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  • 明治安田生命
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BATTERY

東、陶久、田中、横田ー吉田、須田

戦評COMMENT

3年連続の本戦出場をかけた大一番だ。球場には独特の緊張感が漂っていた。先発マウンドに向かう左腕の東範幸は、よく言えば、その空気感によっていつも以上に引き締まった表情を、別の見方をするならば、緊張に支配された強ばった表情を浮かべていた。

1回表、先頭打者に対してボール球が3球続き、結局は四球を与えてしまったピッチングは、東の心境をよく表していただろうか。犠打で得点圏に走者を進められると、3番打者にはレフトライナーを浴びた。打球は強烈だった。ただ、左翼手の本間諒の守備位置を考えれば、アウトになっても不思議ではない打球だった。

2アウトか――。

捕球姿勢に入った本間のグラブをはじき、レフト後方へボールが転々としたのは、そう思った直後だ。記録は失策。「思った以上に打球が伸びてきて……」。痛恨のミスをしてしまった本間は、大事な初回の守りをそう振り返るのだ。

チーム全体に、「緊張」という重圧が広がっていたとは思いたくない。ただ現実は、先頭打者への四球と失策によって1点を先制された。約1週間前、同じく明治安田生命戦となった第2代表ゾーン2回戦でも、先発した東は初回に1点を先制されていた。時間を経て挑んだ大一番でも浴びてしまった先制攻撃。しかも、ノーヒットで失った1点だ。東にとっては、大きなダメージとなってしまった。

2回表こそ三者凡退で切り抜けたが、迎えた3回表。再び東のピッチングに影が忍び寄る。一死後、1番打者のセンター前ヒットと2番打者への四球で一、二塁とピンチを背負う。3番打者は空振り三振に仕留めたが、4番打者に詰まりながらもレフト前へタイムリーヒットを食らって1点を追加された。立ち直るきっかけさえ与えられないままに、5番打者には1ボールからの2球目を右中間へ運ばれた。2点を献上し、手痛い4点目を失ったところで、左腕は無念の降板となった。さらに、東の後を受けてマウンドに上がった陶久亮太が6番打者にセンター前ヒットを浴びて失点。序盤だけで5点のビハインドとなり、あまりにも重い試合展開を強いられた。

結果論になるのだが、もしかしたら大量失点前のイニング、つまりは2回裏の絶好の好機に1点でも奪っていれば、状況は変わっていたかもしれない。

1点を追う2回裏は、イニングの先頭となった5番政野寛明が右中間フェンス直撃の三塁打を放った。無死三塁。犠飛でも1点というビックチャンスを掴んだが、6番大谷拓海が初球を叩いてセカンドゴロ。7番澤良木喬之が1ボールからの2球目を叩いてファーストゴロ。そして、8番吉田高彰が空振り三振に倒れて無得点に終わる。

決めきれない――。

5点を追う中盤以降も、流れは変わらなかった。

二死から6番大谷が右中間フェンス直撃となる二塁打を放った4回裏も無得点。9番砂川哲平が四球と盗塁で得点圏に進んだ5回裏は、2番北阪真規がそれまでにはなかった「チャンスでの1本」となるレフト前ヒットを放つも、左翼手の好返球に阻まれて二塁走者の砂川がホームでタッチアウト。追撃の芽を摘まれた。5回表に3番手で登板した田中太一が押し出しの四球を与えてさらに点差を広げられると、重苦しい空気は一層、深まった。5回途中から登板した横田哲が粘り強く無失点を続けて味方の反撃を待つが、終盤になっても攻撃のエンジンがかかることはなかった。

7回裏は、二死から途中出場の8番須田凌平と9番砂川がともにセンター前ヒットを放って一、二塁とチャンスを築くも、それまで2安打を放っていた1番本間が初球を叩いてショートフライに倒れて無得点。1点が遠い……。追い込まれた9回裏は、途中出場の7番宮川和人がフルカウントから四球をもぎ取り、続く8番須田がセンター前ヒットで一、二塁。最後まで諦めない姿勢は見せたものの、最後は9番砂川がサードゴロに討ち取られる。重過ぎた空気は、最後まで一塁側ベンチに居座り続けた。

2016年以来、3年ぶりの予選敗退である。代表権を逃した直後、主将の宮川は重い口を開いた。

「やられるべくしてやられた試合。やはり、点を取らないと……」

そして、数秒の間を置き、溢れる感情を一つの言葉に凝縮させた。

「悔しいです」

完敗で終えた2019年の都市対抗東京都二次予選。敗戦がチームを大きくさせる糧になることを、今は信じるしかない。

(文・写真:佐々木亨)