HOME 試合情報 試合結果 予選リーグ第3戦 試合日程・結果 2017.05.05 [Fri] 9:00 第70回ベーブルース杯大会予選リーグ第3戦 vs ジェイプロジェクト 大垣北公園野球場 三塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 0 0 0 0 1 2 0 0 0 3 ジェイプロジェクト ジ 0 0 0 0 1 0 0 2 1x 4 BATTERY 森脇、田中-須田 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 勝利の足音が近づいていた8回裏からの時間は、長くて辛いものになった。 点差は2点だ。決してセーフティリードとは言えなかったが、粘り強くマウンドを守っていた先発の森脇亮介の実力を考えれば、残り2イニングを無失点に抑えても不思議ではなかった。三塁側ベンチとしても、右腕の完投に期待していた。だが、森脇の投球を直に受けていた先発マスクの須田凌平だけは一抹の不安を感じていた。 「中盤以降から徐々に森脇の真っ直ぐの質や球威は上がっていきました。ただ、本来の力からすれば、全体的に真っ直ぐは決まっていなかったと思います。コントロールも定まらない場面があった。真っ直ぐがあってこその森脇のピッチング。結果論になってしまいますが、5回ぐらいで代えてあげてもよかったかもしれません。」 5回裏の森脇は先頭打者に三塁打を浴び、8番打者のセンター前ヒットで1点を奪われた。6回以降は再び持ち直して三者凡退を続けたが、迎えた8回裏。須田が感じ取っていた不安が、確かな音を立てて襲いかかってきた。 上位打線に連打を浴びて無死一、二塁。4番打者はフルカウントからのスライダーで見逃し三振に仕留めたが、5番打者に再びフルカウントまで粘られ、最後はしぶとくレフト前へ運ばれて1点を失った。1点差に詰め寄られたところで、森脇は無念の降板となった。 なおも一死一、三塁。ピンチが続く中でマウンドに上がったのは右腕の田中太一だ。その初球だった。相手ベンチがスクイズを仕掛けてきた。投手前へ飛んだボールをしっかりと受け止め、三本間に挟まれた三塁走者を目で牽制しながら、田中は三塁手の江藤圭樹へボールを送った。スクイズ阻止でピンチを切り抜けた……誰もがそう思った。だが次の瞬間、ホームベース付近にいた須田への江藤の送球が逸れる。労せずして三塁走者がホームを踏んだのは、その直後だ。 守備の乱れによる同点劇。三塁側ベンチに重い空気が漂ったのは想像に難くない。 悪い流れは断ち切れなかった。9回裏、マウンドの田中は9番打者に初球をセンター前へ運ばれて先頭打者の出塁を許した。犠打で一死二塁。ピンチを迎え、三塁側ベンチは2番打者に対して敬遠策を指示した。1点でも失えばサヨナラ負けの場面だ。ベンチの狙いは塁を埋めて守りやすい状況を作ること。最高のシナリオは併殺打で一気にピンチを切り抜けることだった。だが、その策は裏目に出た。3番打者に四球を与えてしまい、一死満塁とピンチはさらに拡大した。4番打者に対してはフルカウント。ボール球が先行した田中のピッチングに余裕はなかった。そして6球目、バッテリーが勝負球に選んだのはスライダーだった。変化球をとらえたバットが小躍りする。打球はセンター前へ。サヨナラでの敗戦が決まった瞬間だった。捕手の須田は言う。 「カウント2ボール2ストライクからの5球目にスライダーで勝負すべきでした……」 結果的にストレートで勝負に行き、ボール球になってフルカウントにしてしまった配球を最後まで悔やんだ。そして、もう一つ。須田は自身の打席に対しても険しい表情を浮かべた。 それは8回表。イニングの先頭だった5番赤堀大智の右中間二塁打をきっかけに、一死三塁となった場面で巡ってきた第4打席だ。カウント2ボールから、須田はスクイズを試みた。右下手投げの変化球に対して、スクイズは三塁線へのファールとなった。 「(スクイズをするには)難しいボールではなかったんですが……。あそこでしっかりと決めて追加点を奪えっていれば、その後の展開は違ったと思います」 チャンスはしっかりと得点につなげる――。それは8回裏の攻撃に限ったことではなかった。6回表は、3番江藤のレフト前ヒットと4番根岸晃太郎のライトフェンス直撃となる三塁打で1点を勝ち越した。さらに四球が続いて満塁とし、7番須田の押し出し死球で3点目を挙げた。だが、なおも無死満塁とチャンスが残る中で後続が倒れて大量得点には至らなかった。7回表は2つの四死球をもらい無死一、二塁と攻め立て、4番根岸に右中間への二塁打が飛び出しながらも無得点。9回表も、先頭の9番富田裕貴が放ったセンター前ヒットを生かし切れなかった。佐藤俊和コーチは言う。 「取るべきところで、しっかりと点を取らなければいけない。今日は攻撃で守備に良いリズムを持っていけなかった」 もちろん、選手たちもわかっている。試合後の選手間ミーティングで主将の赤堀は言った。「打撃の詰めの甘さ。これが現実」だと。 予選リーグは2勝1敗で終えた。結局、第2戦のタイブレークでの勝利が関係し、大会規定のポイント数の差で決勝トーナメント進出を逃した。最終戦で突き付けられた現実は重い。今大会で見えた課題と悔しさを糧に、チームは5月末から始まる都市対抗東京都二次予選へ向かって行く。 (文・写真:佐々木亨) 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
