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BATTERY

氏家、田中、森脇-須田、喜多

HOMERUN

佐藤(7回3ラン)

戦評COMMENT

千両役者の一振りが、チームの窮地を救った。

ジワリ、ジワリと焦りが募る。気づけば終盤、1点のビハインドだ。先発の氏家優悟が「(捕手・須田凌平の)アウトコースの要求に対して、ややインコースへ甘く入った」と振り返る唯一の失投となったストレートをレフトスタンドへ運ばれたのが3回表。2ランアーチで逆転された後は、相手左腕の絶妙な投球術の前に苦しんでいた。

7回裏は、イニングの先頭となった4番根岸晃太郎が、この試合2本目となるヒットをライト前へしぶとく放ち、5番澤良木喬之がライト前ヒットで続いて無死一、三塁とした。6番赤堀大智の打球はセカンド前へのゴロ。その間に、三塁走者の根岸がホームを陥れて、何とか同点に追いついた。だが、その時点での三塁側ベンチには、ひとまずの「安心」はあったにせよ、勝利の「確信」はまだなかった。それまでの試合状況を考えれば、決して楽観視することはできなかった。

7番須田凌平が四球を選んで一死一、二塁。一気呵成に攻め立てたいその好機で、打席に送られたのが代打の佐藤貴穂だった。佐藤にとっては実質、約2年ぶりの都市対抗予選だ。昨年は右肩の手術で、ほぼ1年間をリハビリに費やした。昨年の都市対抗予選もベンチには入ったが、戦力として勝利に貢献することはなく、チームは本大会出場を逃した。その悔しさを晴らすべくのぞんだ、今年の都市対抗野球大会東京都二次予選。

強い思いを持って打席に立った佐藤は、その一振りで結果を出して見せた。

1ボールからの2球目だった。代わったばかりの右下手投げ投手のストレートをとらえた打球が、大田スタジアムに広がる青空に舞った。三塁側スタンドの「行けぇぇぇ~!」という声にも後押しされ、打球はレフトスタンドの芝に突き刺さった。

勝ち越しとなる3ラン本塁打。

勝利の風が、三塁側ベンチに一気に流れた瞬間だった。千両役者が振り返る。

「バットの先でとらえたので、(スタンドに)入るとは思いませんでした。でも、風に乗りましたね。ホームランになった瞬間は、ホッとしました」

実は試合前、佐藤は笑顔を交えてこうも話していた。

「やっと(状態が)上がってきました」

まさに有言実行。頼れる7年目の強打者が完全復活をバットで示した。

7回裏のビックイニングを経て、2番手の田中太一、そして9回表は3番手の森脇亮介が、それぞれ相手打線を無失点に抑えて準決勝進出を決めた。初芝清監督は言う。

「都市対抗予選の初戦ならではと言えばそうなのかもしれませんが、だからと言って、このような苦しい展開にしてしまってはいけない。そこは反省材料。ただ、先発の氏家は決して状態が悪いわけではなかったですし、その後の田中も4イニングをしっかりと無失点に抑えてくれたことはよかった。攻撃は、初回に選手の緊張をほぐす意味でも積極的に動きましたが、結果的に2つの盗塁失敗で流れを引き寄せることができませんでした。それでも7回裏、佐藤の一振りで一気に勝ち越した攻撃はよかったと思います」

主将の赤堀にも同じ気持ちがある。

「初回に先制(一死一塁から3番江藤圭樹のライト前ヒットで1点)できたのはよかったのですが、逆転されて、その流れのままゲームが進んだのは正直、苦しかった。7回裏は、まずは同点という気持ちでしたが、あのイニングで一気に勝ち越すことができたのは大きかったと思います。この勝利は大きい。でも、戦いは続きます。まずは、明後日(5月25日)。気持ちを新たに頑張ります」

次戦はJR東日本との準決勝。今予選を占う大一番に向けて、試合後の選手たちはすでに熱い思いをたぎらせていた。

(文・写真:佐々木亨)