HOME 試合情報 試合結果 2回戦 試合日程・結果 2017.07.22 [Sat] 14:00 第88回都市対抗野球大会2回戦 vs JR西日本 東京ドーム 一塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E JR西日本 J 3 0 0 0 1 1 0 0 3 8 9 2 セガサミー セ 0 4 0 0 0 1 0 0 1 6 9 2 BATTERY 横田、井上、森脇、氏家、田中-佐藤、喜多 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT まだ諦めない――。勝利への渇望は、最後の一球まで失ってはいなかったはずだ。 リードを奪われて迎えた9回裏。代打の9番松延卓弥が振り逃げで出塁。二死となったが、途中出場の3番喜多亮太が初球のストレートをレフト前へ運んで一、二塁。そのチャンスで、4番根岸晃太郎がレフト前へ適時打を放って1点を返した。なおも一、二塁。長打で同点、本塁打ならサヨナラ勝利となる大一番で打席に立ったのは、主将でもある5番赤堀大智だった。 ボール球が先行してカウント2ボール。相手バッテリーとしては、四球で同点の走者を得点圏に進めたくない。3球目は何としてでもストライクが欲しい場面だ。赤堀もわかっていた。だからこそ、強い気持ちでバットを振った。だが、バットがとらえた打球が、無情にも一塁手の頭上に上がった。力なき飛球が一塁手のグラブに収まった瞬間、勝利への渇望は遠ざかり、失望へと変わった。 勝ち切らなければいけない試合だった。試合展開を考えれば、勝利を手にする可能性は十分にあった。 初戦に続いて先発マウンドを託された左腕の横田哲は、3つの四球が響いて1回表に3点を失った。「今シーズンはずっと横田を信頼してやってきましたから」。赤堀がそう言うように、エース左腕の立ち上がりを責めるわけにはいかない。もちろん、不甲斐ない失点を横田自身が一番許せないだろうし、四球3つと自滅した形で失点したピッチングは決して褒められるものではない。ただ、それ以上に選手たちは、エースのミスを自分たちの力でカバーする。その思いのほうが強かった。 強い思いが確かに結果として表れたのは2回裏だ。先頭の5番赤堀が打撃妨害で出塁。その後、二死となったが四死球2つで満塁とする。そのビッグチャンスで1番宮川翔太(明治安田生命からの補強選手)が初球を右中間へ運んで2得点。さらに、同じく明治安田生命からの補強選手である2番島田隼斗がライト前へ適時打、さらに相手の失策にも乗じて一挙4点を奪って勝ち越しに成功した。 投げては、1回途中から登板した2番手の井上和紀が2回表からの3イニングスを無失点に抑える好投。「思い切り腕を振ることを考えながらも、コントロールを意識して投げました。個人的には良い経験ができたと思います」(井上)。5回表に犠飛で同点、6回表には先頭打者の失策をきっかけに、3番手の森脇亮介が適時打を浴びて勝ち越しを許すが、直後の6回裏に押し出しの四球で1点を奪って試合を振り出しに戻した。 流れは悪くなかったはずだ。先制されるも序盤早々に逆転し、中盤に追い上げられるも勝ち越しは許さない。粘り強い戦いが、そこにはあった。ただ、悔やまれるのは6回裏。結果的に1点を挙げたが、一死満塁と畳みかけられるチャンスがあっただけに、押し出しでの1点のみは寂しさが残った。一気に勝ち越し、さらに点差を広げることができれば、その後の展開は違ったものになったかもしれない。6回途中から4番手として登板して無安打に抑えた左腕・氏家優悟の好投もありながら、主導権を完璧に奪うことができなかったことが、9回表の3失点につながってしまった。 JR西日本の左打席に立つ代打に決勝点となる2ラン本塁打を浴びた5番手の田中太一は、マウンド上で茫然となった。一死二塁での初球。甘く入ったストレートを右翼スタンドに運ばれた。マスクを被っていた捕手の喜多は自身のリードを責める。 「一塁ベースが空いていたので(代打を四球で)歩かせてもいい。そう思っていたので、初球から際どい所を攻めようと思ったんですが……真ん中に入ってしまった。僕の力不足です」 わずかに生まれてしまった迷いを喜多は悔やむ。 9回裏の追い上げも空しく、2点差での敗戦。今年もまた「2回戦の壁」を打ち破ることができなかった。試合後の初芝清監督は悔しさを滲ませた。 「チームとして最後まで粘れるようにはなってきたし、井上を初めとする2番手以降の投手陣もよく投げてくれたと思います。ただやはり……、都市対抗で2つ勝つという使命を果たせなかったことが残念です」 悔しさを晴らすことができる場所。それは、東京ドームでしかない。 (文:佐々木亨/写真:政川慎治) 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