勝利の足音が近づいていた8回裏からの時間は、長くて辛いものになった。
点差は2点だ。決してセーフティリードとは言えなかったが、粘り強くマウンドを守っていた先発の森脇亮介の実力を考えれば、残り2イニングを無失点に抑えても不思議ではなかった。三塁側ベンチとしても、右腕の完投に期待していた。だが、森脇の投球を直に受けていた先発マスクの須田凌平だけは一抹の不安を感じていた。
「中盤以降から徐々に森脇の真っ直ぐの質や球威は上がっていきました。ただ、本来の力からすれば、全体的に真っ直ぐは決まっていなかったと思います。コントロールも定まらない場面があった。真っ直ぐがあってこその森脇のピッチング。結果論になってしまいますが、5回ぐらいで代えてあげてもよかったかもしれません。」
5回裏の森脇は先頭打者に三塁打を浴び、8番打者のセンター前ヒットで1点を奪われた。6回以降は再び持ち直して三者凡退を続けたが、迎えた8回裏。須田が感じ取っていた不安が、確かな音を立てて襲いかかってきた。
上位打線に連打を浴びて無死一、二塁。4番打者はフルカウントからのスライダーで見逃し三振に仕留めたが、5番打者に再びフルカウントまで粘られ、最後はしぶとくレフト前へ運ばれて1点を失った。1点差に詰め寄られたところで、森脇は無念の降板となった。
なおも一死一、三塁。ピンチが続く中でマウンドに上がったのは右腕の田中太一だ。その初球だった。相手ベンチがスクイズを仕掛けてきた。投手前へ飛んだボールをしっかりと受け止め、三本間に挟まれた三塁走者を目で牽制しながら、田中は三塁手の江藤圭樹へボールを送った。スクイズ阻止でピンチを切り抜けた……誰もがそう思った。だが次の瞬間、ホームベース付近にいた須田への江藤の送球が逸れる。労せずして三塁走者がホームを踏んだのは、その直後だ。
守備の乱れによる同点劇。三塁側ベンチに重い空気が漂ったのは想像に難くない。
悪い流れは断ち切れなかった。9回裏、マウンドの田中は9番打者に初球をセンター前へ運ばれて先頭打者の出塁を許した。犠打で一死二塁。ピンチを迎え、三塁側ベンチは2番打者に対して敬遠策を指示した。1点でも失えばサヨナラ負けの場面だ。ベンチの狙いは塁を埋めて守りやすい状況を作ること。最高のシナリオは併殺打で一気にピンチを切り抜けることだった。だが、その策は裏目に出た。3番打者に四球を与えてしまい、一死満塁とピンチはさらに拡大した。4番打者に対してはフルカウント。ボール球が先行した田中のピッチングに余裕はなかった。そして6球目、バッテリーが勝負球に選んだのはスライダーだった。変化球をとらえたバットが小躍りする。打球はセンター前へ。サヨナラでの敗戦が決まった瞬間だった。捕手の須田は言う。
「カウント2ボール2ストライクからの5球目にスライダーで勝負すべきでした……」
結果的にストレートで勝負に行き、ボール球になってフルカウントにしてしまった配球を最後まで悔やんだ。そして、もう一つ。須田は自身の打席に対しても険しい表情を浮かべた。
それは8回表。イニングの先頭だった5番赤堀大智の右中間二塁打をきっかけに、一死三塁となった場面で巡ってきた第4打席だ。カウント2ボールから、須田はスクイズを試みた。右下手投げの変化球に対して、スクイズは三塁線へのファールとなった。
「(スクイズをするには)難しいボールではなかったんですが……。あそこでしっかりと決めて追加点を奪えっていれば、その後の展開は違ったと思います」
チャンスはしっかりと得点につなげる――。それは8回裏の攻撃に限ったことではなかった。6回表は、3番江藤のレフト前ヒットと4番根岸晃太郎のライトフェンス直撃となる三塁打で1点を勝ち越した。さらに四球が続いて満塁とし、7番須田の押し出し死球で3点目を挙げた。だが、なおも無死満塁とチャンスが残る中で後続が倒れて大量得点には至らなかった。7回表は2つの四死球をもらい無死一、二塁と攻め立て、4番根岸に右中間への二塁打が飛び出しながらも無得点。9回表も、先頭の9番富田裕貴が放ったセンター前ヒットを生かし切れなかった。佐藤俊和コーチは言う。
「取るべきところで、しっかりと点を取らなければいけない。今日は攻撃で守備に良いリズムを持っていけなかった」
もちろん、選手たちもわかっている。試合後の選手間ミーティングで主将の赤堀は言った。「打撃の詰めの甘さ。これが現実」だと。
予選リーグは2勝1敗で終えた。結局、第2戦のタイブレークでの勝利が関係し、大会規定のポイント数の差で決勝トーナメント進出を逃した。最終戦で突き付けられた現実は重い。今大会で見えた課題と悔しさを糧に、チームは5月末から始まる都市対抗東京都二次予選へ向かって行く。
(文・写真:佐々木亨)