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  • セガサミー
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  • 西濃運輸 西
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BATTERY

横田、田中、森脇-須田、喜多

【備考】 大会規定により10回からタイブレーク

HOMERUN

澤良木(2回ソロ)

戦評COMMENT

終盤を迎えて勝負の振り子が激しく揺れた。濃密な時間を演出したのは「2アウトからの攻防」だった。

1点リードで迎えた8回裏。先発の横田哲は、先頭打者に出塁(セカンド前のバントヒット)を許すも後続を討ち取って2アウトを奪う。二死二塁で、迎えるは西濃運輸の4番打者だ。ストライクが先行し、カウント1ボール2ストライクと追い込んだ。だが、4球目。横田が「抜けてしまった……。失投でした」と振り返るチェンジアップをセンター前へはじき返され、二塁走者のホームへの生還を許した。さらに5番打者にライト線への適時二塁打を浴びて一気に試合状況が反転した。

1点を追う展開となった9回表は、先頭打者の5番赤堀大智がしぶとくライト線へ運び、打球が外野の芝生を転々とする中で二塁を陥れた。犠打で一死三塁。一打同点の場面で打席に立ったのは代打の政野寛明だった。政野の起用を初芝清監督はこう振り返る。

「政野と、打撃の状態が良い松延(卓弥)を『ここぞ』という場面で使いたいと思っていました。起用の順番をどうするかだけでした」

初芝監督は、東京都企業春季大会の準決勝(JR東日本戦)でサヨナラとなる押し出しの四球を選び、さらに長野大会の予選リーグ1試合目(NTT西日本戦)でサヨナラ打を放った政野に、まずは勝負を託したのだ。だが、空振り三振。「2アウト」となり、崖っぷちに立たされた三塁側ベンチに「敗戦」の二文字が微かに流れた。それでも選手たちは最後まで諦めていなかった。窮地を救ったのは、指揮官が「打撃の状態が良い」と見ていた代打の松延だ。フルカウントからの5球目をとらえた打球がセカンドの頭上を強烈に抜ける。センター前への起死回生の同点打。三塁側ベンチが再び息を吹き返した。

9回裏を2番手の田中太一が三者凡退に抑え、試合は延長戦へ。一死満塁からの攻撃となるタイブレークに突入した延長10回表は、2回表にライトスタンドへ特大のソロアーチを放っていた6番澤良木喬之から始まった。タイブレークは任意の打順から始まる。初芝監督は「澤良木の一打にかけた」。だが、あえなく見逃し三振に倒れて「2アウト」となった。その重苦しい空気を変えたのが、前の打席で三振に倒れていた政野だった。

「もう一度チャンスをもらった打席。何としてでも打ちたかった」

初球はストレートを、2球目はチェンジアップを、いずれもファールした。ボール球を一つ挟んで勝負の4球目。「割り切って」強振したバットが、インコースのストレートを完璧にとらえた。打球が右中間を深々と破り、走者一掃の二塁打となる。今シーズンは試合途中での起用が多い中で「大きな仕事」を果たしている政野は言う。

「試合の流れを読みながら、いつも準備だけはしています。準備が一番。それが良い結果につながっていると思います」

練習では「一球を大事にしている」ともいう政野の値千金の一打に続き、9番富田裕貴にも左越え適時二塁打が飛び出し、10回表はセーフティリードともいえる一挙4点を奪った。その裏を3番手の森脇亮介が2者連続三振で締め、濃密な時間は「勝利」という二文字とともに終わった。

「都市対抗の予選並みに疲れました」

試合後の初芝監督の言葉は本音だろう。疲労の中にも充実感が広がる指揮官の表情が物語るように、手にした1勝は大きな意味を持つ。

タフな試合を勝ち切ったチームの予選リーグ突破はグッと近づいた。

(文・写真:佐々木亨)