HOME 試合情報 試合結果 予選リーグ第2戦 試合日程・結果 2019.04.12 [Fri] 11:30 第61回JABA長野県知事旗争奪大会予選リーグ第2戦 vs きらやか銀行 長野オリンピックスタジアム 三塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E セガサミー セ 0 0 0 0 0 0 2 0 1 3 きらやか銀行 き 0 0 0 3 0 0 0 0 1x 4 BATTERY 森井、東、石垣、陶久-吉田 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 試合中盤までは相手ベンチのペースだった。 とらえた打球が何度もあった序盤。2回表は、二死から6番政野寛明がライト後方へ大飛球を放った。だが、完璧に「とらえた打球」をフェンスに激突しながら右翼手が好捕。チャンスの芽を摘まれた。3回表は、8番砂川哲平がレフト線へ技ありの一打だ。だが、そのヒット性の打球も、スライディングキャッチを試みた左翼手のグラブに収まった。9番宮川和人のセンターへ抜けるかと思われた一打も、二塁手の好プレーの前にセカンドゴロに。ノーヒットが続いた序盤には、「嫌な流れ」があった。 その空気感が漂う4回裏に先発の森井絃斗が崩れた。一死から左打席に立つ3番打者に右中間スタンドへのソロアーチを浴びると、続く4番打者の打球はショートゴロ。だが、根岸晃太郎の一塁への送球が逸れて出塁を許すと、マウンド上の森井に動揺する気持ちをコントロールできるだけの余裕はなかった。さらに5番打者にはライト前ヒットを浴び、6番打者には四球を与えて満塁のピンチ。すかさず三塁側ベンチから飛び出した初芝清監督は、マウンドの右腕に言葉をかけた。 「自信を持っていけ」 だが、高めに浮いた変化球を、7番打者にレフト前へ運ばれてさらに2失点。立ち直ることができなかった森井は無念の降板となった。 3点を追う打線は、4回表に2番宝楽健吾がチーム初安打となるセンター前ヒットで出塁するも得点ならず。結局、6回表までに放ったヒットは宝楽の1本だけである。得点シーンがイメージできないほどに、相手右腕が目の前に立ちはだかった。 だが、試合終盤。中盤までにあった不穏な空気が徐々に消えていくのがよくわかった。7回表。一死から4番根岸がセンター前ヒットで出塁。続く代打の澤良木喬之がレフト線へしぶとく落ちる二塁打を放ち、チャンスが二、三塁と拡大すると三塁側ベンチが自然と沸き上がった。その好機で、6番政野がライト前へタイムリーヒット。2人の走者がホームへ生還して1点差に詰め寄った。直後の7回裏は守備が光った。好投していた2番手の東範幸が一死一、三塁とされるが、ピンチで登板した石垣永悟がスクイズを試みる2番打者を気迫のストレートで空振り三振に。飛び出した三塁走者も挟殺プレーでアウトにして併殺。大きなピンチを脱したことで、さらにチームの士気は高まった。9回表は、イニングの先頭となった代打・大谷拓海のライト線への二塁打だ。「打った球はフォークボールかチェンジアップ」と振り返る公式戦初出場となったルーキーの一打に、ベンチは一層の盛り上がりを見せた。犠打で一死三塁とし、7番吉田高彰の犠飛で1点を奪ったのはその直後だ。土壇場での同点劇。チームの勢いが増した瞬間だった。 勝てる――。試合の流れを考えれば、そう思わずにはいられなかった。だが、9回裏。満を持して登板した陶久亮太が先頭打者のセカンドエラーによる出塁をきっかけにピンチを迎えると、自らの暴投もあって一死三塁とされた。代打の左打者はフォークボールを連投して1ボール2ストライクと追い込んでいた。4球目。選択した球種は、またしてもフォークボール。こだわり続けた変化球は、相手打者のスイングを考えれば間違った選択ではなかったはずだ。だが、勝負球のフォークボールだけは、わずかに落差が緩かったか。打球がセカンドの頭上を越え、ライト前へ落ちる。三塁走者が労せずしてホームを踏み、サヨナラでの敗北が決まった。 悔やまれる一球だった。試合後の初芝監督が最後のシーンを振り返る。 「走者を(暴投で)三塁に進められたのが痛かった。三塁走者を背負うことで、最後は陶久も思い切り腕を振れなかったかもしれない」 慎重にならざるを得ない状況になり、陶久の心理状態に変化が生まれたのは事実だろう。わずかな差が明暗を分けてしまった。ただそれ以上に、初芝監督は勝敗を分けたいくつかのプレーを悔やむのだ。まずは1点差に詰め寄った7回表の攻撃だ。適時打を放った政野を一塁に置き、7番吉田はライトへ飛球を放った。その打球を右翼手が見失い、結果的にヒットとなり一死一、三塁とチャンスは続いた。その好機を得点につなげることができなかった攻撃力が、勝敗の行方を大きく左右した。 「相手にもらったチャンスをものにできなかったのが痛かった」 そして、指揮官が最も悔やむのが2つの失策である。4回表、先制弾を浴びた直後の根岸の送球ミス。9回表、二塁手・江藤圭樹の送球ミスで先頭打者の出塁を許した場面。いずれもが失点につながった失策だっただけにダメージは大きかった。 「ミスをきっかけに点を失ったのが大きかった……」 終盤の粘りで一時は同点にした攻撃は、次戦に向けた大きな収穫と言える。だが、試合を通じては綻びが多かったのも事実。すべてを糧にして挑む予選リーグ3試合目。決勝トーナメント進出に向けて負けられない一戦は、チームの真価が問われる試合となる。 (文・写真:佐々木亨) 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
