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BATTERY

草海、三宮、陶久ー須田

HOMERUN

北阪(2回)

戦評COMMENT

打った瞬間に「確信」した、チームに勇気を与える豪快な一発だった。

その瞬間は2回表に訪れる。一死から7番・中川智裕がショートへの内野安打で出塁。東京都二次予選では打撃不振で苦汁をなめさせられたルーキーの一撃に、三塁側ベンチの士気は一気に高まった。好機で打席に立ったのは8番・北阪真規。東京都二次予選では主に3番を担った左の強打者は「試合前のスタメン発表で悔しい思いがありましたが、その気持ちを試合でぶつけようと思っていた」。1ボールからの2球目。143キロのストレートをとらえた打球は、右翼スタンドに向かって高々と舞った。ベンチでその打球を見ていた主将の宮川和人は言う。

「北阪のアタリは最高の角度で完璧だったので、打った瞬間にベンチで飛び跳ねました」

スタンド中段に突き刺さる先制2ランだ。トヨタ自動車の好投手である栗林良吏投手から奪った2点は、チームに「いける」雰囲気をもたらした。北阪は言う。

「一打席目の一球目(ファーストストライク)から自分のスイングをしようと決めていた」

1回表も積極的な打撃でチャンスを築いていた。一死から2番・大内信之介(JPアセット証券からの補強選手)がセーフティバント(記録は内野安打)で出塁。3番・小野田俊介(東京ガスからの補強選手)が三塁線を抜けるヒットで続いて一、三塁。ともにファーストストライクをとらえてのヒットだった。後続が倒れて結局は無得点に終わるが、5番・本間諒にもファーストストライクから果敢に狙う「攻め」の姿勢があった。結果はファウルになったが、2球目をフルスイングでとらえた打球は右翼ポール際を襲う大ファウル。その豪快な一振りも、2回表の先制シーンに影響したと言えるかもしれない。

積極的な「攻め」の姿勢は、守備にも派生した。先制した直後の2回裏は、トヨタ自動車・樺澤健選手のライト線への打球を、右翼手の小野田が上手く処理して内野へ好返球。果敢に二塁を陥れようとする打者走者を「攻め」の守備でアウトにした。3回裏には、イニングの先頭打者が放った痛烈なライナーを、中堅手の植田匡哉がダイビングキャッチ。恐れずに攻める姿勢は、そのワンプレーからも伝わってきた。

投手陣も負けてはいない。先発の草海光貴は、初回こそ一、三塁のピンチを迎えるも、2回以降は一度も得点圏に走者を進めない。相手打線が2巡目を迎えると、一気に投球がテンポアップして140キロ台中盤のストレートをグイグイと投げ込んだ。カットボールなどの変化球も冴え渡った右腕は、6回途中まで投げて無失点。大舞台で輝いた。代わった左腕の三宮舜(明治安田生命からの補強選手)、そして8回裏から登板した陶久亮太も、草海が築いた流れを引き継ぐ。それぞれに「攻め」の投球を見せて、トヨタ自動車の強力打線を無失点に抑えた。

序盤に主導権を握り、相手打線を完璧に封じたゲームを振り返り、西田真二監督はこう言うのだ。

「北阪は一発でよく仕留めてくれましたし、投手陣もそれぞれに期待に応えてくれた。自分たちがやってきたことを信じて、チーム一丸となって戦ってくれました」

主将の宮川は言う。

「大会前のオープン戦では大敗もありましたが、この初戦に照準を合わせて、それぞれが競争意識を持って良い雰囲気で大会に入れました。苦しい場面もありましたけど、捕手の須田(凌平)を含めたバッテリー中心に要所でみんなが頑張ってくれた。次の試合も、相手に関係なく自分たちがやってきたことをやるだけ。コロナ禍でも野球ができることに感謝して、支えてくださる会社の方々をはじめとする多くの人たちに勇気を与えられるように頑張ります」

2年ぶりの東京ドームで会心のゲームを見せたチームは11月27日、三菱自動車倉敷オーシャンズとの2回戦を迎える。

文:佐々木亨

写真:政川慎治