HOME 試合情報 試合結果 予選リーグ第1戦 試合日程・結果 2017.05.02 [Tue] 14:00 第70回ベーブルース杯大会予選リーグ第1戦 vs トヨタ自動車東日本 長良川球場 一塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E トヨタ自動車東日本 ト 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セガサミー セ 0 0 1 0 0 0 2 0 x 3 BATTERY 氏家-須田 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 最終回の姿にこそ、氏家優悟の思いが詰まっていた。 先頭打者に要した球数は8球。続く打者は5球で、3人目は9球。計22球と相手打線に粘られながらも、最後まで気持ちを切らさずに、逞しく、そして力強いボールで打者に向かっていった。長良川球場のカクテル光線が左腕の快投を照らし続けた。吉井憲治コーチは言う。 「氏家の気持ちが相手に向かっていく姿が素晴らしかった」 1点リードで迎えた7回表にはライト前ヒットと2つの四球で二死満塁とされ、この試合最大にして唯一と言っていいピンチを迎えた。迎える打者は9番打者。1ボール1ストライクから3球続けてファールで粘られた。それでも最後は「この試合で一番よかった」というストレートを、アウトコースにきっちりと投げ込んでサードゴロに討ち取った。 「須田(凌平)の要求に対して、僕も納得して投げられた一球。イメージ通りのストレートでした」 氏家同様に「素晴らしかった」と吉井コーチが称賛する須田のリードに導かれて、左腕は5回表までノーヒットピッチングを続けた。1回表に2つの四球で得点圏に走者を進めたが、2回以降は快調に飛ばした。3回表は自らの一塁牽制球でアウトを奪う場面もあった。4回表には、一死からトヨタ自動車東日本の4番・大谷龍太選手の痛烈な打球をセカンドの砂川哲平がジャンプ一番で好捕する場面もあった。抜けていれば、おそらく右中間への長打になった打球だ。「今日は野手のみんなに助けられました」と氏家が振り返るように、砂川のビッグプレーはこの試合の大きなポイントだったと言える。 氏家のノーヒットピッチングが途絶えたのは6回表だ。二死から2番打者にセカンドへの内野安打を浴びた。それでも左腕は動じなかった。 「いつかは(ヒットを)打たれると思っていたので、(ノーヒットが途絶えても)意識することはなかった」 要所ではスライダーも効果的に決まった。「須田のリードのおかげ」という氏家のピッチングは、前述の通りに最後まで勢いを保ち続けた。 被安打3の無失点。 氏家にとっては、公式戦初となる完投。しかもスコアボードに9つの「0」を並べる完封劇だ。初芝清監督は言う。 「先日の長野大会では失点の差で決勝リーグ進出を逃しました。今大会は『失点を防ぐ』こと、そして投手陣は『完投する』ことを目標に掲げています。その中で、氏家が良いピッチングをしてくれました。本人にとっては初めての完封ですし、今日のピッチングが彼にとって良いきっかけになってくれればと思います」 打線は3回裏に3番江藤圭樹の内野ゴロの間に1点を先制した。相手の先発右腕・阿世知暢投手の伸びのあるストレートに苦しめられ、なかなか追加点を挙げられなかったが、終盤に追加点。代打・松延卓弥の四球をきっかけに二死一、二塁とチャンスをつかんだ7回裏、3番江藤が追い込まれたカウントからアウトコースのストレートを左中間へ運んで三塁打。二塁走者の富田裕貴に続き、一塁走者の砂川哲平もホームを陥れて2点を加えた。 「打った直前の一球、スライダーをファールにできたことがよかった。最後はアウトコースのイメージをしっかりと持ち、逆方向へ打ち返すことを意識していました。それまでの打席では打ちづらい投球フォームからのストレートに差し込まれていましたが、(三塁打を放った)あの場面ではしっかりとタイミングが合いました」(江藤) 打線が苦しみながらも奪った3得点。それは、この試合での氏家にとって十分過ぎる援護射撃だった。完封勝利での好スタート。予選リーグ突破に向けて、チームは勢いそのままに次戦へ向かう。 (文・写真:佐々木亨) 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
