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BATTERY

森脇、陶久、田中、氏家、石垣-喜多

■大会規定により10回からタイブレーク

戦評COMMENT

幕開けは、1番本間諒の会心の一撃だった。青空が広がる大田スタジアムの空気を切り裂き、打球は左中間へ。二塁打となり、新人の2番宝楽健吾が犠打を決めて一死三塁とした。そのチャンスで、新人の3番北阪真規がインコースへの厳しいストレートをライト前へ運んで先制点を奪った。

同点とされた直後の2回表は、7番江藤圭樹が起点となる。技ありのライト前ヒット。8番宮川和人が犠打を決めて一死二塁とすると、9番喜多亮太がしぶとくレフト前へ運んで、すぐさま勝ち越しに成功した。

先発の森脇亮介は1回裏に自らの暴投で1点を失うが、2回以降は粘り強く投げ抜き失点を許さなかった。5回裏までリードを守り抜き、先発の役割を果たした。6回裏から登板した陶久亮太が7回裏に同点打を浴びて試合を振り出しに戻されたが、終盤になってもチーム全体の集中力が衰えることはなかった。初芝清監督は言う。

「何度か同点にされましたが、一度も追い越されなかったのが救いだった。ピッチャー陣がよく粘ってくれました」

終盤には3番手の田中太一が連打を浴びて無死一、三塁とされた。そのピンチでマウンドに上がったのが氏家優悟だ。登板直後に死球を与えて満塁とされるが、絶体絶命のピンチでピッチャーゴロに仕留める。氏家から捕手の喜多へ、そして一塁手の澤良木喬之へボールが送られて併殺。なおも二死二、三塁とピンチは続いたが、後続をファーストゴロに討ち取り、無失点で切り抜けた8回裏はビッグイニングとなった。

両チームともに追加点を奪えないまま、試合は延長戦へ。大会規定により延長10回からは、無死一、二塁で継続打順から始まるタイブレークに突入した。10回は両チームともに無得点。11回は、ともに1点ずつを奪って、せめぎ合いは続いた。試合が大きく動いたのは12回表。イニングの先頭となった1番本間の犠打が相手投手の失策を誘い、途中出場で二塁走者の政野寛明が一気にホームを駆け抜けて、まずは1点を勝ち越した。さらに、2番宝楽が四球を選んで満塁として、一死後、ビッグチャンスで勝負強さを見せたのが途中出場の4番神野達哉だ。今シーズンから主将・赤堀大智とともにチーム最年長となったいぶし銀の一打が、大きな追加点を生んだ。

3点リードで迎えた12回裏は、それまで粘り強く投げていた氏家が2点タイムリーを浴びて1点差とされたが、最後は5番手の石垣永悟が相手打線をねじ伏せた。同点覚悟の無死一、三塁の場面でマウンドに上がった石垣は、まずは見逃し三振で一死を奪う。5番打打者には四球を与えて満塁とされるが、後続の2人をともに外野フライに討ち取り、点を与えなかった。石垣は言う。

「いい意味で、開き直って投げることができました。オープン戦でも結果を出していましたし、昨年までにはない気持ちの余裕がありました」

頼もしい右腕が最後に投じた一球は、気持ちのこもった143キロのストレート。右翼手・政野のグラブにウイニングボールが吸い込まれた時、空はすっかりと暗やみに包まれていた。初芝監督は、4時間12分の大熱戦を終えて言った。

「新人が、いい刺激となっている打線。送りバントもほとんど決まりましたし、これだけ粘って勝ち切ったことが何よりも大きい」

今シーズン初の公式戦。疲れも吹き飛ぶ白星スタートには多くの収穫が詰まっていた。

(文・写:佐々木亨)