• TEAM T
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  • セガサミー
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  • 東京ガス
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BATTERY

飯田、越智、森井、井上、草海-木村、吉田

戦評COMMENT

右腕をしならせ、ボールを走らせた。150キロに迫るストレートが、捕手・木村天響のキャッチャーミットに吸い込まれる。先発マウンドに立った飯田大翔が、いつも以上に大きく見えた。

1回裏、先頭打者への3球目に149キロを計測した右腕は、2番打者からの連打で1死一、二塁と走者を背負うも、後続を討ち取って無失点で切り抜けた。2回以降も毎イニングで走者を背負ったが、伸びのあるストレートを軸に我慢のピッチングを続けた。

「今日は投球フォームのバランスを一番に意識して投げた」

その言葉通り、安定感は抜群だ。3回裏に東京ガスの4番笹川晃平選手に一時は同点とされるタイムリー二塁打を浴びるも、飯田のピッチングが大崩れすることはなかった。4回裏は先頭の6番打者にレフト線への二塁打を浴びた。1死後、8番打者にはライト前ヒットを浴び、1死一、三塁。そのピンチでも、初球をサードへ打たせ、三塁手・北川智也、二塁手・北阪真規、そして一塁手・根岸晃太郎へボールが渡る併殺に討ち取り、点を与えない。結局、5イニングスを投げて、わずかに1失点。7安打を浴びながらも要所を締めて、先発の役割を十分に担うマウンドさばきを見せた。

飯田のピッチングが、勝利の風を呼び込んだと言っていい。3回表、2死から9番北川が右中間へ二塁打を放ち、1番本間諒のタイムリーヒットで先制。同点で迎えた4回表は、1死から4番根岸がセンター前ヒット、続く5番北阪の左中間を抜けるタイムリー二塁打で勝ち越した。その一連の攻撃は、守りから生まれた“リズム”がもたらしたものと言えるだろう。

7回裏、3番手で登板した森井絃斗が2死から1点を失って同点とされるも、試合の流れ、中盤までに築いた“リズム”が大きく変わることはなかった。

8回裏の1イニングスを4番手の井上和紀が無失点に抑え、流れの良いままに迎えた9回表は、5番北阪が右中間を抜ける二塁打を放って無死二塁と絶好のチャンスを手にした。犠打で1死三塁。さらに、7回表の前打席でライト前ヒットを放っていた7番江藤圭樹が四球を選んで一、三塁とし、勝利への風が一層強まった。その好機で打席に立ったのは、代打の澤良木喬之だ。初球の甘く入ったフォークボールをファウルし、いつになく悔しさを表情に出す澤良木の姿が印象的だった。「必ず打つ」。強い気持ちが結果につながったのは、その直後だ。2球目のストレートをコンパクトに、それでいて強く振り抜いた打球が、二塁手の頭上を強烈に抜けていく。右中間をも抜けた打球は、三塁走者の北阪、さらに一塁走者の江藤をもホームへ還した。2点を勝ち越した直後の9回裏は、草海光貴が5番手としてマウンドへ。死球とライト前ヒットで1死一、二塁とピンチを迎えるも、5番打者を併殺に討ち取り試合を締めた。

最後は、笑顔が広がった。

2019年は、悔しさを存分に味わったシーズンだった。それだけに、強く思うのだ。今年の公式戦最終戦で手にした勝利は、逆襲を誓う来シーズンへ、きっとつながっている、と。

そう願いたいし、信じている。

(文・写真:佐々木亨)