まだ諦めない――。勝利への渇望は、最後の一球まで失ってはいなかったはずだ。
リードを奪われて迎えた9回裏。代打の9番松延卓弥が振り逃げで出塁。二死となったが、途中出場の3番喜多亮太が初球のストレートをレフト前へ運んで一、二塁。そのチャンスで、4番根岸晃太郎がレフト前へ適時打を放って1点を返した。なおも一、二塁。長打で同点、本塁打ならサヨナラ勝利となる大一番で打席に立ったのは、主将でもある5番赤堀大智だった。
ボール球が先行してカウント2ボール。相手バッテリーとしては、四球で同点の走者を得点圏に進めたくない。3球目は何としてでもストライクが欲しい場面だ。赤堀もわかっていた。だからこそ、強い気持ちでバットを振った。だが、バットがとらえた打球が、無情にも一塁手の頭上に上がった。力なき飛球が一塁手のグラブに収まった瞬間、勝利への渇望は遠ざかり、失望へと変わった。
勝ち切らなければいけない試合だった。試合展開を考えれば、勝利を手にする可能性は十分にあった。
初戦に続いて先発マウンドを託された左腕の横田哲は、3つの四球が響いて1回表に3点を失った。「今シーズンはずっと横田を信頼してやってきましたから」。赤堀がそう言うように、エース左腕の立ち上がりを責めるわけにはいかない。もちろん、不甲斐ない失点を横田自身が一番許せないだろうし、四球3つと自滅した形で失点したピッチングは決して褒められるものではない。ただ、それ以上に選手たちは、エースのミスを自分たちの力でカバーする。その思いのほうが強かった。
強い思いが確かに結果として表れたのは2回裏だ。先頭の5番赤堀が打撃妨害で出塁。その後、二死となったが四死球2つで満塁とする。そのビッグチャンスで1番宮川翔太(明治安田生命からの補強選手)が初球を右中間へ運んで2得点。さらに、同じく明治安田生命からの補強選手である2番島田隼斗がライト前へ適時打、さらに相手の失策にも乗じて一挙4点を奪って勝ち越しに成功した。
投げては、1回途中から登板した2番手の井上和紀が2回表からの3イニングスを無失点に抑える好投。「思い切り腕を振ることを考えながらも、コントロールを意識して投げました。個人的には良い経験ができたと思います」(井上)。5回表に犠飛で同点、6回表には先頭打者の失策をきっかけに、3番手の森脇亮介が適時打を浴びて勝ち越しを許すが、直後の6回裏に押し出しの四球で1点を奪って試合を振り出しに戻した。
流れは悪くなかったはずだ。先制されるも序盤早々に逆転し、中盤に追い上げられるも勝ち越しは許さない。粘り強い戦いが、そこにはあった。ただ、悔やまれるのは6回裏。結果的に1点を挙げたが、一死満塁と畳みかけられるチャンスがあっただけに、押し出しでの1点のみは寂しさが残った。一気に勝ち越し、さらに点差を広げることができれば、その後の展開は違ったものになったかもしれない。6回途中から4番手として登板して無安打に抑えた左腕・氏家優悟の好投もありながら、主導権を完璧に奪うことができなかったことが、9回表の3失点につながってしまった。
JR西日本の左打席に立つ代打に決勝点となる2ラン本塁打を浴びた5番手の田中太一は、マウンド上で茫然となった。一死二塁での初球。甘く入ったストレートを右翼スタンドに運ばれた。マスクを被っていた捕手の喜多は自身のリードを責める。
「一塁ベースが空いていたので(代打を四球で)歩かせてもいい。そう思っていたので、初球から際どい所を攻めようと思ったんですが……真ん中に入ってしまった。僕の力不足です」
わずかに生まれてしまった迷いを喜多は悔やむ。
9回裏の追い上げも空しく、2点差での敗戦。今年もまた「2回戦の壁」を打ち破ることができなかった。試合後の初芝清監督は悔しさを滲ませた。
「チームとして最後まで粘れるようにはなってきたし、井上を初めとする2番手以降の投手陣もよく投げてくれたと思います。ただやはり……、都市対抗で2つ勝つという使命を果たせなかったことが残念です」
悔しさを晴らすことができる場所。それは、東京ドームでしかない。
(文:佐々木亨/写真:政川慎治)