最終回の姿にこそ、氏家優悟の思いが詰まっていた。
先頭打者に要した球数は8球。続く打者は5球で、3人目は9球。計22球と相手打線に粘られながらも、最後まで気持ちを切らさずに、逞しく、そして力強いボールで打者に向かっていった。長良川球場のカクテル光線が左腕の快投を照らし続けた。吉井憲治コーチは言う。
「氏家の気持ちが相手に向かっていく姿が素晴らしかった」
1点リードで迎えた7回表にはライト前ヒットと2つの四球で二死満塁とされ、この試合最大にして唯一と言っていいピンチを迎えた。迎える打者は9番打者。1ボール1ストライクから3球続けてファールで粘られた。それでも最後は「この試合で一番よかった」というストレートを、アウトコースにきっちりと投げ込んでサードゴロに討ち取った。
「須田(凌平)の要求に対して、僕も納得して投げられた一球。イメージ通りのストレートでした」
氏家同様に「素晴らしかった」と吉井コーチが称賛する須田のリードに導かれて、左腕は5回表までノーヒットピッチングを続けた。1回表に2つの四球で得点圏に走者を進めたが、2回以降は快調に飛ばした。3回表は自らの一塁牽制球でアウトを奪う場面もあった。4回表には、一死からトヨタ自動車東日本の4番・大谷龍太選手の痛烈な打球をセカンドの砂川哲平がジャンプ一番で好捕する場面もあった。抜けていれば、おそらく右中間への長打になった打球だ。「今日は野手のみんなに助けられました」と氏家が振り返るように、砂川のビッグプレーはこの試合の大きなポイントだったと言える。
氏家のノーヒットピッチングが途絶えたのは6回表だ。二死から2番打者にセカンドへの内野安打を浴びた。それでも左腕は動じなかった。
「いつかは(ヒットを)打たれると思っていたので、(ノーヒットが途絶えても)意識することはなかった」
要所ではスライダーも効果的に決まった。「須田のリードのおかげ」という氏家のピッチングは、前述の通りに最後まで勢いを保ち続けた。
被安打3の無失点。
氏家にとっては、公式戦初となる完投。しかもスコアボードに9つの「0」を並べる完封劇だ。初芝清監督は言う。
「先日の長野大会では失点の差で決勝リーグ進出を逃しました。今大会は『失点を防ぐ』こと、そして投手陣は『完投する』ことを目標に掲げています。その中で、氏家が良いピッチングをしてくれました。本人にとっては初めての完封ですし、今日のピッチングが彼にとって良いきっかけになってくれればと思います」
打線は3回裏に3番江藤圭樹の内野ゴロの間に1点を先制した。相手の先発右腕・阿世知暢投手の伸びのあるストレートに苦しめられ、なかなか追加点を挙げられなかったが、終盤に追加点。代打・松延卓弥の四球をきっかけに二死一、二塁とチャンスをつかんだ7回裏、3番江藤が追い込まれたカウントからアウトコースのストレートを左中間へ運んで三塁打。二塁走者の富田裕貴に続き、一塁走者の砂川哲平もホームを陥れて2点を加えた。
「打った直前の一球、スライダーをファールにできたことがよかった。最後はアウトコースのイメージをしっかりと持ち、逆方向へ打ち返すことを意識していました。それまでの打席では打ちづらい投球フォームからのストレートに差し込まれていましたが、(三塁打を放った)あの場面ではしっかりとタイミングが合いました」(江藤)
打線が苦しみながらも奪った3得点。それは、この試合での氏家にとって十分過ぎる援護射撃だった。完封勝利での好スタート。予選リーグ突破に向けて、チームは勢いそのままに次戦へ向かう。
(文・写真:佐々木亨)