試合中盤までは相手ベンチのペースだった。
とらえた打球が何度もあった序盤。2回表は、二死から6番政野寛明がライト後方へ大飛球を放った。だが、完璧に「とらえた打球」をフェンスに激突しながら右翼手が好捕。チャンスの芽を摘まれた。3回表は、8番砂川哲平がレフト線へ技ありの一打だ。だが、そのヒット性の打球も、スライディングキャッチを試みた左翼手のグラブに収まった。9番宮川和人のセンターへ抜けるかと思われた一打も、二塁手の好プレーの前にセカンドゴロに。ノーヒットが続いた序盤には、「嫌な流れ」があった。
その空気感が漂う4回裏に先発の森井絃斗が崩れた。一死から左打席に立つ3番打者に右中間スタンドへのソロアーチを浴びると、続く4番打者の打球はショートゴロ。だが、根岸晃太郎の一塁への送球が逸れて出塁を許すと、マウンド上の森井に動揺する気持ちをコントロールできるだけの余裕はなかった。さらに5番打者にはライト前ヒットを浴び、6番打者には四球を与えて満塁のピンチ。すかさず三塁側ベンチから飛び出した初芝清監督は、マウンドの右腕に言葉をかけた。
「自信を持っていけ」
だが、高めに浮いた変化球を、7番打者にレフト前へ運ばれてさらに2失点。立ち直ることができなかった森井は無念の降板となった。
3点を追う打線は、4回表に2番宝楽健吾がチーム初安打となるセンター前ヒットで出塁するも得点ならず。結局、6回表までに放ったヒットは宝楽の1本だけである。得点シーンがイメージできないほどに、相手右腕が目の前に立ちはだかった。
だが、試合終盤。中盤までにあった不穏な空気が徐々に消えていくのがよくわかった。7回表。一死から4番根岸がセンター前ヒットで出塁。続く代打の澤良木喬之がレフト線へしぶとく落ちる二塁打を放ち、チャンスが二、三塁と拡大すると三塁側ベンチが自然と沸き上がった。その好機で、6番政野がライト前へタイムリーヒット。2人の走者がホームへ生還して1点差に詰め寄った。直後の7回裏は守備が光った。好投していた2番手の東範幸が一死一、三塁とされるが、ピンチで登板した石垣永悟がスクイズを試みる2番打者を気迫のストレートで空振り三振に。飛び出した三塁走者も挟殺プレーでアウトにして併殺。大きなピンチを脱したことで、さらにチームの士気は高まった。9回表は、イニングの先頭となった代打・大谷拓海のライト線への二塁打だ。「打った球はフォークボールかチェンジアップ」と振り返る公式戦初出場となったルーキーの一打に、ベンチは一層の盛り上がりを見せた。犠打で一死三塁とし、7番吉田高彰の犠飛で1点を奪ったのはその直後だ。土壇場での同点劇。チームの勢いが増した瞬間だった。
勝てる――。試合の流れを考えれば、そう思わずにはいられなかった。だが、9回裏。満を持して登板した陶久亮太が先頭打者のセカンドエラーによる出塁をきっかけにピンチを迎えると、自らの暴投もあって一死三塁とされた。代打の左打者はフォークボールを連投して1ボール2ストライクと追い込んでいた。4球目。選択した球種は、またしてもフォークボール。こだわり続けた変化球は、相手打者のスイングを考えれば間違った選択ではなかったはずだ。だが、勝負球のフォークボールだけは、わずかに落差が緩かったか。打球がセカンドの頭上を越え、ライト前へ落ちる。三塁走者が労せずしてホームを踏み、サヨナラでの敗北が決まった。
悔やまれる一球だった。試合後の初芝監督が最後のシーンを振り返る。
「走者を(暴投で)三塁に進められたのが痛かった。三塁走者を背負うことで、最後は陶久も思い切り腕を振れなかったかもしれない」
慎重にならざるを得ない状況になり、陶久の心理状態に変化が生まれたのは事実だろう。わずかな差が明暗を分けてしまった。ただそれ以上に、初芝監督は勝敗を分けたいくつかのプレーを悔やむのだ。まずは1点差に詰め寄った7回表の攻撃だ。適時打を放った政野を一塁に置き、7番吉田はライトへ飛球を放った。その打球を右翼手が見失い、結果的にヒットとなり一死一、三塁とチャンスは続いた。その好機を得点につなげることができなかった攻撃力が、勝敗の行方を大きく左右した。
「相手にもらったチャンスをものにできなかったのが痛かった」
そして、指揮官が最も悔やむのが2つの失策である。4回表、先制弾を浴びた直後の根岸の送球ミス。9回表、二塁手・江藤圭樹の送球ミスで先頭打者の出塁を許した場面。いずれもが失点につながった失策だっただけにダメージは大きかった。
「ミスをきっかけに点を失ったのが大きかった……」
終盤の粘りで一時は同点にした攻撃は、次戦に向けた大きな収穫と言える。だが、試合を通じては綻びが多かったのも事実。すべてを糧にして挑む予選リーグ3試合目。決勝トーナメント進出に向けて負けられない一戦は、チームの真価が問われる試合となる。
(文・写真:佐々木亨)