• TEAM T
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • R
  • H
  • E
  • セガサミー
  • 1
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0
  • 1
  • 6
  • 0
  • 東芝
  • 0
  • 0
  • 6
  • 0
  • 0
  • 0
  • 2x
  • 8
  • 10
  • 0

BATTERY

田中、井上-須田

■大会規定により7回コールドゲーム

HOMERUN

本間(1回ソロ)

戦評COMMENT

乾いた打球音を残した白球が、神宮球場の青い空に吸い込まれる。

2019年シーズンの幕開けに相応しい左中間への豪快弾だ。1番本間諒の逆方向への先制アーチが飛び出したのは1回表、プレイボールのコールからわずか数分後のことだった。

「ヨッシャァァ~!」

一塁側ベンチには歓喜と活気が広がった。一死後、3番政野寛明と4番根岸晃太郎の連打で一、二塁。追加点のチャンスを瞬く間に築いた攻撃には、勢いを加速される力強さがあった。だが、5番澤良木喬之がファーストゴロ。二、三塁と場面が変わる中で、6番須田凌平は空振り三振。一気呵成とはならずに、1回表のスコアボードには「1」が刻まれた。

それでも、完全に勢いが消滅したわけではなかった。むしろ、2回表の二死からの攻撃は、「勢い」を象徴するものだった。9番草海光貴がセンター前ヒット、1番本間がレフト前ヒット、さらに2番江藤圭樹が一塁手のエラーを誘う一打を放って満塁。

「ヨッシャァァ~!」

塁上が賑わうたびに勢いに乗る声は大きくなり、再び訪れた追加点のチャンスに選手たちは前のめりになってグラウンドを見つめた。

だが、3番政野は空振り三振。またしても追加点を奪えなかった。

勢いはあった。相手ベンチにプレッシャーを与え続けた。でも、チャンスが生まれたたびに決定打を欠いた攻撃には物足りなさが残った。拙攻とも呼べるだろう。

2回表までの攻撃が、のちの試合展開と無関係ではなかったはずだ。

先発の田中太一は2回裏まで点を与えなかった。初回には149キロをマーク。ボールの走りは上々だった。だが、3回裏。一死から1番打者にライトスタンドに飛び込むソロホームランを浴びると、田中のピッチング、マウンドの表情が一変した。

気持ちと指先のコントロールに苦しむ。2番打者には四球、3番打者には死球を与え、さらに暴投で、ピンチは二、三塁と拡大した。4番打者にはセンター前へしぶとく運ばれた。2点適時打である。勝ち越しを許した後も、田中のピッチングが戻ることはなかった。1イニングで6失点。3回途中での無念の降板となった。

吉井憲治コーチは、先発右腕をこう評する。

「田中は確実に成長しています。ボール先行のピッチングが少なくなりましたし、技術的には間違いなく成長している。ただ、(失点を重ねた)3回裏は、最小失点で切り抜けてほしかった。メンタルの成長。田中には、そこを求めてほしい」

序盤を終わり、点差は5点だ。攻撃陣は、2回表までの勢いが嘘のように3回表から沈黙。三者凡退のイニングを重ね、反撃の糸口すら掴めなかった。3回以降のヒットは、6回表に飛び出した6番須田の内野安打のみ。7回表までに奪われた三振は12個に及んだ。

3回途中から登板した井上和紀が、6回裏までノーヒットに抑えたピッチングは大きな収穫。だが、その左腕をもってしても、東芝打線を完璧に封じることはできなかった。7回裏に長打2本で1失点。最後は無死満塁から犠飛を浴びて点差は7点に。

コールドゲームが成立した。

試合後の宮川和人主将は、序盤の拙攻を悔やんだ。

「点を取れるところでしっかりと取れなかったことが敗因の一つ。中盤以降も、これまでキャンプを通してやってきたことができなかった」

先制弾の本間にも笑顔はない。

「勝たないと意味がない」

今シーズンの初陣で味わった大敗を選手それぞれがどう感じ、見えた課題をいかに消化していくか。宮川主将が言う「やってきたこと」を実践すれば、おのずと結果はついてくるはずだ。

(文・写真:佐々木亨)