い込まれる前に勝負を決めよう。初球から振っていこうと決めていました。打った球は、インコース低めのストレート。いいところに、打球が落ちてくれました」
澤良木がそう振り返る中前安打で、三塁走者の富田がホームへ還ってサヨナラ勝利。4番の一振りで、4時間15分に及んだ激戦に終止符が打たれた。
佐藤俊和コーチは試合後にこう言った。
「こういうゲームを勝ち切るのと、勝ち切れないのでは大きな差がある」
9回表から登板した4番手の森脇亮介が最後まで投げ切って無失点に抑えたピッチングも見逃せない。投打が粘り強く戦い抜き、最後は勝利を掴んだ試合は、チームをまた一つ大きく成長させた。
文・写真:佐々木亨