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BATTERY

島津、横田、前原、松永-須田

HOMERUN

須田(1回ソロ)

戦評COMMENT

秋晴れの空に舞ったメモリアルアーチが始まりだった。
1回表、2番須田凌平のバットがカウント2ボール2ストライクからのフォークボールをとらえた。舞い上がった打球が94メートルの左翼フェンスを乗り越える。先制のソロ本塁打だ。須田にとっては、社会人2年目での公式戦初アーチだった。
「2日前のNTT東日本とのオープン戦でも(ホームランを)打っていたんです。打撃の状態は良い」
先制弾を振り返る須田の表情は明るい。
その直後に同点とされるが、3回表には1番砂川哲平の中前安打を皮切りに3番赤堀大智のショートへの内野安打で1点を勝ち越す。さらに4回表は、一死から6番海保駿輔の左中間を破る二塁打を起点に8番宮川和人の中前安打で追加点。小刻みに、それでも着実に点を重ねる攻撃陣には「勝負強さ」があった。
試合の流れは完全に一塁側にあった。だが4回裏、それまで1失点で凌いでいた先発の島津瑛向が手痛い一発を食らう。中前適時打で1点差に詰め寄られると、なおも一、三塁のピンチで1番打者に左翼席へライナーで突き刺さる3ラン本塁打を浴びて逆転を許した。
先発マスクの須田は言う。
「(島津は)変化球がなかなか決まらずにストレート主体の配球にならざるを得なかった。ホームランを打たれた球もストレートでした」
カウント3ボール1ストイラクからの高めのストレート。相手打者の思い切りの良いスイングからもわかるように、完璧にストレートを狙われていた。二死走者なしから四球をきっかけに一挙4点を失った4回裏。そこでの失点は点数もさることながら、「点の取られ方」が悔やまれただけに、チームには大きなダメージが残った。
だが、この試合はそこからが強かった。「粘り強さ」を見せたのは8回表だ。二死から代打・川端裕也がセンターへ抜けるかと思われたセカンドへの内野安打で出塁すると、途中出場の5番松延卓弥が右翼手の頭上を越える三塁打を放って1点差に詰め寄る。さらに二死三塁で、6番海保がフルカウントから変化球を右中間へ運んで二塁打。三塁走者の松延が悠々とホームへ還って同点に追いついた。
「打った球は高めのスライダー。結果が出てよかったです」(海保)
終盤の同点劇は、ベテラン、中堅、新人がうまく融合した理想的な形だったと言える。
マウンドを守り抜いた投手陣の「粘り」も見逃せない。5回裏からの2イニングスを無失点に抑えた左腕の横田哲。許した出塁は野手の失策と四球のみ。特に5回裏、失策によって先頭打者に出塁を許した直後に冷静なピッチングで併殺を奪った場面は、横田の技と経験値が際立った。7回裏は右下手投げの前原侑宜だ。久しぶりとなった公式戦のマウンドで三者凡退に抑える好投。その良い流れを引き継いで8回裏から粘投を見せたのが右腕の松永大介。タイブレークに突入した10回表に相手バッテリーのミスと押し出し四球で2点をリードした直後のマウンドも、松永は冷静に投げ続けた。
「10回表に2点を取ってもらったので、気持ち的には楽でした。あれがもしも1点差だったら精神状態は違ったと思います」
一死満塁から始まるタイブレークの10回裏。右腕はセカンドフライとレフトフライで締めて、勝利のマウンドで笑顔を見せた。
これで今シーズンの関東選抜リーグ戦での通算勝利を「3」に伸ばしたチーム。10月中旬に行われる関東選手権大会出場に大きく前進した。
文・写真:佐々木亨