HOME 試合情報 試合結果 準決勝 試合日程・結果 2016.08.28 [Sun] 2016年度JABA東京都企業秋季大会準決勝 vs 東京ガス 大田スタジアム 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 0 0 3 2 0 0 0 0 0 5 0 0 東京ガス 東 2 2 1 2 0 0 0 0 x 7 0 0 BATTERY 井上、陶久、河原、島津-喜多 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 取られたら、取り返す――。 打線はその想いをバットに乗せ、必死に食い下がった。 3回表は一死から9番・富田裕貴が右前安打でチャンスメイク。1番・砂川哲平の四球、2番・政野寛明の左前安打で満塁としてチャンスはさらに広がった。二死後、好機を得点につなげたのは4番・澤良木喬之だ。2ボール2ストライクからの4球目。左打席に立つ澤良木は対左投手を苦にすることなく、東京ガス・宮谷陽介投手のチェンジアップを右翼線へ運んだ。走者一掃となる適時二塁打。一気に3点を返して1点差に詰め寄った。 さらに反撃に転じる打線は4回表、イニングの先頭となった6番・神野達哉の左前安打を皮切りに、9番・富田の右越え二塁打で1点。さらに二死二塁から1番・砂川が右越え二塁打を放ち、そのイニングのスコアボードに「2」を刻んだ。 中盤4回表までに計5得点。だが、この試合のポイントは、その得点力ではなかった。 投手陣の乱調。 打線の奮起が薄れるほどに失点を重ねた投手陣の出来が、結果的に勝敗を分けた。 先発左腕の井上和紀は1回裏に先制の2ラン本塁打を浴びた。2回裏は二死から9番打者に四球を与え、1番打者に右越えの適時三塁打を浴びた。さらに2番打者の中前安打で失点。4点目を失ったところで早々に降板した。 「2回裏は気持ちを切り替えてマウンドに上がったつもりでしたが……。二死からの四球が悔しい」 ストレートの伸び、変化球のキレともに「悪くはなかった」と振り返る井上は、自らの不甲斐なさに、ただただ悔しさを滲ませた。 3回以降も、重い空気は変わらない。1点差に詰め寄る中で迎えた3回裏には、2番手の陶久亮太が1失点。同点で迎えた4回裏には、3番手の河原龍平が与えた2つの四球がきっかけとなり2点を失った。4回裏まで毎回失点……。特に打線が得点した直後の失点が、チーム全体の士気を下げる結果となった。 一度も手にすることができなかった主導権。打線は反撃に転じたものの、試合を優位に運ぶことは一度もなかった。1点差に迫った3回表、または同点に追いついた4回表。そのいずれかで一気に勝ち越すシーンがあれば、また違った展開になっていたかもしれない。また、5回以降で先頭打者が出塁したイニングは3度もあった。そのチャンスを得点に結びつけることができなかった拙攻も悔やまれる。ただ、やはりこの試合は、序盤から続いた「投手陣の乱調」に尽きた。 収穫と言えば、打線の奮起と、4回途中から登板した島津瑛久のピッチングになるだろうか。島津は登板直後に失点するも、その後のイニングでは気迫のピッチングで相手打線をねじ伏せた。気持ちを前面に出してマウンドで吠えた姿もいい。5回裏からは、わずか1安打に抑えて無失点に抑えた。 取られたら、取り返す――。もちろん、その力は重要だ。ただそれ以上に、いかに失点を減らし、試合を優位に運べるか。または、得点直後のイニングを、いかにしっかりと守り抜くことができるか。この試合は、その大切さを痛いほどに味わう試合となった。 文・写真:佐々木亨 前へ 1 次へ 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
取られたら、取り返す――。
打線はその想いをバットに乗せ、必死に食い下がった。
3回表は一死から9番・富田裕貴が右前安打でチャンスメイク。1番・砂川哲平の四球、2番・政野寛明の左前安打で満塁としてチャンスはさらに広がった。二死後、好機を得点につなげたのは4番・澤良木喬之だ。2ボール2ストライクからの4球目。左打席に立つ澤良木は対左投手を苦にすることなく、東京ガス・宮谷陽介投手のチェンジアップを右翼線へ運んだ。走者一掃となる適時二塁打。一気に3点を返して1点差に詰め寄った。
さらに反撃に転じる打線は4回表、イニングの先頭となった6番・神野達哉の左前安打を皮切りに、9番・富田の右越え二塁打で1点。さらに二死二塁から1番・砂川が右越え二塁打を放ち、そのイニングのスコアボードに「2」を刻んだ。
中盤4回表までに計5得点。だが、この試合のポイントは、その得点力ではなかった。
投手陣の乱調。
打線の奮起が薄れるほどに失点を重ねた投手陣の出来が、結果的に勝敗を分けた。
先発左腕の井上和紀は1回裏に先制の2ラン本塁打を浴びた。2回裏は二死から9番打者に四球を与え、1番打者に右越えの適時三塁打を浴びた。さらに2番打者の中前安打で失点。4点目を失ったところで早々に降板した。
「2回裏は気持ちを切り替えてマウンドに上がったつもりでしたが……。二死からの四球が悔しい」
ストレートの伸び、変化球のキレともに「悪くはなかった」と振り返る井上は、自らの不甲斐なさに、ただただ悔しさを滲ませた。
3回以降も、重い空気は変わらない。1点差に詰め寄る中で迎えた3回裏には、2番手の陶久亮太が1失点。同点で迎えた4回裏には、3番手の河原龍平が与えた2つの四球がきっかけとなり2点を失った。4回裏まで毎回失点……。特に打線が得点した直後の失点が、チーム全体の士気を下げる結果となった。
一度も手にすることができなかった主導権。打線は反撃に転じたものの、試合を優位に運ぶことは一度もなかった。1点差に迫った3回表、または同点に追いついた4回表。そのいずれかで一気に勝ち越すシーンがあれば、また違った展開になっていたかもしれない。また、5回以降で先頭打者が出塁したイニングは3度もあった。そのチャンスを得点に結びつけることができなかった拙攻も悔やまれる。ただ、やはりこの試合は、序盤から続いた「投手陣の乱調」に尽きた。
収穫と言えば、打線の奮起と、4回途中から登板した島津瑛久のピッチングになるだろうか。島津は登板直後に失点するも、その後のイニングでは気迫のピッチングで相手打線をねじ伏せた。気持ちを前面に出してマウンドで吠えた姿もいい。5回裏からは、わずか1安打に抑えて無失点に抑えた。
取られたら、取り返す――。もちろん、その力は重要だ。ただそれ以上に、いかに失点を減らし、試合を優位に運べるか。または、得点直後のイニングを、いかにしっかりと守り抜くことができるか。この試合は、その大切さを痛いほどに味わう試合となった。
文・写真:佐々木亨