HOME 試合情報 試合結果 第二代表決定戦2回戦 試合日程・結果 2019.05.29 [Wed] 14:30 第90回都市対抗野球大会 東京都二次予選第二代表決定戦2回戦 vs 明治安田生命 埼玉県営大宮公園野球場 一塁側 前の試合へ 次の試合へ TEAM T 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E 明治安田生命 明 1 0 0 0 0 0 0 3 0 4 9 0 セガサミー セ 0 0 1 0 0 0 0 1 0 2 10 1 BATTERY 東、石垣、陶久、田中、井上ー吉田 HOMERUN 本間(3回ソロ)、根岸(8回ソロ) 選手成績 戦評 速報 戦評COMMENT 勝敗の分かれ目――。マウンドの東範幸は十分にわかっていた。だからこそ、勝負に出た。「いける」。バント処理に向かう東はそう思い、一塁走者をセカンドでアウトにできる確信もあった。だが、蓄積されていた疲労が、わずかに左腕の感覚を狂わせた。 同点の8回表だ。それまで初回の1失点だけに抑えていた先発の東は、一死から2番打者にレフト前ヒットを浴びた。試合は終盤。両チームにとって「次の1点」が大きな意味を持つ展開の中で、相手チームは1アウトからでも犠打で得点圏に走者を進めようとした。3番打者のバントがマウンド方向へやや強めに転がる。瞬時に反応した東はマウンドから駆け下り、打球を処理した。そして、すかさず二塁へ送球。タイミング的にはアウトだったか。だが、二塁送球が大きく逸れ、ボールが外野へ転々とする間に一塁走者は一気にサードへ。走者一、三塁とピンチは拡大した。代わった石垣永悟が4番打者に勝ち越し打となる右中間への二塁打を浴びたのは、その直後だ。さらに、3番手で登板した陶久亮太が連打を浴びて追加点を献上。8回表だけで計3失点。勝利の風は遠のいた。東は、大量失点のきっかけとなる失策をただただ悔やんだ。 「あのバント処理だけだった……」 初芝清監督も、試合後に無念の表情を浮かべた。 「120%の確率でアウトにできるならいっていいよ。バント処理の前にマウンドへ言ってそう話していたんですが……。あのミスだけでしたね。全体的にはピンチを背負ってもよく投げてくれました。四球は1個ですし、東はよく踏ん張って投げてくれたと思います」 2回以降は無失点を継続した先発左腕の好投は光った。圧巻だったのは4回表だ。4番打者と5番打者を、ともに最後は威力のあるストレートで見逃し三振に仕留めた。この試合での最速は142キロ。イニングを追うごとにストレートの威力は増していった。 それだけに、東の好投が続く流れの中で打線の援護が欲しかった。3回裏に、1番本間諒が3ボールからの4球目を右中間スタンドへ運んで同点とするが、チャンスでの1本に欠けた印象だ。4番根岸晃太郎と5番北阪真規の連打、6番澤良木喬之の犠打で一死二、三塁とした2回裏、または4番根岸のレフト前ヒット、6番澤良木のライト前ヒットで二死一、三塁とした6回裏は、ともに後続が倒れて無得点。決定打が出なかった拙攻は、試合の行方に大きく影響した。結局、得点は本間のソロアーチと、8回裏に飛び出した根岸の左翼スタンドへのソロアーチによる2点のみ。初芝監督は言う。 「ホームランによる得点はあるにせよ、やはりタイムリーヒットが出ないと……。打線のつながりが出てきてほしい」 勝利のカギは、打線の奮起か。 敗れたチームは第4代表ゾーンへ回る。もう負けは許されない。崖っぷちに立たされた。 「明日は全力で戦うだけです」 初芝監督をはじめ、チーム全員がそう言って球場をあとにした。 (文・写真:佐々木亨) 前へ 1 次へ PHOTO GALLERY 一覧を見る 前の試合へ 試合結果一覧 次の試合へ
戦評COMMENT
勝敗の分かれ目――。マウンドの東範幸は十分にわかっていた。だからこそ、勝負に出た。「いける」。バント処理に向かう東はそう思い、一塁走者をセカンドでアウトにできる確信もあった。だが、蓄積されていた疲労が、わずかに左腕の感覚を狂わせた。
同点の8回表だ。それまで初回の1失点だけに抑えていた先発の東は、一死から2番打者にレフト前ヒットを浴びた。試合は終盤。両チームにとって「次の1点」が大きな意味を持つ展開の中で、相手チームは1アウトからでも犠打で得点圏に走者を進めようとした。3番打者のバントがマウンド方向へやや強めに転がる。瞬時に反応した東はマウンドから駆け下り、打球を処理した。そして、すかさず二塁へ送球。タイミング的にはアウトだったか。だが、二塁送球が大きく逸れ、ボールが外野へ転々とする間に一塁走者は一気にサードへ。走者一、三塁とピンチは拡大した。代わった石垣永悟が4番打者に勝ち越し打となる右中間への二塁打を浴びたのは、その直後だ。さらに、3番手で登板した陶久亮太が連打を浴びて追加点を献上。8回表だけで計3失点。勝利の風は遠のいた。東は、大量失点のきっかけとなる失策をただただ悔やんだ。
「あのバント処理だけだった……」
初芝清監督も、試合後に無念の表情を浮かべた。
「120%の確率でアウトにできるならいっていいよ。バント処理の前にマウンドへ言ってそう話していたんですが……。あのミスだけでしたね。全体的にはピンチを背負ってもよく投げてくれました。四球は1個ですし、東はよく踏ん張って投げてくれたと思います」
2回以降は無失点を継続した先発左腕の好投は光った。圧巻だったのは4回表だ。4番打者と5番打者を、ともに最後は威力のあるストレートで見逃し三振に仕留めた。この試合での最速は142キロ。イニングを追うごとにストレートの威力は増していった。
それだけに、東の好投が続く流れの中で打線の援護が欲しかった。3回裏に、1番本間諒が3ボールからの4球目を右中間スタンドへ運んで同点とするが、チャンスでの1本に欠けた印象だ。4番根岸晃太郎と5番北阪真規の連打、6番澤良木喬之の犠打で一死二、三塁とした2回裏、または4番根岸のレフト前ヒット、6番澤良木のライト前ヒットで二死一、三塁とした6回裏は、ともに後続が倒れて無得点。決定打が出なかった拙攻は、試合の行方に大きく影響した。結局、得点は本間のソロアーチと、8回裏に飛び出した根岸の左翼スタンドへのソロアーチによる2点のみ。初芝監督は言う。
「ホームランによる得点はあるにせよ、やはりタイムリーヒットが出ないと……。打線のつながりが出てきてほしい」
勝利のカギは、打線の奮起か。
敗れたチームは第4代表ゾーンへ回る。もう負けは許されない。崖っぷちに立たされた。
「明日は全力で戦うだけです」
初芝監督をはじめ、チーム全員がそう言って球場をあとにした。
(文・写真:佐々木亨)